2015年10月31日

石工の話

 民俗学者の宮本常一氏が、ある山地で、護岸工事のために石垣を組む石工に話を聞いたそうです。冬の川の中で行う作業には、泣くに泣けないつらさがある。田のあぜの石垣などは、村人のほかに見る人もいない。それを、心を込めて築くのはなぜか、石工は話した。自分の築いた石垣を目にする機会があったら、誇らしい気持ちになる。他の石工が来て、自分の石垣を見れば、ほかの家の石垣を築く時、いい加減な仕事ができなくなる――。
 「結局いい仕事をしておけば、あとから来る者もその気持ちをうけついでよい仕事をしてくれるものだ」。以来、宮本氏は、石垣を注意深く見るようになったという(『宮本常一著作集44』未来社刊)誰が見ていようがいまいが、自分で納得できる仕事を、真面目に、丁寧に積み重ねる。それがおのずと、他の人の見本になっていく――人生も、この石工のようにありたいものです。  

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2015年10月30日

プロップ・ステーション

 神戸市にある、障がい者自立の支援組織「プロップ・ステーション」を設立した竹中ナミさんは、「障がいがある人」を「チャレンジド」と呼んでいます。これは、米国発祥の言葉で、“挑戦する使命を与えられた人”との意味です。
 竹中さん自身にも重症心身障がいの娘がいます。娘を通して竹中さんは、「人間は生きる速度が異なる」ことを学んだという。だから「人と比べる必要なんてない」。大切なのは、昨日より今日の自分が、どれだけ挑戦できたかだ、と。
 一人として同じ人はいません。成長の速さも千差万別です。相手を信じ続けること。相手の速度に合わせて、挑戦を支え、励まし続けること。それを「一人を大切にする」というのでしょう。  

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2015年10月29日

リーダーシップ

 ナチス幹部たちの恐るべき知性の欠如を見聞した米国の経済学者・ガルブレイス博士は、戦後、「リーダーシップ」について思いを深くするようになったそうです。
 ケネディ大統領やインドのネルー首相と親交があった博士は、彼らには「自ら模範を示す」という共通点があったと述べています。「今日必要なことは、『リーダーシップ』ということばを『手本』と入れ替えること」である、と(『おもいやりの経済』福島範昌訳、たちばな出版)  

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2015年10月28日

自然界の生態から、人間は多くを学んでいます

 うるさいハエ。変幻自在の動きで、人間の手を素早くかわす。現代の技術では、その動きを再現する小さな装置を作ることはできないという。昆虫には人知を超えた能力があり、人間の参考になる特徴がたくさんある(丸山宗利著『昆虫はすごい』光文社新書)
 昆虫をはじめ、自然界の生態から、人間は多くを学んでいます。その例の一つが新幹線500系の開発。野鳥のフクロウの翼がヒントになったそうです。開発者たちは時速350キロに挑みますが、試験走行では、トンネル突入時に発生する破裂音に悩まされました。原因の一つが、車両の屋根上にあるパンタグラフでした。フクロウは鳥の中で最も静かに飛びますが、それは、翼の羽の先に突き出た鋸歯状の羽毛のおかげです。その原理をパンタグラフに応用することで、騒音問題を解決したという(前間孝則著『新幹線を航空機に変えた男たち』さくら舎)  

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2015年10月27日

格言

 「水澄む」とは秋の季語です。秋になると空気の爽やかさを感じ、川や湖の水も清らかに映ります。紅葉映える「秋の川」は、この季節の楽しみですね。
 流れない川というものはない。中国の古典『呂氏春秋』に「流水不腐」とあります。「常に動いている水は腐らない。同様に、人間も活動しなければ次第に身も心も衰えてしまう」との格言です。  

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2015年10月26日

失敗に学べる人は強い

 努力したわりに結果が期待通りでなかった経験は、誰もが味わっています。その時、それを「無駄な経験」と否定的に捉えるか、「この経験を通して自分は何を学べるのか」「次へ生かすためにどうしよう」と考えるか。小さな一歩でも、積み重ねるほどに、挑戦と変革に着手した人と、そうでない人の間には大きな差が開くそうです。
 失敗に学べる人は強い。なぜなら失敗しても、それを教訓として生かせるからです。それはやがて、失敗を恐れない境涯につながっていくからです。  

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2015年10月25日

野球大好き少年

 伝説の本塁打王ベーブ・ルースが大リーグに入ったのは1914年。今年で101年になります。
 当初、彼は主に投手を務めていました。第1次世界大戦で多くの選手が徴兵された際、〝登板しない日は外野を守ってみないか〟と監督が提案。喜んで引き受け、18年には投げては13勝、打っては11本塁打を。「2桁勝利と2桁本塁打」は今でも大リーグ記録です。
 この「2桁勝利と2桁本塁打」を、昨年初めて日本で達成したのが、20歳の大谷翔平選手(北海道日本ハム)。米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)も「ルース以来の快挙」と報じました。投打の〝二刀流〟は、〝体力的に無理〟などと否定的意見が多い。そんな常識に果敢に挑み、歴史を開いてみせました。
 ルースは、二刀流に挑んだことを、後に述懐しています。「いまの選手からみると、たいへんな酷使ということになり、選手会も放っておかないと思う。しかし、ぼくは少しも気にしなかった。ゲームに出られたら、それでよかったのだ」(宮川毅訳『ベーブ・ルース自伝』ベースボール・マガジン社)。大谷翔平選手も同じ気持ちの野球大好き少年でしょう。  

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2015年10月24日

情熱を燃やし続けた

 生誕143年を迎えた木彫刻界の巨匠・平櫛田中。彼は72歳で東京美術学校(現・東京芸術大学)の教授になり、86歳で代表作「鏡獅子」を制作。90歳で文化勲章を受章しました。
 98歳から移り住んだ東京・小平市の邸宅は現在、記念館となっています。庭には直径1・9メートルのクスノキの巨木があります。これは100歳の時に田中が、さらに20年、30年と創作活動に取り組めるよう、取り寄せたものです。
 田中は東京芸大を退官するまで、登校のたびに、大学構内に置かれた自身の作品「岡倉天心像」に最敬礼したという。彼が、師と仰ぐ天心から指導を受けた期間はわずかでした。しかし「田中は一日として師恩を忘れなかった」(久恒啓一著『遅咲き偉人伝』PHPエディターズ・グループ)
 「実践、実践、また実践。挑戦、挑戦、また挑戦。修練、修練、また修練」(同)と語った田中。師恩を自身の力に変え、107歳で没するまで、創作への情熱を燃やし続けたのです。  

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2015年10月23日

ものごとを敏感に感じ取れる

 「名工」といわれる旋盤工の職人は、わずか1000分の1ミリの違いを指先で敏感に感じ取るそうです。また、優れたオーケストラの指揮者は、あらゆる楽器が奏でる音の中で、たった一音の違いでも、すぐに聞き分けます。一つの道に徹し、鍛錬を重ねた人の感性は鋭くなっています。
 仏法では、肉眼・天眼・慧眼・法眼・仏眼の「五眼」を説いています。信仰で生命を磨けば、ものごとを敏感に感じ取り、より深く見通せるようになるとの教えです。  

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2015年10月22日

創立者の信念

 昨年、青色発光ダイオードの開発でノーベル物理学賞を同時受賞した、日本人の3氏。その一人、名城大学の赤崎勇終身教授の受賞は「中部地区の私立大学では初」の快挙ともなりました。同じく受賞者の天野浩氏も、かつて同大学の教授を務めています。
 同大学の創立は1926年。理工系の夜間学校として出発しました。創立者の田中壽一氏は、町工場で働く職工たちが専門知識を身に付け、能力を存分に発揮することで世の中の役に立ってほしい、との願いを設立に込めたのです。
 いわく「天地の理を窮め、もって之の天職を全うし、人の道を踏み、以て社会の文化と福祉の向上を図るために、学問をする」と(同大学のウェブサイトから)。今回の受賞で、創立者の信念が、88年の時を超えて花開いたといえましょう。  

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2015年10月21日

「対話」が重要

 立命館大学国際平和ミュージアムのモンテ・カセム館長の話です。母国のスリランカは1983年から、シンハラ人とタミル人の衝突が激化。その中で氏は、水の浄化装置の設置など、社会基盤の整備に奔走し、武装集団との交渉にも当たりました。
 紛争解決の「現場」で、氏が実感したことがあるそうです。それは〝どんな人間でも善意を持っている〟。その善意を呼び覚まし、対立する両者の共感点を見いだす「対話」が重要、と強調しています。  

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2015年10月20日

菓子を通し、人に希望を

 北海道にある砂川市は菓子店が並ぶ「スイートロード」で有名です。その一つの大手高級店のパティシエ(菓子職人)は伝統ある「フランス料理アカデミー」の会員でもあるそうです。
 そのパティシエの原点は20年前にさかのぼります。修業を積んでいた神戸市灘区で、阪神・淡路大震災の被災者にあいました。絶望の淵で「菓子を通し、人に希望を」と誓ったそうです。東日本大震災では、復興支援に汗を流しました。
 砂川でもロケが行われた映画「エクレール・お菓子放浪記」。原作では、悲嘆に暮れる孤児を、大人がこう励まします。「いまの世の中に美しいお菓子がないのなら、キミがそのお菓子になるの。ひとを励ましたりなぐさめたり、生きてることをおいしがらせたりするお菓子になるのよ」(西村滋著『お菓子放浪記』理論社)と。このパティシエもきっと同じ心でしょう。  

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2015年10月19日

長所と短所は、表裏一体

 人の持っている長所と短所は本来、表裏一体です。「わがまま」は「自分に正直」とも言えるし、「引っ込み思案」は「慎み深い」とも言えます。また、短所は長所になるし、長所は短所にもなりえます。
 スポーツライター等で活躍する乙武洋匡氏と、若手書道家の武田双雲氏の対談集『だからこそできること』(主婦の友社)で、生まれつき手足のない乙武氏が言っています。「何かもうちょっとみんなとの違いというものを意識しながら生きていかないと、宝の持ち腐れだなと思った」と。手足のないことを「宝」と捉える強さ。すごい一言です。氏は小学校の教諭を経験し、保育園の開設にも尽力しています。
 一方、武田氏によると、経験が物を言う書道の世界では、若いことがハンディになると語っています。しかし氏は「若いからできることがいっぱいある」と捉え、音楽家や彫刻家などと連携し、独自の創作活動に打ち込んでいるのです。  

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2015年10月18日

誠実にして地道な挑戦

 仏法を友人に語ることを、“成仏の種を心に植える”との意味で、「下種」といいます。これには、正法を聞かせる「聞法下種」と、聞かせた相手が実践を決意する「発心下種」があります。どちらも、植えられた妙法の種は、いつか必ず芽を出し、花と咲くのです。
 日蓮大聖人は「とてもかくても法華経を強いて説き聞かすべし」(御書552ページ)と仰せです。まず、妙法を「語る」ことです。そして、相手の幸せを祈り続けることです。この誠実にして地道な挑戦が、偉大な友情のドラマにつながることを確信しましょう。  

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2015年10月17日

人間たる証しという信念

 昨年ノーベル物理学賞に選ばれた中村修二教授は、大学では工学部に進みました。それは物理を学びたかった気持ちもあり、工学への関心は薄かったそうです。だが、興味深い大学の講義に心を動かされ、電子工学の道で、「もの作り」の醍醐味を体得していったのです。
 その後、地方の化学薬品メーカーに入社し、開発課に配属。だが十分なスタッフや予算が付かない。ならば、と実験装置まで自らの手で作り、ついに青色発光ダイオードを開発しました。当時、苦労続きの氏を支えたのは、価値あるものを創造することが人間たる証しという信念だったのです。  

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2015年10月16日

加齢とともに進化する

 年を取ると、人は衰える――そう捉えがちですが人間には、加齢とともに進化する能力もあるそうです。
 例えば、これまで蓄積してきた学習や経験を生かし、物事を総合的に判断し、問題解決に役立てる「結晶性知能」と呼ばれる能力。これは、高齢になっても劣化することなく伸びていくとの研究発表があります。
 「加齢」と「老化」は、厳密には同義ではないのです。人は、何歳になっても成長し続けることができるのです。  

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2015年10月15日

自主性、自発性、自律性

 今月、開業51周年を迎えた新幹線で、近年注目を集めるのが、車両清掃に携わるJR東日本のグループ会社のスタッフです。東京駅での折り返し時間は12分。そのうち清掃に割ける時間は7分しかありません。その間に、トイレ掃除やゴミ出しも含め、完璧に仕上げるのです。
 経営陣が、業務の改革に立ち上がったのは数年前。鍵は、最前線の社員のやりがいを、いかに高めるかでした。小集団活動や従業員提案活動に取り組み、帽子に桜の花をつけたり、サンタクロースの格好で登場するアイデアも、現場から生まれました。「強い現場、輝く現場に共通するのは、自主性、自発性、自律性です」。挑戦の過程を取材した遠藤功氏はつづっています(『新幹線お掃除の天使たち』あさ出版)  

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2015年10月14日

人間の体

 足の小指に画鋲が刺さる。跳び上がるような痛みは、すぐに脳に伝わり、瞬時に抜こうとします。この反応で、人間の健康と安全は保たれるのです。もしも、こうしたメカニズムがなければ、正常な体を維持することはできません。人間の体は不思議ですね。  

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2015年10月13日

旅の醍醐味

 旅の足が汽車から電車に移り、急行、特急へと、速さも増していった時代。「目的地まで乗っていられる時間が短いのに、なんで余計に運賃を払うんだ」と食ってかかった客がいたという笑い話があります。
 JR東海が2027年開業を目指すリニア中央新幹線。東京・品川と名古屋を約40分で結び、区間の86%がトンネルです。駅弁でおなかを満たし、次は景色を堪能して……という人には「なんで余計に――」かもしれない。
 利便性は、心を豊かにさせる旅の醍醐味と引き換えということでしょうか。  

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2015年10月12日

思い込みや印象が、いつしか事実のように定着してしまう

 思い込みや印象が、いつしか事実のように定着してしまう例は多いものです。
 18世紀のフランス革命。断頭台の露と消えたルイ16世は決して暗愚の王ではなかったし、マリー・アントワネットも浪費専門の王妃だったわけではない。フランス文学者・安達正勝さんの著『マリー・アントワネット』(中公新書)で、あらためて教えられます
 かの、ナポレオンは、見ず知らずの人が自分に熱狂する姿を見てこう語った。と、いわれています。曰く「あの連中は余を知りもしなければ、一度だって余を見たことすらない。ただ彼等は余の噂を聞いていただけだ」「こういった不思議なことは何処の国にも、何時の時代にも、男の中でも女の中でも繰返されるのだ!」(ラス・カーズ著、難波浩訳『ナポレオン大戦回想録』改造社)
  

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