2019年03月21日

なんも、なんも

 流行語大賞にも選ばれましたが、昨年の、平昌五輪・カーリング女子の選手が使っていた「そだねー」が、親しみのわく北海道弁として話題でした。
 緊迫した試合展開の中でも笑顔を忘れず、仲間の考えをひとまず肯定的に受け止める。それでいて、言うべきことは遠慮せず口に出し、絶妙な作戦を導き出す。ちょっとした方言も、見方によっては含蓄を生みます。
 創価学会の池田先生がかつて、「私の好きな北海道の言葉」と語った方言があります。「なんも、なんも」という言葉です。例えば、友の苦労をねぎらったり、迷惑をかけたりしたことを謝ると、この言葉が返ってくる。「そこには、相手に余計な気をつかわせまいとする思いやりの温もりがあります」「難儀なことにも、『たいしたことないさ』と自分自身を鼓舞する大らかな響きがあるのです」(『忘れ得ぬ旅 太陽の心で』潮出版社)  

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2019年03月20日

その日のために学んだのです

 南アフリカ元大統領のマンデラ氏を長年取材したジョン・カーリン氏の著作『二人のマンデラ』(潮出版社、新田享子訳)。ここには、牢獄からの釈放後、民族の和解に尽くしたマンデラ氏の功績に光を当てています。
 印象的なのは、旧体制に固執し、武力闘争も辞さない構えでいる白人の将軍らの心を、話し合いによって変えていくシーン。マンデラ氏は自分の民族の言葉でも英語でもなく、いわゆる白人の言葉であるアフリカーンス語でしゃべりました。母語で話し掛けられた将軍は、次第に心の武装を解き、氏の人格に引かれていったのです。
 氏がその言葉を学んだ場所は獄中でした。白人看守と話をするためだけではない。いつの日か釈放され、白人と共に新しい国づくりを進める時が来ると信じていたのです。その日のために学んだのです。白人の歴史や文学も、ひもといた。この他者のことを想像する姿勢こそが、融和の道を開いたのです。  

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2019年03月19日

子どもが心の奥底で一番求めているものは

 少年は、物理の授業の前に思いました。“これは、本当に自分のやりたいことなのか”。答えは「ノー!」。退学を申し出て美術学校に入り直してしまいました。
 だが親は反対しなかったそうです。「母は、わが子にとって何が一番幸福か、判断してくれたのです。『あなたが好きな道ならば、しっかり頑張りなさい』と」。絵の技術は平凡だったが、努力を重ね、夢をかなえた。少年は、世界的な絵本画家になったワイルドスミス氏でする
 創価学会の池田先生と対談した氏は、先生から「子どもが心の奥底で一番求めているものは?」と問われ、「幸福です」と即答しました。納得!!  

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2019年03月18日

900年以上

 ギリシャの哲人ソクラテスは、自らの思想を書物に残しませんてした。彼の思想を著作に残したのは、プラトンをはじめとする弟子たちです。
 プラトンは、今も、この先も自身の作などない、と記しています。あるのは「若く美しくなったソクラテス」のものである、と。教育者の林竹二氏は“ソクラテスの思想が、プラトンという魂に種を蒔き、実を生じさせた。ゆえにその実は、師匠のものでもある”と捉えています(『若く美しくなったソクラテス』田畑書店)。
 師の分身として立ったプラトンは、ソクラテスに代わって語り、彼が創設した学園アカデメイアは900年以上にわたり人材を輩出したのです。  

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2019年03月17日

千年に一度の学びの機会

 毎年3月11日が過ぎるとテレビや新聞の震災報道が減っていきます。まだ8年です “過去の出来事”にしてはならない出来事です。
 南三陸ホテル観洋のおかみ・阿部憲子さんが語っています。「“千年に一度の災害”は、“千年に一度の学びの機会”と捉えるように考え方を変えました」。同ホテルでは「語り部バス」を毎日運行し、スタッフが震災の教訓を伝えているそうです。
  

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2019年03月16日

これだけのものが買えるのか

 引っ越しシーズンですね。今は、キッチングッズや洗面道具、文具類……日用品や生活雑貨は「100円ショップ」に行けば、手軽に買いそろえることができます。100円とは思えない充実した品ぞろえです。
 「これ、なんぼ?」「100円でええ」「これは?」「それも100円でええ」――国内外で5000店以上を持つ最大手のチェーン店が、かつて移動販売での開店準備中、客にせかされ、とっさに答えたことから“100円均一の商売”が始まったそうです。
 当初は“安物買いの銭失い”と笑われました。奮起した創業者は、原価率を上げ、徹底して商品開発に力を入れました。流通コストも見直しました。やがて“あの店のものは品質がいい”と評判になっていきました。創業者は語っています。「一〇〇円で、これだけのものが買えるのか、と思ってもらわないとダメ」「恵まれない立場にいる方が、その状況から頑張れるからいい」と。(大下英治著『百円の男 ダイソー矢野博丈』さくら舎)
 環境に恵まれても、物事が成功するとは限りません。変革への動機は生まれにくい。むしろ制限された条件下で必死に考え抜く中で、斬新な知恵が湧くのです。  

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2019年03月15日

まず勝つと決める

 故・実業家・松下幸之助氏の講演会でのこと。一人の中小企業の経営者が、どうすれば松下さんの言う経営ができるのかと質問したそうです。氏は答えました。“まず大事なのは、やろうと思うこと”。その時の聴衆の一人で、後に世界的企業に成長した会社の経営者は、「“できる、できない”ではなしに、まず、“こうでありたい。おれは経営をこうしよう”という強い願望を胸にもつことが大切だ」と感じたという(『エピソードで読む松下幸之助』PHP新書)
 勝てるかどうかではなく、まず勝つと決める。最後まで諦めない。大逆転のドラマは、わが一念から始まるのです。  

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2019年03月14日

師弟の旅

 不朽の名作『神曲』は「師弟の旅」として描かれています。師匠はローマの大詩人ウェルギリウス。弟子は若きダンテです。
 師が弟子に繰り返し呼び掛けた言葉は何であったか。それは「怖れるな!」。苦難の旅路にあって、師は時に温かく、時に厳しく、弟子の心を鼓舞し続ける。「怖れるな、わたしが君を導くかぎり」「怖れるな。われらの進むを妨げる力は誰にも無し」と。(寿岳文章訳)
 弟子ダンテは師弟の旅の喜びをうたいました。「さあ行きましょう、二人とも心は一つです」と。(平川祐弘訳)。
  

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2019年03月13日

直筆原稿

 そうそうたる文豪たちの直筆原稿を展示会で見たことがありますか。芥川龍之介は原稿用紙のマス目からはみ出すことのない小さな文字。川端康成はマス目を左右いっぱいに使う横長の字が特徴的です。
 「筆跡鑑定」があるように、文字は書き手を物語ります。しかし、かつて、本の出版後は著名な作家の原稿でさえ、古書店や美術商に流れたり、破棄されたりするものも多かったそうです。貴重な肉筆を処分するとは何ともったいないことを、と惜しまれますね。
 「戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない」――創価学会の池田先生の小説『人間革命』の直筆原稿は今も大切に保管されています。師の筆致を未来に残すため、当時の編集担当者が印刷工場へ回す分を、別の原稿用紙に書き写していたからです。
 『人間革命』『新・人間革命』の直筆原稿は、展示会などに特別出品されたこともあり、わが目に焼き付け、師の心を学んだ人は少なくない事でしょう。かつて先生は語りりました。「私は毎回、原稿を書く時、『これで、皆が本当に勇気を持てるのか。希望を持てるのか』――そういう思いで、命を削って書いているんだ」と。すごいですね!!  

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2019年03月12日

フィルターバブル

 ある店にやって来た初対面の2人。だが気まずさを感じることはない。これは、店にある機械が、データをもとに、2人に最良の「話題」を提供してくれる。星新一氏の「ナンバー・クラブ」という小説の話です。店を出た主人公は偶然、親しかった旧友と再会して別の店へ。しかし全く会話が盛り上がらない。主人公は再びナンバー・クラブへと戻っていきました(『星新一YAセレクション 妄想銀行』理論社)
 人間の触れ合いに機械が介在する滑稽さを風刺した話ですが、実はこれに似た状況が今、ネットの世界で起きているのです。「フィルターバブル」と呼ばれるものです。
 ネットで情報を探す際、利用者の傾向を反映した情報が優先的に表示され、他の情報は目に入りにくくなる。次第に特定のフィルターで選別された情報に囲まれ、“バブルの球体”の膜に包まれたような状態になるのです。そうですね、ネットを利用している私も感じます。  

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2019年03月11日

ユキヤナギ

 しなやかな枝ぶりに、無数の小さな白い花をつけるユキヤナギ。「雪柳」と書くが春の花です。花言葉の一つは「けなげ」だそうです。
 歌手のMicroさん(Def Techのメンバー)は、この花をモチーフに曲を作りました。冬を耐え、春になって自分らしく精いっぱいに咲くユキヤナギは周りを照らす存在となる、と歌います。人もまた、試練の季節を勝ち越えてこそ人生の春は開く。その姿は、これまで信じ、励まし続けてくれた周囲の人々に希望の光を届けるのです。東日本大震災から8年です。  

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2019年03月10日

言葉を失いました

 創価学会のメンバーで「訪問激励の達人」と呼ばれる、宮城の壮年の話です。①相手の顔を思い浮かべながら祈る②3日に1度は連絡を取る③仕事が休みの時は訪ねる。この3点を実践し続けるとの事です。
 「大きい声ではなく、ボソッと言った小さな声を聞き逃さない。それが本音だからです」「皆、頑張ろうと思っている。だから、本音を聞いて心を軽くしてあげたい。これが励ましと思う」と。
 8年前の東日本大震災――この壮年が言葉を失いました。声を掛けることすら難しい状況。足取りも重くなる。それでも題目を唱えながら、友のもとへ通い続けた。「相手の心の奥深くまで入って激励できるのか。できないのではないか」との葛藤が、いつもあったそうです。
 大切な家族を亡くして泣き伏す友がいました。最初は相手の肩を抱き、一緒に泣くことしかできなかったそうです。通い続けると、だんだん顔を上げるように。「必ず近くに生まれてくるよ」。こう確信をもって言えるには、しばらく時間が必要でした。
 「何カ月もかかるかもしれません。本音の話ができるようになるまで通い続けなければ」と壮年は語ります。。「思いやり」の英語「compassion」の語源は、「共に」(com)、「苦しむ」(pati)。相手の気持ちに思いをはせ、苦しむ心を置き去りにしない「同苦の人」でありたいものです。  

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2019年03月09日

予定を決めて実行することが大事

 昨年。宮崎・鹿児島県境の霧島連山・新燃岳で、7年ぶりに爆発的噴火が発生(6日)しました。激しい噴火が断続的に続き、一時は噴煙の高さが3000メートルに達しました.
 周辺の自治体では児童にヘルメットやマスクを着用させるなど対策が進んでいます。一年が経過しましたが、いまだ、不安な日々を過ごす方々、24時間態勢で対応に当たる関係者に、心からお見舞い申し上げます。
 明後日、8年になりますが、東日本大震災以降、人々の防災・減災に対する意識は格段に高まったといわれています。だが昨年1月、内閣府が公表した「防災に関する世論調査」によると、この1~2年で“家族や身近な人と災害について話し合ったことがない”と回答する人が40%を超えたそうです。
 忙しい日常の中では、災害はいつ起こるか分からない→対策はいつでもいい、となりがちなのが人間の思考回路です。だが自治体が発行する“防災カード”などを活用すれば、短時間で効果的な話し合いをすることができます。避難経路や集合場所、家族との連絡手段、飲料水や食料の確認……実際にやってみると所要時間はわずか15分ほどです。いつかでなく、まず予定を決めて実行することが大事です。  

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2019年03月08日

五十音教育を批判

 福沢諭吉の『学問のすゝめ』は、計300万部を超える明治の大ベストセラーです。自由・独立・平等の新しい価値観が人々の心を捉えたからだが、もう一つの要因は、誰でも読める平易な言葉でつづったことにあります。
 福沢には、こんな逸話があります。最初の近代的国語辞書とされる『言海』を編集した大槻文彦から、それを手渡された時のこと。福沢は感心した様子で手繰っていたが、見出し語の並びが五十音順と気付くと、顔をしかめました。
 当時、小学校で五十音を教えて20年ほどたっていたましが、庶民の実生活では「いろは」がいまだ主流でした。福沢は“「いろは」を知らなければ、下足番もできない”と、五十音教育を批判していたのです。(石山茂利夫著『国語辞書事件簿』草思社)。実学、庶民のための教育を重んじた福沢らしい逸話ですね。  

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2019年03月07日

人生の無上の財産

 昨年の米アカデミー賞で最多6部門を受賞した映画をご存知ですか。それは「ラ・ラ・ランド」です。これは女優を夢見る女性と、ジャズピアニストとして苦闘する男性が織りなすミュージカルです。監督・脚本は32歳のデイミアン・チャゼル氏。以前は自分が望む映画を作る資金もなかったため、短編を制作。それが好評を博し、長編版の完成にこぎつけるなど苦労しました。
 彼はインタビューで「あなたの経験から、他の人に何を学んでほしいか」と聞かれ、こう答えています。「大きな夢を持つことです。僕は、この映画を“ただの夢”ではなく“皆が(無理だと)ばかにするような夢”への賛辞にしたかったんです」と。
 青年には無限の可能性があります。それを引き出す原動力が「夢」でしょう。何より、夢に向かっての苦闘と挑戦そのものが人生の無上の財産となるからです。
  

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2019年03月06日

地域包括ケア

 「地域包括ケア」という言葉を耳にするようになりました。これは、医療、介護、福祉などの垣根を超えて、地域で住民の生活を支える仕組みです。
 その地域包括ケアに先進的に取り組む関係者のシンポジウムや講演会に行くと、よく話題に出る地名があります。岩手県の「沢内村」です。現在は平成17年の合併で、今は西和賀町となっています。
 沢内村は戦後長く、一人の医師もいない無医村で、豪雪、貧困に苦しむ村でした。しかし、村長、村民の努力で日本で最初に「乳幼児死亡率ゼロ」を達成するなど、医療・介護・福祉全体を総合した取り組みは“奇跡の沢内生命行政”と呼ばれ、「地域包括ケアの先駆」として今、脚光を浴びています。財政や自治体の大小ではないのですね。  

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2019年03月05日

全て入っている

 書道の世界に「永字八法」という言葉があります。これは「永」という一文字を書く中に、とめ、はね、はらいなど、書法の基本となる技法8種類が全て入っていることを指します。古来、書道の練習に使われてきたそうです。
  

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2019年03月04日

黙ってページをめくり続けたそうです

 黒澤明監督のもと、数々の作品に携わった脚本家の橋本忍氏。彼が映画『七人の侍』の脚本の決定稿を書き始めた日、黒澤監督が氏の元へ。分厚い大学ノートを取り出し、黙ってページをめくり続けたそうです。
 覗き込むと、そこには「歩き方」「わらじの履き方」「声を掛けられた時の振り返り方」など、あらゆる場面における登場人物の立ち居振る舞いが、細部に至るまで書き込まれていました。
 氏によればシナリオを書く際、誰もが大まかなストーリーが整うと、人物設定で手を抜いてしまいがちという。しかし、シナリオの出来栄えを最後に決めるのは「人物の彫り」。「人間は恐ろしいほど数多い共通点を持ちながら、一人一人に特色があって違うのだ。だからドラマが成立する」(『複眼の映像』文春文庫)と。  

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2019年03月03日

改革への情熱の火種

 灰皿に残る冷たい灰をキセルでかき回していると、小さな残り火が見えた。“これだ”――江戸時代、上杉鷹山が、存続の危機にある米沢藩を再建するため、出羽国米沢(山形県)へ向かう道中の場面に描かれる“火種”のエピソードです(童門冬二著『小説 上杉鷹山』学陽書房)
 心ある人の胸中に少しでも改革への情熱の火種が残っていれば、そこから新しい火を起こし、燃え広がらせることもできる。この鷹山の信念が、藩をよみがえらせたのです。  

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2019年03月02日

光のなかったところに光がさした

 盲・聾・アの三重苦を克服したヘレン・ケラー。彼女は「信仰」と出あった時の感情を「光のなかったところに光がさし」「私の心の地平線は(中略)華やかな運命へと押し広げられた」とつづったています(『私の宗教』高橋和夫・鳥田恵訳、未來社)  

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