2013年10月31日

シェフの話

 一人のシェフの話。彼は控えめな性格で、予約が取りにくいほどの人気店に発展させた立役者には見えません。彼の不変の原点は、「母の料理に負けないこと」です。無論、長年の修業で培った技量はあります。だが、母の家庭料理に込められた“大切な人のために”という愛情は、技術だけでは超えられない、と彼は考えます。
 本物になろうと志す人には、どんなものからも学ぼうとする求道心、謙虚さがあります。  

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2013年10月30日

プレ・コンサート・トーク

 山形交響楽団の演奏会の開演前、誰もいないステージに指揮者が現れます。何が始まるのかと思ったら、ユーモアを交えて演奏曲目の解説を始めるそうです。これはプレ・コンサート・トークと呼ばれる企画です。
 指揮者は飯森範親氏。演奏前のリハーサルも独特です。度々、指揮者が演奏を中断し奏者に指示を出す。それに対し、奏者は納得できないと自分の意見を述べ、指揮者の言葉を待つ。そのやり取りには上も下もない。本音と本音の打ち合い。活発に意見を交わすことによって、指揮者と奏者との一体感は増していくのです。  

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2013年10月29日

ロールモデル

 ナチス幹部たちの恐るべき知性の欠如を見聞した米国の経済学者・ガルブレイス博士は、戦後、「リーダーシップ」について思いを深くするようになったそうです。ケネディ大統領やインドのネルー首相と親交があった博士は、彼らには「自ら模範を示す」という共通点があったと述べています。「今日必要なことは、『リーダーシップ』ということばを『手本』と入れ替えること」である、と。(『おもいやりの経済』福島範昌訳、たちばな出版)
 具体的な行動や考え方の模範となる人物を「ロール(役割)モデル」といいます。関西学院大学の対馬路人教授は、創価学会には、後輩の模範となる「ロールモデル」が多く存在すると指摘しています。「そうした先輩の存在が、若い世代の触発に大きな役割を果たしている」とも語っています。  

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2013年10月28日

ニワトリ

 近世の沖縄を代表する政治家の程順則(名護親方)。彼は、庶民の教育に力を注ぎ、琉球初の学校「明倫堂」を設立した教育者でもありました。
 少年時代の順則に、こんなエピソードがあります。ある日、近くにいたニワトリを捕まえてきた友人から、「このニワトリを食べよう」と誘われました。順則は「そのニワトリは、君のものではないだろう」と止めるが、友は耳を貸しませんでした。順則は「ならば、私の家で料理しよう」と自宅に招き、ニワトリをごちそうしました。
 数日後、友人は、食したはずのニワトリが生きているのを見ます。実は、順則は、自分の家のニワトリを処分し、食べさせてくれたのです。誠意をもって、過ちを正そうとした順則に、友人は深く恥じ入ったそうです。  

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2013年10月27日

文字・活字文化の日

 きょう27日は「文字・活字文化の日」です。文字には、書き残した人の思想、哲学、人生が息づいています。真実・真情を書き記した文字は、時を経てなお、力を発揮します。文字の力は偉大です。何に学び、何を書き残すか――自身の使命に照らし、決意を新たにしたいものです。
 小説家としては駆け出しだった向田邦子さんが、小説『あ・うん』を本にして世に出す際、ある芸術分野の大家に題字を書いてほしいと切望したことがありました。“文字の力”を信じる人にとって、文字は、もはや、ただの文字ではない。目に映る文字の奥に深い意味を見いだすものなのでしょう。

  

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2013年10月26日

失敗に学べる人は強い

 努力したわりに結果が期待通りでなかった経験は、誰もが味わっています。その時、それを「無駄な経験」と否定的に捉えるか、「この経験を通して自分は何を学べるのか」「次へ生かすためにどうしよう」と考えるか。小さな一歩でも、積み重ねるほどに、挑戦と変革に着手した人と、そうでない人の間には大きな差が開きます。
 失敗に学べる人は強い。なぜなら失敗しても、それを教訓として生かせるからです。それはやがて、失敗を恐れない境涯につながっていく事でしょう。  

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2013年10月25日

雁風呂

 東北・津軽地域に残る民話「雁風呂」をご存知ですか。月夜に雁が渡ってくる。疲れると、口にくわえた小枝を海面に浮かべ、その上で羽を休める。津軽まで来れば、もう大丈夫と、小枝を落とし、目的地に向かう。早春、今度は北へ帰る途中に津軽に戻った雁は、自分の小枝を拾って旅立っていく。残った枝は冬を越せなかった雁のものだ。薪にさえ事欠いた津軽の人は、力尽きた雁を偲びつつ、その枝で風呂を焚いたという。
 これは実話ではありません。だが、厳しい自然、苦しい暮らしを生きる人々は、一本の小枝にも深い思いを託していました。その美しい心が民話となり、今も、聞く人の心に温もりを届けています。

雁風呂 http://koyomi8.com/doc/mlko/200803180.htm  

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2013年10月24日

婦夫波

 発信が一日遅れましたが253年前の10月23日、偉業を成し遂げた人物が誕生しました。世界で初めて全身麻酔による手術に成功した医師・華岡青洲です。しかし彼の成功よりも、彼を支えた女性たちのほうが有名でしょう。
 “病に苦しむ人々を何としても救いたい”と、一心不乱に麻酔薬の研究に打ち込む青洲を、わが身を捨てて支えた妻や実母らの存在なくして、近代医学の飛躍はありませんでした。
 その陰の功労は、有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』で広く知られるようになりました。青洲の故郷・和歌山には「婦夫波」という名所があります。沖合の小島で二つに裂けた波が、再び寄り添うようにぶつかる光景を、そう名付けました。さらに女性に敬意を込め、あえて「夫婦」の字を逆にしたそうです。

婦夫波 http://www.youtube.com/watch?v=GrfiSqUFb5M  

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2013年10月23日

クスノキ

 生誕141年を迎えた木彫刻界の巨匠・平櫛田中。彼は72歳で東京美術学校(現・東京芸術大学)の教授になり、86歳で代表作「鏡獅子」を制作。90歳で文化勲章を受章しました。
 98歳から移り住んだ東京・小平市の邸宅は現在、記念館となっています。庭には直径1・9メートルのクスノキの巨木があります。これは100歳の時に田中が、さらに20年、30年と創作活動に取り組めるよう、取り寄せたものです。
 田中は東京芸大を退官するまで、登校のたびに、大学構内に置かれた自身の作品「岡倉天心像」に最敬礼したそうです。彼が、師と仰ぐ天心から指導を受けた期間はわずかでした。しかし「田中は一日として師恩を忘れなかった」(久恒啓一著『遅咲き偉人伝』PHPエディターズ・グループ)
 「実践、実践、また実践。挑戦、挑戦、また挑戦。修練、修練、また修練」(同)と語った田中。師恩を自身の力に変え、107歳で没するまで、創作への情熱を燃やし続けました。  

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2013年10月22日

二十一回猛士

 明治維新の教育者・吉田松陰は、「二十一回猛士」という号を愛用しました。姓の「吉田」の字を「十と一と口、十と囗」に分解し、「十と十と一、口と囗」と組み直して「二十一回」としたのです。これは生涯、21回は全力で行動することを誓ったものです。
 最初に入獄した時、“まだ3回しか行動していない。あと18回は行動しなければならない”と奮起した松陰でした。この行動者の魂が門下に息づいていたからこそ、維新の大業は為されたのでしょう。  

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2013年10月21日

舟を編む

 出版社に勤める女性が異動になりました。華やかなファッション誌の部署から一転、ひたすら、言葉と格闘する辞書編集部へ。当初、〝この先、やっていけるのか〟と心細かったそうですが、必死に取り組み、ようやく〝やっていけそうだ〟と思えたのは、1年8カ月が過ぎたころだったそうです。
 そんな中、自身の変化に気付いたそうです。〝言葉には、誰かを守り、誰かに伝え、そして、人がつながり合うために必要な「力」がある〟と感じるようになりました。くこれは、直木賞作家の三浦しをんさんの『舟を編む』(光文社)の一シーンです。
舟を編む http://fune-amu.com/  

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2013年10月20日

厳しい環境

 おいしい米が育つ環境とは、どういうものか。ある時、料理人の神田裕行氏が米どころに出かけました。美しい川の両側に広がる水田。氏は農家の人に、「良い土ときれいな水がおいしいお米を育てるのですね」と聞きました。しかし、答えは意外なもので、良米をはぐくむ条件は夏の日照りや厳寒のような厳しい環境だという。つまり、米が懸命に根を張ろうとする、ぎりぎりの環境を、どう作れるかが大事であったのです。「よい環境とはある意味逆境である」と氏は自著に記しています(『日本料理の贅沢』講談社)。育つ力を培うのは順境ではなく逆境との観点は、人間にも通じます。  

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2013年10月19日

自分自身

 人の持っている長所と短所は本来、表裏一体です。「わがまま」は「自分に正直」とも言えるし、「引っ込み思案」は「慎み深い」とも言えます。短所は長所になるし、長所は短所にもなります。
 スポーツライター等で活躍する乙武洋匡氏と、若手書道家の武田双雲氏の対談集『だからこそできること』(主婦の友社)で、生まれつき手足のない乙武氏が語っています。「何かもうちょっとみんなとの違いというものを意識しながら生きていかないと、宝の持ち腐れだなと思った」と。手足のないことを「宝」と捉える強さ。すごい一言です。氏は小学校の教諭を経験し、保育園の開設にも尽力しています。
 一方、武田氏によると、経験が物を言う書道の世界では、若いことがハンディになるという。しかし氏は「若いからできることがいっぱいある」と捉え、音楽家や彫刻家などと連携し、独自の創作活動に打ち込んでいます。人が生きていくための最大の“資源”は、富でも名声でもなく、自分自身です。  

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2013年10月18日

種を心に植える

 仏法を友人に語ることを、“成仏の種を心に植える”との意味で、「下種」といいます。これには、正法を聞かせる「聞法下種」と、聞かせた相手が実践を決意する「発心下種」の二つがあります。どちらも、植えられた妙法の種は、いつか必ず芽を出し、花と咲くのです。
 日蓮大聖人は「とてもかくても法華経を強いて説き聞かすべし」(御書552ページ)と仰せです。まず、妙法を「語る」ことから始まります。そして、相手の幸せを祈り続けることです。この誠実にして地道な挑戦が、偉大な友情のドラマにつながることを確信しましょう。  

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2013年10月17日

18回の挫折

 高校受験に失敗した後、大学受験でも浪人、それでも第1志望の学部には受からず、就職試験にも落ち、国内留学の試験も失敗……しかし“6回の落第と18回の挫折を経て、今の自分がある”と語るのは、“尾木ママ”こと、教育評論家の尾木直樹氏です。
 尾木直樹氏は“挫折や失敗に、自分の本当の姿がある。成長とは、その自分自身を受け入れることから始まる”と語っています。氏は、香川県から上京して早稲田大学を受験しました。ところが不合格と分かると、「おめおめと帰ってたまるか!」と、着の身着のまま、東京で下宿生活を始めました。家具が一つもない3畳の部屋。だが、「世界は広い」と実感できたという。個性的な友人に囲まれ、人と関わることの素晴らしさを知ったからです(『ピンチを「味方にする」スイッチ』主婦と生活社)  

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2013年10月16日

モミジ

 年ごとにモミジの染まり具合が変わるのはなぜか。それは「アントシアニン」という〝紫外線から体を守る効果のある色素〟のつくられ方に理由があるそうです。〝昼夜の寒暖差が激しく〟〝紫外線がよく当たる〟ほど、この色素が多くつくられるといいます。
 植物学者の田中修氏は「紫外線や強い光という有害なものが多ければ多いほど、植物たちは色あざやかに魅力的になるのです。植物たちは、逆境に抗して美しくなるのです」と述べています(『植物はすごい』中公新書)
 だからこそ人は、わが身の最終章を、燃え上がるような美しさで飾る一葉一葉に、人生を重ねるのでしょうか。「濃紅葉に涙せきくる如何にせん」(高浜虚子)  

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2013年10月15日

クローク係

 世界で初めて「子どものための音楽劇場」を創設したロシアの故ナターリヤ・サーツさんが、劇場の中で最も大切にした一つが、コートや荷物を預かるクローク係だったそうです。理由は、入場の第一歩から、子どもたちが自分の城に来たんだと感じられる雰囲気をつくれるかどうかは最初に触れ合うクロークの人で決まるからと信じていたからです。
  
  

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2013年10月14日

四つの徳

 キンモクセイの季節です。道ばたで、ふと感じる甘い香りが心地よいですね。モクセイは別名「九里香」とも書きます。その名の通り、秋風に乗って香りは遠く広がっていきます。
 どんなに香りの良い花があっても、「花の香りは風に逆らっては進んで行かない」。釈尊はこう語っています。「しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る」と(中村元訳『真理のことば 感興のことば』)。優れた人格の人は、嫉妬や非難の逆風が吹こうとも、豊かな人間性を伝えてゆくことができるということでしょう。
 法華経では巨大な宝塔が大地から出現する際、四つの面から芳香を放ったと説かれています。宝塔は、仏の生命の象徴です。四つの面は「生老病死」を、四方に放たれた香りは「常楽我浄」、すなわち、仏の四つの徳を示しているのです。  

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2013年10月13日

あのー

 「わが国では、どうして『あのー』が活躍するのだろう」。この疑問を抱いた精神科医の中井久夫氏は、『私の日本語雑記』(岩波書店)で、人に道を尋ねる際の言葉「あのー……ちょっとよろしいでしょうか」を紹介しています。そして、この「あのー」は、知らない人に話し掛けるのは失礼かもしれないが、あえて話し掛けるという躊躇と勇気を指摘。また、断られても、互いに傷つかない配慮まで考察していると分析しています。
 対話して初めて分かることがあります。新たな発見、深い理解に喜びが生まれます。中井氏は「日本語は対話的に進む傾向がある」とも述べています。
 福沢諭吉の『学問のすゝめ』は全17編から成っています。その最後に「旧友を忘れざるのみならず、兼ねてまた新友を求めざるべからず」とあります。古き友を忘れず、新しき友を求めよ――と。  

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2013年10月12日

人生の豊かさの一つ

 子どもの素朴な「なぜ」「どうして」に答える、新しい切り口の図鑑がブームだそうです。大人が手に取っても面白い。疑問を解決でき、次の「なぜ」「どうして」が生まれてくるのです。学べば学ぶほど、分からないことは増えていきます。しかし、分からないことをたくさん抱えていることは、人生の豊かさの一つの表れでしょう。
 翻訳家の清水眞砂子さんが、著書『幸福に驚く力』で述べています。読書を通して、自分が限りなく小さい存在だと分かることが喜びになる、と。そう学生に話すと「そんなことしたら、生きられなくなっちゃう」と返ってくるそうですが、「喜び」の意味するところは、いろんな人や、さまざまな世界を知って、人間はこんなに素敵なんだ、世界はこんなに奥行きがあって広いんだ、と知ることである。と、清水眞砂子さんは綴っています。  

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