2013年10月20日

厳しい環境

 おいしい米が育つ環境とは、どういうものか。ある時、料理人の神田裕行氏が米どころに出かけました。美しい川の両側に広がる水田。氏は農家の人に、「良い土ときれいな水がおいしいお米を育てるのですね」と聞きました。しかし、答えは意外なもので、良米をはぐくむ条件は夏の日照りや厳寒のような厳しい環境だという。つまり、米が懸命に根を張ろうとする、ぎりぎりの環境を、どう作れるかが大事であったのです。「よい環境とはある意味逆境である」と氏は自著に記しています(『日本料理の贅沢』講談社)。育つ力を培うのは順境ではなく逆境との観点は、人間にも通じます。

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