2014年06月30日

アジサイ

 アジサイの色は、土壌の違いや開花後の日数によって変わります。別名は「八仙花」「七変化」。日本で生まれた園芸品種で、奈良期からあったといわれる。だが『万葉集』では詠まれたものの、平安末期まで文学に登場していません。理由として、色の変化が“心変わり”の象徴とされ、近世まで敬遠されてきたと分析されています。
 一方、日本から中国に渡り、やがて伝わった欧州では、色の変化が珍重された。同じ花でも、所により、時代によって捉え方は多様です。  

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2014年06月29日

自分がたまらなくはずかしくなった

 アフリカ・ソマリアの難民キャンプで食糧の配給を待つ、やせこけた少年がいました。写真家の長倉洋海氏は劇的な写真になると思い、レンズを向けました。少年は浮き出たあばら骨を両腕で隠し、人波に隠れた。やせた自分の姿を恥じた少年は〝被写体〟ではない。自分と同じ人間なんだ、と長倉氏は気付いたそうです。
 別の機会に、いかにも〝難民の少女〟らしい、やせ細った少女を撮ろうとした。ところがその時、少女はにっこりほほ笑んだ。長倉氏は「『難民らしい』写真を撮ろうとしていた私の意図は、その少女のほほえみにうちくだかれた。私は自分がたまらなくはずかしくなった」と(土方正志著『ユージン・スミス 楽園へのあゆみ』偕成社)  

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2014年06月28日

一流の人格者

 米大リーグのシアトル・マリナーズが行っている地域貢献活動「DREAM」には①薬物防止②自他共への尊敬③高い教育④態度・振る舞い⑤やる気――を触発する意味が込められています。単に夢を語るのではなく、人生で大切なことを、自らの存在を通して子どもたちに伝えていく運動です。
 特筆されるのは、この取り組みが、年間162試合という過密スケジュールのシーズン中に行われている点です。また大リーグには、毎年、社会貢献に尽くした選手に贈られ、高い権威を持つ「ロベルト・クレメンテ賞」があります。一流の選手は、社会に尽くす〝一流の人格者〟でもあるべきだ、という考えが根付いているのです。  

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2014年06月27日

文章軌範

 宋代の中国に『文章軌範』という、作文の技法を教える書がありました。これは難関の「科挙」試験のための参考書で、そこには「初めは胆の大なるを要し、終りは心の小なるを要す」とあります。初めは思い切って、大胆に書き、その後に、細かいところに心を配ればよいという。外山滋比古さんが紹介している(『文章力 かくチカラ』展望社)  

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2014年06月26日

一貫性がない

 ローマ帝国が滅亡の坂を転げ始めた3世紀。その前兆として皇帝が次々に交代しました。平均在位は4年でした。
 「五賢帝時代」と称され、帝国が最も繁栄した頃、在位は約20年だった。『ローマ人の物語』を書いた塩野七生さんは語っています。「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか」(『日本人へ』文春新書)
 その後、すぐに帝国が滅びたわけではありません。度重なる指導者の交代が、一貫性のない統治を生み、国力を弱め、危機を乗り越えられなくなったのです。
 物事の動きには“兆し”というものがあります。仏典には「(水に浮かんだ)華が見事に咲くのを見て、池の深いことを知る」とあります。目の前の変化に一喜一憂したり、目先を少し変えて安心していてはいけない。表面に出てきた姿の裏に真実がある。それを見抜く透徹した眼を持つことが肝要だと教えています。  

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2014年06月25日

世阿弥

 能の大成者・世阿弥に「鵜飼」という作品があります。鵜使いの漁師にまつわる物語です。
 当時の仏教は、魚を取ることを「不殺生戒」を破る大罪としており、この作品では、鵜使いは亡霊となり、地獄の責め苦にあえいでいます。取った魚は調理され、高貴な身分の人に献上される。当時は、魚や鳥を取る人を「賤民」と差別し、さらに「殺生の罪」を着せるが、それを食する「貴人」に罪はない、とした。
 世阿弥は、その矛盾を切々と描写しています。そこに、旅の僧が登場する。僧は、鵜使いに同苦し、法華経をもって救済する。世阿弥には、ほかに、阿漕浦の漁師を扱った「阿漕」。善知鳥という鳥を取らえる猟師を扱う「善知鳥」の2作品があり、構成も似ています。
 いずれも、当時、仏教が「堕地獄」とした人々をこそ、本来、仏教は救うべきではないか、との思いに満ちている作品です。  

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2014年06月24日

格闘した日々

 富士山をテーマにした詩歌や絵画はたくさんあります。中でも葛飾北斎の『富嶽百景』はおなじみです。『富嶽百景』の完成は葛飾北斎70歳代の事です。奥付に北斎は「八十才にしては益々進み九十才にして猶其奥意を極め」とつづっています。北斎が、さらなる高みを目指したのも、富士と格闘した日々あったればこそであろうか。  

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2014年06月23日

沖縄慰霊の日

 沖縄戦による身元不明の遺骨が多いといわれます。その理由について遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏は、「兵隊より住民の犠牲が多かった地上戦であったから」と説明しています。
 30年以上も収集を行う氏によると、遺骨は一緒に見つかる持ち物から兵隊か住民かは分かるが、名前が書かれた遺品が出てこない限り、身元の特定にはつながらないという。兵隊の場合、そうした遺品が見つかるが、それでも100体のうち5体もない割合だそうです。住民にいたっては全くなかった。着の身着のままで逃げ惑った住民の過酷な状況がうかがえます。
 ガマ(壕)の奥でうずくまる少年、正座して自決した兵士など、遺骨は〝沖縄戦の証言者〟であると氏は語る。戦後69年を迎えた今でも、収集作業は続いています。きょう23日は「沖縄慰霊の日」です。  

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2014年06月22日

植物の姿

 「実り多き人生を」と、祝いの席などでよく耳にする言葉です。たくさんの実を結んだ植物の姿に、人は豊かな人生でありたいとの願いを重ねてきました。
 植物の多くは、自分の花のめしべに同種の他の花の花粉が付くことで、実(種子)をつくります。そこで、同じ季節の、同じ月日に、一斉に花を咲かせます。
 なんと時刻まで、開花を合わせる花もあるそうです。例えば月下美人は、夏の夜の午後8時ごろから10時ごろにかけて、次々と幻想的な白い花を咲かせます。植物たちの「仲間とのつながり」を大切にする生き方には、「実り多き人生」へのヒントが詰まっています(田中修著『植物のあっぱれな生き方』幻冬舎新書)  

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2014年06月21日

「島国」と「海国」

 「島国」と「海国」は違う――111年前にこう論じたのは、地理学者でもあった創価学会の牧口常三郎初代会長です。
 島国も海国も、海に囲まれている点は同じですが、異なるのは人々の視野です。「島国人」は「狭量」で「排外的」。狭い土地で争いばかり繰り返している。一方、「海国人」の視野は「大洋全面」に向いている。ゆえに「快活」で「進取的」気性に富む(『人生地理学』)と。  

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2014年06月20日

名の由来

 娘は塩子といった。命名の由来をサラリーマンの父が語ります。「娘にも塩のように地味でいい、地道に、人間としてまっすぐな道を……そういう父親の願いを……」。向田邦子さんの『蛇蠍のごとく』にある一シーンです。
 サラリーマンの「サラリー」とは、昔、働いた分、手にした塩を意味しました。娘の名前には、華やかではない。しかし、信念の道を自分らしく、堂々と進んでほしい。偉くなるよりも、幸せになってほしい。そんな心情が迫ってきます。  

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2014年06月19日

生きようとする意志

 牡丹色の花が、白浜に群れ咲いています。岩手・野田村の十府ケ浦に自生するハマナスが今、見頃です。ここも東日本大震災の津波で浜の土がえぐられ、絶滅も危惧されたが、その年から花を咲かせました。年々、たくましく根を張り、再生が進んでいます。
 がれきの山に葉を伸ばす雑草もそうですが、”生きようとする意志”に満ちた生命の輝きは、真っすぐに人の心に入り、励ましてくれます。  

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2014年06月18日

チャップリン

 今年はチャップリンの映画デビュー100周年です。創価学会の池田名誉会長は、特に1991年の年頭から立て続けにチャップリンについてスピーチしています。その前年の暮れ、当時の法主・日顕が学会の破壊を工作した第2次宗門事件が勃発していました。会長はチャップリンの希望の言葉を語り、会場の壇上幹部らも共に、おなじみの、ちょびひげ、ステッキ姿を身ぶり手ぶりで演じて、宗門の独裁者を笑い飛ばしたのです。
 チャップリンが名画「独裁者」でヒトラーと闘ったのは、ナチスの全盛期でした。その点、日本チャップリン協会の大野裕之会長は、数ある反戦映画の中でも「類を見ない作品」と評価しています(『チャップリン再入門』)  

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2014年06月17日

幻の天保そば

 そばどころ・山形で“幻の天保そば”の食べ頃を迎えています。これは江戸時代後期の「天保の大飢饉」を生き延びた先人が備蓄した、そばの種が原材料となっています。
 16年前、福島県・大熊町の旧家の天井裏で、そばの種が詰まった俵が見つかりました。俵は三重にされ、俵と俵の間に木灰が詰まっていました。材質などから天保年間のものと認定されましたが、腐食がひどく、研究機関は発芽不能と判断したそうです。
 この発芽不能と判断したその種を、山形の製粉会社が譲り受けました。害獣や湿気から種を守り抜こうとした工夫の跡が、そば職人たちの心に火を付けました。試行錯誤の末、160年の時を経て発芽に成功したのです。900粒の種が収穫されました。他品種との交配を避けるため、日本海に浮かぶ飛島の畑で種子を採取し山形市で栽培されて今に至っています。  

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2014年06月16日

親子の対話

 脚本家の山田太一氏が、親子の対話について記しています。子どもが聞く流行の音楽を無理に分かろうとするより、親は親で浪花節の味わいを愛し、集めたレコードに指一本触れさせない関係の方がよい。要は、親が子の前で「どんな人間として立ち現れているか」だと(『日本の名随筆』作品社)。
 親は子どもに寄り添うだけでなく、屹立した一個の人間像を示す必要があると言っているのです。  

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2014年06月15日

転換点

 歴史には常に転換点があります。南アフリカ共和国では1976年6月16日、アパルトヘイト(人種隔離)に対する国内外の怒りが爆発しました。それは、黒人学生らのデモ行進(ソウェト蜂起)がきっかけでした。彼らの、一方的な当局の教育方針に抗議した際、13歳の男子生徒をはじめ子どもたちが、警官隊の発砲の犠牲となりました。
 この事件以降、正義の行動が加速し、あしき政策は91年に完全撤廃されました。そして、この日は現在、南アの祝日「青年の日」となり、アフリカ統一機構(現・アフリカ連合)によって「アフリカの子どもの日」と定められています。
 流血の惨事は繰り返してはならりませんが、歴史転換の原動力、厚い壁に風穴を開ける突破力は、若い力の結集にこそあります。勢いある青年群を先頭に皆が立ち上がり不断の挑戦を続ける時、時代は必ず変わるのです。南アのマンデラ元大統領は「困難や挫折にくじけず、絶望的なときでも闘うのを諦めてはならない」(『ネルソン・マンデラ 私自身との対話』長田雅子訳、明石書店)と語っています。  

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2014年06月15日

転換点

 歴史には常に転換点があります。南アフリカ共和国では1976年6月16日、アパルトヘイト(人種隔離)に対する国内外の怒りが爆発しました。それは、黒人学生らのデモ行進(ソウェト蜂起)がきっかけでした。彼らの、一方的な当局の教育方針に抗議した際、13歳の男子生徒をはじめ子どもたちが、警官隊の発砲の犠牲となりました。
 この事件以降、正義の行動が加速し、あしき政策は91年に完全撤廃されました。そして、この日は現在、南アの祝日「青年の日」となり、アフリカ統一機構(現・アフリカ連合)によって「アフリカの子どもの日」と定められています。
 流血の惨事は繰り返してはならりませんが、歴史転換の原動力、厚い壁に風穴を開ける突破力は、若い力の結集にこそあります。勢いある青年群を先頭に皆が立ち上がり不断の挑戦を続ける時、時代は必ず変わるのです。南アのマンデラ元大統領は「困難や挫折にくじけず、絶望的なときでも闘うのを諦めてはならない」(『ネルソン・マンデラ 私自身との対話』長田雅子訳、明石書店)と語っています。  

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2014年06月14日

子育て

 その靴は、作者の2歳になる孫娘のものらしい。玄関に忘れたまま2カ月が過ぎて、もう足に合わない。「おとなの 疲れた靴ばかりのならぶ玄関に/小さな靴 は おいてある/花を飾るより ずっと明るい」――これは詩人・高田敏子氏の「小さな靴」という詩です(『高田敏子全詩集』花神社)
 かわいい靴が目に浮かび、子 の成長を喜ぶ大人の優しさが伝わってきます。そんな気持ちを常に持てればいいのですが、大人の方に余裕がなくなってくるのが現実です。子が成長するにつれ、反抗すれば 憎らしく、素直すぎたら心配し……  ある保育士が「子育ての心掛け」を語っています。「手を掛けて、手が離れたら目を掛けて、目が離れても心離すな」。さまざまな曲折がある子育ても、心さえ離さなければ、前に進んでいけるということなのでしょう。  

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2014年06月13日

ラストの数分間

 「胸突き八丁」という言葉があります。由来は、富士登山で、頂上付近は急で、息がつまるほど苦しいが、登頂のためには一番大事な時である、というところから、「詰め」の大切さを言います。
 人間国宝、桂米朝さんも「サゲ(噺の最後のこと)の前」が最も「大きな緊張」の時であり、この時に客が物を落とすなど、ハプニングが起こると、それまでのすべての苦労が「水の泡」になると語っています。ゆえに、落語家は「あらゆる技術を駆使」して、「ラストの数分間」を乗り越えます。サゲの前では、「無駄な言葉は一語も許されませんし、そして必要な言うべき言葉は一語も抜けてはいけない」(『芸道百般』筑摩書房)  

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2014年06月12日

スモール・ワールド現象

「知り合いを次々にたどっていけば、『6人』で世界中の人とつながっている」といわれます。この事を「スモール・ワールド現象」と呼ばれますが、最近はインターネット上の結びつきが爆発的に増え、「6人」より少なくなったという説もあります。
思いがけない人と、思いがけない場所で友情の糸がつながると、新しい価値が生まれ、人生が豊かになります。梅雨空にめげず、そんな素晴らしい出会いを重ねたいものです。  

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