2011年10月31日

武士道の精神

 日本伝統の剣道、弓道等は立ち居振る舞いに厳しい礼儀・作法が求められます。たとえ勝っても負けても、試合が終われば礼をもって相手を敬う気持ちを表します。その動作の見事さに心が動きますね。身を美しくする、と書いて躾(しつけ)と読みます。立ち居振る舞いの美しさは心の美しさも表しますが、自然のうちに得られるものではありません。

 知勇兼備の武将として、戦国の世に名をはせた立花道雪がいます。彼は九州の大名・大友家に仕えていました。鬼道雪との異名もありましたが、武勇にたくましいだけでなく、士卒に対する態度は親が子に接するがごとくであったそうです。

 道雪は常々、言っていました。“士に弱い者はいない。もし弱い者がいたら、それは大将の罪である。もし他家に仕えて遅れている士がいたら、当家に仕えよ。必ずや勇士に鍛え上げてみせよう”と。(中村彰彦著『名将と名臣の条件』)

 群雄割拠の世。国を守る精兵をいかに育成するか。そのために道雪は臣下を励ました。その激励は、安っぽい同情などではありませんでした。一人の士を立派に育ててみせるとの熱情にあふれていたそうです。

 立花道雪についてもっと詳しくは下のリンクを
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E8%8A%B1%E9%81%93%E9%9B%AA

 今、日本の政界(与党)に、このような立花道雪のような「武士道の精神」を持っている人は見当たりません。
  

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2011年10月30日

仏教にまつわる有名な伝説

 仏教にまつわる有名な伝説に、「7歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指して『天上天下唯我独尊』(てんじょうてんが ゆいがどくそん)と言った」という、釈尊生誕直後のものがあります。

 これを「世の中で私(釈尊)が一番尊い」との宣言と受け止め、釈尊をあがめる言葉として使うことが多いそうです。しかし、高名な仏教学者の中村元(はじめ)氏は、この伝承を“あらゆる人を「かけがえのない尊い存在」とする象徴”としています。

 なぜなら、仏教の説く「我」とは、単に「自分」というだけでなく、「他人をもって代えられない独自の存在」を表している(『中村元「仏教の真髄」を語る』)。そこには、一人一人が偉大な使命を持つ存在であるとの意義が込められているのだから・・・・・
  

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2011年10月29日

一つのことをやり続ける大切さ

 真理を究める。一剣を磨く。そこに共通する挑戦の心。どんな小さな取り組みであれ、その意欲を保ち続けることは至難の業です。しかし、薄れる決意を奮い立たせ、気が向かない自身を叱咤し、再び挑戦を開始する。その一歩は必ず、真の成長へとつながります。

 どんな分野であれ、挑戦者の姿はあります。ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士は、「研究は、やり始めたらやり遂げることが大事」と、答えを得るまで徹して研究を続けました。

 トップ棋士の谷川浩司九段は、「一つのことをやり続ける」その大切さを先輩棋士から学びました(『構想力』角川書店)。その中で、現役最年長の有吉道夫九段は70歳を過ぎてなお、若手棋士と指し続けています。故・原田泰夫九段は引退後も毎日、棋譜を並べて研究したそうです。「飽くなき向上心で、将棋の道を歩み続ける二人の真摯な姿勢に胸を打たれた」と、谷川九段は述懐しています。

 一つのことをやり続ける大切さを、現在は希薄になっているように思います。失敗の中から学ぶことができれば、道は必ず開けます。   

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2011年10月28日

二本松の菊人形

 今、福島県二本松市で、日本最大の菊の祭典「二本松の菊人形」が開催中です。震災の影響により、一時は開催も危ぶまれましたが、「菊のまち 二本松」の伝統を守るため、期間を短縮し、入場無料で開催しています。
 例年、十数万人が訪れていますが、本年も職人が丹精を込めて作り上げる菊人形や世界に誇る千輪咲き、その他約600点の菊花を満開にして、例年以上の来場を心より待っています。

 開催期間 平成23年10月15日(土)~11月13日(日) 午前9時~午後4時

くわしくは http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/kanko/kiku/kiku-annai57.html


 菊作り/咲き揃う日は/蔭の人」。これは作家の吉川英治の句といわれていますがが、菊は、優雅な大輪や馥郁たる香り以上に、愛で育てた“陰の人”に思いをはせる花です。

 菊を「鞠」とも書きます。鞠は「窮める」(きわめる)の意味を持ちます。丹精を尽くし、徹して守り支える存在があってこそ花開きます。菊も人も。

 

  

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2011年10月27日

対話の秋・読書の秋

 “対話の秋”ですね。新しい友との語らい、旧友との再会に心がはずむ季節です。また"読書の秋"でもあります。

 友と共通した一冊の本をめぐって語り合うのも、対話が弾む一つの手段です。その対話の中から新しい発見が見出せる時もあることでしょう。

 聞くことを軽視しては、何事も成し得ません。「平和研究の母」といわれているE・ボールディング博士は語っています。「『平和の文化』とは、『人の意見に耳を傾ける』ことから始まります」「対立意見に耳を傾ければ、見えなかった本質が浮き彫りにされ、問題の核心をつかむことができます。聞くことは、平和の実践の美しい模範となります」と。

 今日27日は「文字・活字文化の日」です。又、今日から11月9日までが「読書週間」となっています。「信じよう、本の力」が本年の標語となっていました。
 文字には、書き残した人の思想、哲学、人生が息づいているものです。真実・真情を書き記した文字は、時を経てなお、力を発揮します。文字の力は偉大です。何に学び、何を書き残すか、それが問題ですね。
  

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2011年10月26日

失敗に学べる人は強い

 努力したわりに結果が期待通りでなかった経験は、誰もが味わっています。今の時期はその連続かもしれませんね。しかしその時、それを無駄な経験だったと否定的に捉えるか、それとも「この経験を通して自分は何を学べるのか」「次へ生かすためにどうしよう」と考えるか。で、次への歩みが大きく変わってきます。小さな一歩でも、積み重ねるほどに、挑戦と変革に着手した人と、そうでない人の間には大きな差が開くと私は思います。

 人間、そうした状況におかれると、悔いが残ってしまいがちですが、失敗に学べる人は強いですね。なぜなら失敗しても、それを教訓として生かせるからです。それはやがて、失敗を恐れない人間に成長していくことでしょう。  

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2011年10月25日

ダイヤモンド

 その美しさに心を奪われるのがダイヤモンドですね。もちろん男性より女性のほうが圧倒的に多いのですが。このダイヤモンド、鉛筆の芯や炭と同じ炭素原子からできているにもかかわらず、自然界の物質の中で最も硬く、かつ、きらめく光を放つのは、なぜでしょう。

 その理由は“原子のつながり方”にあるようです。地球の奥深くで2000度ともいわれる高熱と、数万気圧という高圧によって、炭素原子がピラミッドのような正四面体の形に結合することで、ダイヤモンドになるのです。人はその労苦の輝きに魅了されるのでしょうか。

 仏教においても、盤石・最上・最勝のものの譬えとして、「金剛」という言葉が用いられます。仏の身を「金剛身」と喩えます。これは仏は、ダイヤモンドのように堅固で、いかなる煩悩や迷いにも壊れない事を、言葉以上に人は納得するからでしょう。
 そういえば、ずいぶん前ですが大相撲にも、「金剛」と言う関取がいました。関脇までしかいけませんでしたが、親方の娘さんと結婚し部屋を継承しました。こちらもダイヤモンドを手に入れたことになるのでしょう。

 この“硬さ”も“輝き”も、極限状況の中で生まれた団結の賜です。この方程式は、人間社会にも通じませんか。良い組織や優良企業は個性がギュットまとまり、光り輝いています。  

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2011年10月24日

女性が社会を大きく変える力

 世界で初めて全身麻酔による手術に成功した医師・華岡青洲。しかし彼の成功よりも、彼を支えた女性たちのほうが有名です。
“病に苦しむ人々を何としても救いたい”と、一心不乱に麻酔薬の研究に打ち込む青洲を、わが身を捨てて支えた妻や実母らの存在なくして、近代医学の飛躍はありませんでした。その陰の功労は、有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』で光を当てられ、広く知られるようになりました。

 明治の歌人・与謝野晶子は『みだれ髪』などの文学活動はもちろん、女性の地位の向上に尽くしたことでも知られています。
 晶子の一番の功績は、女性が社会を動かす大きな力となる先見を示し、女性的な原理――平和、平等といった調和や安定、無駄な争いの否定などが社会には必要だ、と訴えた点といわれます。
 女性が自由にものを言えない時代、「自ら恃むところを信じ、人間にとって大切だと確信するものを前面に押し立てて」日本を教育した、と(『代表的日本人』ちくま新書)

 いつの時代も、女性が社会を大きく変える力となっています。
  

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2011年10月23日

平和な社会

 「お母さんは○○です!」。○○に言葉を入れて、皆で発表し合う。「お母さん業界新聞」の藤本裕子編集長は講演した折、必ず会場で行うそうです。
 「お母さんは太陽です」「お母さんは元気です」「お母さんは忙しいです」……発言が続くと、参加者の心が不思議と温かくなり、母の存在の大きさを感じさせます、と藤本さん。残念ですが「お父さんは○○です」と皆で発表し合うと、言葉が途切れるそうです。

 『M』とは命の源、『マザー(MOTHER)』の音。子どもが一番、最初に覚える『マー(お母さん)、マー』という音に通じます。洋の東西を問わず「お母さん!」に、人は命を感じます。

 母は「生命の大地」です。戦争や暴力が絶えない文明は「母を忘れた文明」とも言えましょう。21世紀こそ「お母さんを大切にする文明」を広げていきたいものです。その一歩は「親孝行」と私は思います。
 母を、そして父を、いつも心に持つその人が、自身の人生を開き、平和な社会を築いていきます。  

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2011年10月22日

誰よりも“現場”を知っている人が、賢明な判断ができます

 誰よりも“現場”を知っている人が、賢明な判断ができます。

 戦後に流通した一円札紙幣をご存知ですか? 表の肖像には二宮尊徳が描かれていました。私は小さい頃に使った記憶があります。

 この二宮尊徳は、要領よく仕事をこなす者より、“人のために”との心で、皆が嫌がる仕事にも、懸命に励む者を高く評価したそうです。
 その尊徳が、荒廃した村の再建を任されていた時の逸話があります。尊徳に、“信じられないほど多くの仕事をする”男を紹介されたそうです。監視役員に彼を表彰してはどうかと促されたそうです。尊徳は、「私の目の前で働いてみよ」と命じました。男は偽りを認め、「監視役員の見ている時だけ懸命に働いた」と白状したそうです。
 どうして、尊徳は彼のごまかしを見破ることができたのか? それは、尊徳が村人たちと苦労を共にしていたからと言われています。尊徳は誰よりも早く畑に出て働き、最後まで残りました。それゆえ一人の人間ができる仕事の限界を知っていました。だから嘘を見抜くことができたのだ。と

 道徳教育が見直されていますが、苦労しらずの人がリーダーになったら、かわいそうですね。  

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2011年10月21日

サポーター

 サッカーのJリーグは優勝争いたけなです。名古屋グランパスの連覇はなるのでしょうか。中日ドラゴンズも一時は首位と10ゲーム差でしたが見事に逆転優勝。球団史上初めての連覇を成し遂げました。グランパスもと願うのは私だけではありません。

 サッカーを応援する人を「サポーター(支援者)」と呼びます。ブラジルでは「12番目のシャツ」の別名もある通り、選手と一緒にプレーする気持ちで声を振り絞っています。震災で被害を受けた仙台を本拠地とするベガルタ仙台は開幕以来、快進撃を続けました。現在Jリーグで5位です。「サポーターの声が地響きのように感じられた」「命の底から力が湧いた」と語る選手たちもいます。周囲の懸命な励ましが、どれほど前進の力になるかを証明してくれています。

   

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2011年10月20日

新米入荷

「新米入荷」の報道を見るようになりました。東日本大震災で米不足が心配されましたが、入荷は順調なようです。

 良米をはぐくむ条件は夏の日照りや厳寒のような厳しい環境だそうです。つまり、米が懸命に根を張ろうとする、ぎりぎりの環境を、どう作れるかが大事だそうです。被災地でも、震災直後から田んぼを耕し、稲もそれに答え、懸命に稲穂が成長する姿はすごいものです。

 農業といえば、3K(きつい・汚い・危険)と言われて久しいですが、今若者が農地に帰ってくる姿が多いと聞き少し安心しています。『可能性・価値・感動』を与える新世紀の3K農業を目指して「土」と対話をして欲しいものです。

 心ひとつで、人生は180度、大きく変わります。田・畑を耕すなかにも、詩をつくるのと同様の喜びがあり、価値があり、感動があります。それを理解できることが「心の豊かさ」です。それを生み出すのが「心の強さ」ということでしょう。  

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2011年10月19日

読書週間

 今月27日から「読書週間」が始まります(11月9日まで)。本を通して人類の英知の言葉に触れるひとときも大切ですね。

「読書週間」について

 終戦まもない昭和22年、まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなかで「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、11月17日から、第1回『読書週間』が開催されました。
 そのときの反響はすばらしく、翌年の第2回からは期間も10月27日~11月9日(文化の日を中心にした2週間)と定められ、この運動は全国に拡がっていきました。
 そして『読書週間』は、日本の国民的行事として定着し、日本は世界有数の「本を読む国民の国」になりました。
 いま、電子メディアの発達によって、世界の情報伝達の流れは、大きく変容しようとしています。しかし、その使い手が人間であるかぎり、その本体の人間性を育て、かたちづくるのに、「本」が重要な役割を果たすことはかわりありません。
 暮らしのスタイルに、人生設計のなかに、新しい感覚での「本とのつきあい方」をとりいれていきませんか。

 『読書週間』が始まる10月27日が、「文字・活字文化の日」に制定されました。よりいっそうの盛り上がりを、期待いたします。 2011・第65回 読書週間標語 信じよう、本の力
http://www.dokusyo.or.jp/index.htm  より


 ところで、ノート型パソコンや携帯音楽プレーヤーなど、今やHDD(ハードディスク駆動装置)の小型・大容量化に欠かせないのが垂直磁気記録方式です。その記録方式を発明したのは東北工大の岩崎俊一理事長で、垂直磁気記録の父と呼ばれています。
 岩崎氏は、この記録方式の発想をトルストイの大著『戦争と平和』における“ボロジノの戦い”の描写の中から得たそうです。氏の弛まぬ研究・努力があればこそ世界的な技術革新につながったことは間違いありません。そのうえで、世界最高峰の文学作品に触れたことで発想のヒントがひらめいたことは、一冊の本が一人の人生を大きく変えた証左といえましょう。
 秋の夜長、良書に親しみましょう。


  

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2011年10月18日

分かりやすい文章。美しい文章

 法華経には現在残っている漢訳だけで3種類あるそうです。なかでも、羅什三蔵訳「妙法蓮華経」が最も愛されてきたことは有名ですね。それは一つに「いちばん文章が美しいから」だといわれます。

 法華経だけに限ったことではありません。中国の古典「春秋」の注釈書にも3種類ありますが、今日まで広く親しまれてきたのは「春秋左氏伝」です。その理由に文章の美しさを挙げる人は多いそうです。

 「妙法蓮華経」も「春秋左氏伝」も、もとは同じテキストです。しかし人々への影響力の大きさという意味で、何が道を分けたのかと言えば、訳者の目的観ではなかったでしょうか。それは 「誰もが理解しやすいように」「後世に読む人が分かるように」あるいはまた、「別の言語に重訳される時がくるかもしれない」との想い・・・・・。

 書物は知識をひけらかすためのものなのか。否、人間の幸福と社会の進歩に貢献するもののはずです。その目的観の厚みが、結果として、美しく分かりやすい文章に結実したとおもいます。私も分かりやすい文章。美しい文章が書きたいと日々思っています。  

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2011年10月17日

継続は力なり

 「継続は力なり」は万般に通じる鉄則です。中国の京劇に、こんな戒めがあります。「稽古を一日休めば、衰えは自分にわかる。二日休めば、舞台の相方にわかる。三日休んで舞台に立つと、客が承知しない」と。

 2200万個の星を再現する最高峰のプラネタリウム「スーパーメガスターII」。
http://www.megastar.jp/
 肉眼では到底、とらえることのできない星も映し出し、国際的に高い評価を得ています。これを手掛けたプラネタリウムクリエーターの大平貴之さんは、“見えない星”にまでこだわった理由を、肉眼では見えない暗い星がたくさんあって、宇宙の存在感、奥行きを与えている、と。
 人間という小宇宙の“奥行き”をつくるのも、他からは見えない“努力”という“星”でしょう。人知れぬ努力を重ねた分だけ、人格は磨かれ、自身も光る事でしょう。
 若者の中には、華々しい結果だけを追い求め、目標の途上で困難に直面すると、挑戦の意欲をなくしてしまう人がいます。大した困難もなく成功を手にしたとしても、それは月が太陽に照らされて光っているようなものです。苦難に立ち向かい、自身を鍛えなければ、真に輝く自分を築くことはできないのでは。

 残念ながら11年連続は逃しましたが、10年連続で200本安打を達成した大リーグのイチロー選手。出身地ある愛知県豊山町には、帰省しても同じストレッチ運動ができるよう、アメリカで使う器具と同じものが設置されているそうです。自ら決めたことを、倦むことなく徹して続ける。この「持続へのこだわり」があればこそ、わずかな体調や感覚の変化を、いち早く察知し、対処して、活躍を続けられたのでしょう。明年も200本安打に挑戦です。  

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2011年10月16日

長途の旅

 東北新幹線が全線開通して東京から新青森まで3時間余りで行くことができます。かつて、上野と青森を結んだのはJRの特急「はつかり」でした。

 運行開始は50年前の10月。この「はつかり」は東北新幹線が八戸まで開通した2002年まで、みちのくを走り続けました。「はつかり」の名は、渡り鳥の雁(かり、がん)にちなんでいます。越冬のため、はるかな距離を渡り切らなくてはならない。それは、生き抜くため、幾多の苦難と戦う長途の旅ともいえましょう。人生という旅も同じですね。

 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に、「ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから」(集英社)。度重なる逆境に遭おうとも、前に進む。その一歩一歩の中に、本当の幸福があります。便りや知らせのことを「雁書」ともいいます。

 東日本大震災から7ヶ月余。これからも幾多の苦難と戦う長途の旅が待っていますが、前に進む。その一歩一歩の中に、本当の幸福があることを信じてください。もうすぐ冬がやってきますが、その後には必ず春がやってきます。負けないで!! 祈っています。  

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2011年10月15日

チリの鉱山落盤事故の救出劇

 ずいぶん前の出来事のように思っていましたが、わずか1年前の事です。〈10月13日に69日ぶりに救出〉南米・チリで鉱山落盤事故の救出劇がありました。東日本大震災以前のニュースは曖昧になっています。記憶とはこんななものですね。

 この鉱山落盤事故の救出劇に、世界中が快哉を叫びました。なんと地下700メートルの深さです。東京スカイツリー(634メートル)も完全に埋まるほどの暗黒の深さから、33人は生還しました。2カ月余にわたり、被災者にこまやかな配慮をしつつ、英知を集めた救出作業は見事でしたね。私もテレビ画面を見ていました。
 救出された33人は、ほとんどが“救出は自分が最後でいい”と譲り合ったそうです。病院に行かず、最後の一人が救出されるまで現場で見守りたいと伝えていました。仲間とは嬉しいものです。地球の反対側から、たくさんのことを教えてくれました。それは勇気であり、団結であり、絶望の淵にあっても希望を生み出す、人間の価値創造の力です。

《 救出劇のその後のこと 》

 チリ政府は今年8月、困窮対策として、50歳以上もしくは健康を害している14人に対し、月額25万ペソ(約3万7000円)の年金支給を開始しています。

 事故があったサンホセ鉱山は閉山し、鉱山を所有していたサンエステバン社は倒産しました。33人は会社に対し総額55億ペソ(約8億円)の損害賠償請求訴訟をおこしています。さらに31人が政府に対して「監督責任を怠った」として、1人につき2億5000万ペソ(約3700万円)を請求しているそうです。

この救出劇の映画が創られると聞いていましたが、どうなったのでしょう?

  

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2011年10月14日

良い師匠。良い先輩を持つことは大切です

 キンモクセイの季節ですね。モクセイは別名「九里香」とも。その名の通り、秋風に乗って香りは遠く広がっていきます。しかし、どんなに香りの良い花があっても、「花の香りは風に逆らっては進んで行かない」。釈尊はこう語っています。「しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る」と(中村元訳『真理のことば 感興のことば』)。

 “自分にはできない”――そう決めて、自身の弱さを肯定することは、往々にしてあるこです。しかし、これはやろうとしない自分への弁解ともいえます。反対に、悩み苦しんでも、解決できると努力を惜しまない挑戦の姿勢。この“たゆみない実践”の先に、自分の本当の力も出てくるのではないでしょうか。

 『論語』の中で、弟子の冉求(ぜん ゆう)※ が師匠の孔子に、自らの真情を吐露します。「先生の教えを喜んでいないのではなく、私の力が足りないのです」と。孔子は「力が足りない者というのは、中途でやめてしまうものだ。今、あなたは力が足りないのではなく、自ら力を限定してしまっているにすぎない」と励ましたそうです。良い師匠。良い先輩を持つことは大切です。

 ※冉有(ぜん ゆう)は、孔門十哲の一人。孔門十哲(こうもんじってつ)は、「孔門の十哲」「四科十哲」ともいわれ、孔子の弟子の中でも最も優れた十人の弟子をさします。
 名は求、字は子有。行政手腕に優れ季氏に用いられる。孔子からも政治の才能を認められ、大きな町や卿の家の長官として取り仕切ることができると評された。
一方、消極的な人柄であったようで、孔子から「聞くままに斯れこれを行え」と激励されている。

  

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2011年10月13日

豆腐

 豆腐は奈良時代に遣唐使によって日本に伝えられたともされています。そして今、味噌汁や粕汁や鍋料理の具材などとして、日本では非常に一般的な食品となっています。

 しかし、この豆腐、かつて米国では「家畜の餌」と呼ばれ、最も嫌いな食べ物に挙げられていたそうです。それが今、健康ブームも手伝って、全米の半数のスーパーで販売されるまでになりました。
 乳業企業の駐在員が豆腐を米国に持ち込んだのは、20年前。彼は試行錯誤の末、米人向けレシピ本を出版。「ミスター・トーフ」と名乗り、新聞の連載やラジオ番組も手がけました。普及への突破口は、飲み物にしたシェークだったそうです。“売れない”と思ったら、勝負は始める前から負けている。骨を埋める覚悟で打ち込めば、できないことはない――仕事を成した彼の結論である(『豆腐バカ 世界に挑む』雲田康夫、光文社)  

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2011年10月12日

読書の喜び

 何かを信じることは、人が生きていくうえで大切なことです。しかし、自分に自信を持つことが難しい時代でもありますね。さてどうする!!

 心理学に「自尊感情」という言葉があります。これは「自分自身に価値を見いだし、自分を好ましいと思う感情」を指すそうです。この「自尊感情」が高ければ、安らかな気持ちで物事に挑み、豊かな人間関係を維持できるそうです。反対に「自尊感情」を失うと、自分は生きている価値のない人間と思いこみ、行き詰まってしまう事になってしまいます。

 熱心な読書家で知られたナポレオン。あだ名の一つに「熊」があります。それは数日間、部屋に鍵をかけて閉じこもり、読みふけった所から付けられたそうです。
 維新の教育家・吉田松陰の読書欲も凄まじかったようです。1年になんと500冊読破することもあったとか。そして読了すると、読書録に“卒業”と記したそうです。本を読むことが“学校”だったと、松陰は語っています。
 文豪ゲーテは少年時代、アンソンの『世界周遊記』を読んだ衝撃を「頭のなかでこの素晴らしい航海者とともに旅をし、広い世界に連れだされた」と述懐していいます。そして「数多の書物に出合い、さらに豊かな実りに恵まれることになった」(山崎章甫訳『詩と真実』岩波文庫)と、記しています。

 ある識者は「一冊の良書は、偉大な教師に巡りあったのと同じ」と。そして青春時代、時間をこじあけるようにして読んだ経験を通し、「『読書の喜び』を知っている人と知らない人とでは、人生の深さ、大きさが、まるっきり違ってしまう」と語っています。
 自分に自信がもてない人、今月27日から読書週間が始まります。この時を機会に読書に挑戦しましょう。

   

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