2018年10月31日

現代人への警鐘

 ドイツの作家ミヒャエル・エンデの作品『モモ』に、道路掃除人のベッポというおじいさんが登場します。ある日、彼がモモに、自分の仕事の話を始めました。
 いわく、非常に長い道の掃除を受け持つときがある。“とてもやりきれない”と思いつつ、せかせかと始める。時々、顔を上げるが、ちっとも進んでいない。心配でたまらなくなり、ものすごい勢いで働くが、やがて疲れ果ててしまう――ここで彼が一言。「こういうやり方は、いかんのだ」と。
 しばらく黙った後、彼は口を開きました。「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ」「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな」と。(岩波書店、大島かおり訳)
 先のことを思い煩って焦るより、足元を見つめ、「今」を大切に生きることで心は豊かになると、エンデは訴えているのでしょう。日々の忙しさの中で、足元の幸福を見失いがちな現代人への警鐘にも思えますね。  

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2018年10月30日

でもたいせつなのは

 「人生は、だれにとってもやさしいものではない」と述べたのは、本年、生誕151年の物理学者キュリー夫人です。しかし彼女は語っています。「でもたいせつなのは、忍耐力と、なにより自信を持つこと。人はみな、なんらかの天分に恵まれているもの。そしてその天分は、どんなことがあっても花開かせるべき」と(エーヴ・キュリー著『キュリー夫人伝』河野万里子訳、白水社)そうですね。  

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2018年10月29日

活動弁士

 かつて映画が無声だった頃、日本の映画館には映像に合わせて場面の状況などを名調子で語る「活動弁士」がいました。その第一人者の一人が、徳川夢声氏です。
 後にラジオ番組「宮本武蔵」の朗読でも人気を博し、“話芸の達人”として名をはせた氏が「話の目的」を三つに分けて紹介しています。すなわち①意志を伝える②感情を伝える③知識を伝える、である(『話術』白揚社)納得!!  

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2018年10月28日

シモン・ボリバル

 駐日コロンビア共和国大使館前には銅像があります。「南米解放の父」シモン・ボリバルの像です。
 300年にわたる植民地支配からの独立を求めた戦いは1812年、祖国のベネズエラで始まりました。ボリバルは司令官に任命されたものの、仲間の裏切りに遭い、亡命を余儀なくされます。だが、来るべき勝利を目指し、亡命地で祖国解放のための構想を練ったのです。
 翌年、スペイン軍に勝利し、祖国に新たな共和制国家が誕生しました。しかし、その翌年には戦いに敗れ、再び亡命。共和制国家も崩壊。このように、ボリバルの闘争には何度も失敗がありました。そのたびに決然と立ち上がり、新たな勝利を収めました。最初の戦いから12年後、ついに彼は南米5カ国に自由をもたらしたのです。
 古今東西の歴史が示すように、偉大な事業の道程にも、必ず思うにまかせぬ、苦難と嵐の時があります。目先の出来事に翻弄されることなく、「不屈の心」で挑戦を続けた人にのみ、勝利の未来が開かれることを歴史は教えているのです。  

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2018年10月27日

本物の知性は磨かれない

 インターネット上に質問を投稿すると、それを閲覧した人たちから、程なく回答が寄せられます。便利な時代と感心する半面、自分で調べたわけではない“借り物”の知識をため込んでも"本物の知性は磨かれない"のではと心配になるのは私だけでしょうか。  

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2018年10月26日

言葉に生きた

 劇作家で歌人の寺山修司さんが晩年、病身を押して、大学時代の親友で、脚本家の山田太一さん宅を訪れました。”おまえの本棚を見せろ”と言う寺山さんを案内し、2人は懐かしい本を前に、来し方を語らったそうです。
 これは寺山さんの葬儀で、山田さんが弔辞に紹介したエピソードです。どんな本を持ち、どんな文章を読んできたか。それが人格をつくり、人生の背骨となっていく。言葉に生きた2人に、深く学ぶ思いですね。  

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2018年10月25日

 人生、順風もあれば嵐もある

 将棋棋士の大山康晴氏は十五世名人になった翌年、屈辱的な敗北を喫し、無冠に陥落しました。良い時は群がるマスコミも、潮目が変わると手のひらを返す。そんな大山氏を、父が励ました。「自分の将棋を指すように心掛けなさい」(『名棋士81傑 ちょっといい話』講談社)
 そこからの巻き返しはすさまじかった。2年のうちに、王将、九段、名人の三冠を奪取し、以後、名人戦13連覇などを果たしました。さらに、がんの闘病も勝ち越えるなど、生き方そのものが“不死鳥”さながらであったのです。
 氏は、あの父の言葉を、どう受け止めたのだろう。“肩書や立場ではなく、「将棋」という使命の舞台で、自分の信念を貫け”という指針として、胸に刻んだように思えてならない。
 人生、順風もあれば嵐もある。忘れてならないのは、いかに周囲の状況が変わろうと“自分は自分”であるということです。何があろうと前を向いて、一つ一つ、誠実に努力を重ねる。いつか嵐がやんだとき、目覚ましい成長を遂げた自分を発見することでしょう。
 大山氏は色紙に揮毫する際、「忍」とよく書きました。不遇の時代にこそ、本物の負けじ魂が磨かれるのです。  

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2018年10月24日

JR九州

 旧国鉄の民営化から本年ではや31年です。大都市圏を擁する本州に比べ、多くの赤字ローカル線を抱えていたJR九州は当初、将来を不安視されていました。
 さまざまな営業努力を重ねた同社は、一昨年10月、ついに株式上場を果たしました。その躍進を支えた同社の“合言葉”は「本気で『日本一』『世界一』を目指す」だそうです。
 予約が取れないほど人気の寝台列車「ななつ星」では、運行の1年前に乗務員を決め、徹底して研修しました。韓国の釜山と福岡を結ぶ高速船事業は、10年計画で社員の船員資格取得から始めたそうです。鉄道事業の「サービスの基本39カ条訓」に「電話に出る時の声のトーンは、ドレミファソの『ソ』の音で」と明記するなど、細部まで“世界一”を目指しました(唐池恒二著『本気になって何が悪い』PHP研究所)  

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2018年10月23日

レンガ運びをする

 寓話を一つ紹介します。ある日、レンガ運びをする3人がいました。彼らに通り掛かりの人が尋ねました。「何をしているんだい」1人目は「レンガ運びだよ」と答えました。2人目は「壁を作っているのさ」。そして3人目は誇らかに「城を建てているんだ」と。見た目は同じ作業をしていても、心の持ち方一つでやりがいは大きく変わるのですね。
 「何のため」という目的を考える人の心は、限りなく広がっていくりです。  

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2018年10月22日

時間管理ができる人

 “重要かつ急ぎの仕事は、多忙な人に頼め”と、ビジネス界ではよく言われます。多事でも自身の時間管理ができる人は、有能で仕事もできる人だからです。
 一方、「忙しい」が口癖になっているだけの人は、心の余裕がないようにも見えてしまいます。  

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2018年10月21日

バック・トゥ・ザ・フューチャー

 2015年10月21日。この日で思い出すことはありますか。答えは、大ヒットしたSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の2作目で、主人公らが30年後の未来にタイムスリップする際、設定したのが、この日だったのです。
 あらためて映画の2015年のシーンを見ると、指紋認証や顔認証システムなど、今では実用化されたものが多く登場していました。未来予想は、はずれる場合も多いですが、現実になった時の驚き、感動は大きいと思いました。  

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2018年10月20日

開拓の歴史

 北海道北広島市には「寒地稲作発祥の地」を記念する石碑があります。1873年、中山久蔵が赤毛種を用いた稲の栽培に成功しました。その後、彼は種もみを無償で提供し、北海道の稲作の普及に尽力。「寒地稲作の父」と仰がれています。
 彼は、もともと農業には全くの素人で、開拓使からは侮蔑的な言葉も浴びせられました。日本政府は北海道での稲栽培を“不可能”と考え、畑作を強制しましたが、久蔵は諦めない。深夜、風呂の残り湯を苗代に運び、水温を上げるなど、必死の努力を続けたのです。3年目、執念は実を結び、石狩・空知地方へと米作りは広がっていったのです。
 久蔵の稲作にみられる通り、北海道の歴史はあらゆる点で「開拓の歴史」といえましょう。  

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2018年10月19日

目の前が一気に開けてくる

 クライマックスシリーズがたけなわだが、元プロ野球選手の豊田泰光さんは、黄金期の西鉄ライオンズなどで活躍しました。4度出場した日本シリーズでは通算3割6分2厘の高打率。現役の終盤には2試合連続代打サヨナラ本塁打を放つなど、土壇場で大役を果たしました。そんな豊田さんが論じる「勝負強さ」が興味深いです。
 いわく、勝負に弱い人は打席に入っても「なぜ打てないのか」と悩んでしまう。反対に、勝負強い人は「どうやったら打てるだろう」と考える。すると、相手が見えるようになり、目の前が一気に開けてくるという(『豊田泰光のチェンジアップ人生論』日本経済新聞社)  

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2018年10月18日

アンパンマンの歌

 アンパンマンの作者、故・やなせたかしさんは詩人でもあり、多くの歌を作りました。アニメの主題歌「アンパンマンのマーチ」も自ら作詞しました。30年前の放送開始以来、子どもからお年寄りまで幅広く愛されてきました。
 実はテレビで流れているのは2番の歌詞で、1番はあまり知られてこなかったのです。その〝幻の1番〟が、東日本大震災の後、広く歌われるようになりました。
 ある日、被災地でラジオから流れたフルコーラスの〝アンパンマンの歌〟。1番は「そうだ うれしいんだ 生きる よろこび たとえ 胸の傷がいたんでも」と始まり、「なんのために 生まれて なにをして 生きるのか」と続きます(JASRAC出1313066―301)
 やなせさんが〝世界最弱のヒーロー〟と呼んだアンパンマンの強さとは「傷つくことを恐れない強さ」。何度も立ち上がる姿を歌った歌詞が被災者を勇気づけたのです。  

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2018年10月17日

朝活

 始業前の朝の時間を勉強や趣味など自己研さんにあてる「朝活」も、耳慣れた言葉になりました。
 そもそも、なぜ「朝活」は良いのか。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝、目覚めてからの約3時間は、脳が最も活発に働く時間帯とのこと。
 人が一日の活動で得た情報は、いったん短期記憶として脳内に保管されます。それが睡眠中に整理され、長期記憶へと変わり、朝一番の脳はきれいに“クリーニング”された状態に。そのときを逃さず、良い刺激を与えることで、「1日の効率を何倍もアップさせることも可能」と氏は語っています(『脳を最高に活かせる人の朝時間』河出文庫)  

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2018年10月16日

「の弟子。笠智衆」

 俳優の故・笠智衆氏がサインを頼まれた話です。快諾した氏は何の迷いもなく、「小津先生」と大きく書いたそうです。そして、「の弟子。笠智衆」と続けました。サインの依頼主だった作家の久世光彦さんが自著『触れもせで』(講談社)に紹介しています。
 笠氏は、そう書くことで自分に誇りを持ち、自戒もしたのです。“私はカメラの前ではなく、師と仰ぐ小津安二郎監督の前で演じるのだ”と。常に師匠と一緒だ、との思いが名優の座を築き上げたのでしょう。  

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2018年10月15日

最高の墨色

 その昔、一流の書家は良質の墨色を得るために、あえて12歳くらいの子どもに墨をすらせたという。それは、純粋にして無垢な心の持ち主がすってこそ、最高の墨色が出ると考えられていたからです。
 えり抜きの硯や固形墨をそろえても、する人に功名心や俗心があれば、墨は濁ります。それでは、書き手の卓抜の実力をもってしても、不本意な作品となってしまう――そう捉えたのでしょう。  

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2018年10月14日

連作障害

 種から育てた野菜の多くは、毎年、同じ場所に植えると、虫や病気に侵されて「連作障害」を起こすそうです。
 その為、植物は、自らは動くことはできないのですが、風に乗せたり、昆虫や動物にくっつけたりして、〝わが子〟である種を未知の場所へ、後継者として送り出すのです。  

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2018年10月13日

夢は「パイロット」

 羽田空港の展望台に立つ少年が、食い入るように飛行機を見つめていました。彼の将来の夢は「パイロット」なのです。そこに副操縦士になって間もない青年がやってきました。
 「何か質問はある?」と青年が促すと、少年は口を開きました。「離陸や着陸の方角って決まっているんですか」。答えは「向かい風が吹いてくる方向だよ」。管制塔から操縦室に「風の方角」が伝えられ、それによって機体の向きを調整するのだと。
 離陸時に向かい風を揚力に変えるのはよく知られていますが、着陸時もまた、向かい風を生かしてバランスを取るという。無風は、かえって危険とのこと。そうなんだ。知らなかった!  

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2018年10月12日

「秋」の語源

 この時期、新幹線の車窓から、陽光に輝く稲穂が見えます。稲の穂が熟し、黄色に変化していくことを「黄熟」と書き、「あかり」とも読む。これが「秋」の語源との説もあるそうです。
 稲は頭を垂れても倒れない。しっかりと地中に根を張っているためです。この根を活性化させ、土の中に酸素を送り込むための作業が「中干し」といいます。田を満たしていた水を全て抜き、表面の土を乾かす。水がなくなるという状況の中で、稲は強さを増すのです。
  

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