2018年02月28日

龍宮城では

 龍宮城では洗濯物をどこに干していたのでしょう――ある女の子が疑問を口にすると、教室に笑い声が。分厚い眼鏡を掛けた教師が「うん、いい質問だ」と、豊かな発想を褒めました。そして「先生は、龍宮城では汚れ物が出なかったのかもしれないと思うな」と続けたそうです。これは創価学会2代会長の戸田先生が若き日に経営していた、私塾「時習学館」での一こまです。
 ゲーテ研究の大家・山下肇氏はこの時習学館で学んだ一人。「戸田先生は私たちがどんな質問をしても、けっしてバカにせず、真剣に答えてくれました」と、かつての授業を振り返っています(『時習学館と戸田城聖』潮出版社)  

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2018年02月27日

呼吸で酸素を得るには

 脊椎動物が陸上に進出したのは約4億年前の事です。その理由は今日も研究の途上ですが、呼吸で酸素を得るには、水中よりも大気中が、はるかに有利なことは確かです。
 水が含む酸素の最大量は、同じ体積の空気に比べて約30分の1しかないそうです。しかも水は大気に比べて重く、魚がえらに新鮮な水を送り込むには、大変な労力を要します(岩堀修明著『図解・内臓の進化』講談社)
 だが半面、魚のえらは限られた酸素を最大限に取り込む機能を発達させました。その能力は陸上動物の肺を上回るという。一方、陸に上がった脊椎動物は、乾燥や重力という新たな“難敵”と戦うことで、進化していったのです。  

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2018年02月26日

やってみなければ分からない

 災害時に備える意味もあって、試しに職場から自宅まで、都内を歩いた人の感想です。全行程は15キロ。3時間半くらいだろうと予想し、地図を片手に意気揚々と出発しました。
 だが、実際はそう簡単にはいかなかったそうです。地図通りに歩いても、道に迷っては引き返すという繰り返し。諦めて幹線道路を歩くと、車の排気ガスで鼻や喉が痛くなる。だらだらとした坂の連続で、やがて足も限界になってしまいそうです。
 一方で、新しい発見もあったそうです。不意に開ける素晴らしい眺望。電車でしか行ったことのない駅同士が、実はそれほど離れていないこと。「点」でしかなかった場所がつながってくる。頭の中の地図が、立体的に立ち上がる。所要時間は予定よりかかったものの、収穫は大きかったそうです。
 万事、やってみなければ分からないことは多い。もちろん、事前にさまざま考えることも大切です。しかし、それで全てが分かるわけではありません。実際に体を動かせば、心も大きく動きだし、新しい出会いや気付きが生まれるのです。  

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2018年02月25日

実力差は紙一重

 球春到来。プロ野球のオープン戦が昨日から始まりました。各チームとも、レギュラー陣の活躍とともに、新戦力の台頭に期待が集まります。
 プロ球団に選ばれた選手たちです。入団当初の実力差は紙一重。では、何によって差が生じるのか。監督時代、名将といわれた解説者の野村克也氏によると、その決め手は「感性」という。感じる力が優れている選手は、相手の動き、試合の流れなど、わずかな変化でも気付き、対応する。修正能力にたけ、同じ失敗を繰り返さない。だから伸びるそうです。
 この「感性」をはかるのに、実は、氏が最も重視したのは「親を大事にしているかどうか」でした。恩人への感謝。それこそが「感じる心の根っこ」であると(『師弟』講談社、共著) 納得!!  

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2018年02月24日

さまざまな課題

 今、米国など先進国はさまざまな課題に直面しています。貧富の差、社会の分断や排外主義の拡大。少子高齢化による未来への不安……。もちろん、制度や法律の整備など対策を講じていくことは必要です。その上で大切なのは、根本となる「哲学」「智慧」を、私たち一人一人が培うことでしょう。
 社会の機構や政治・経済が木の幹や枝であるとすれば、民衆はその根といえます。  

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2018年02月23日

発想の淵源

 吉田松陰。幕末の志士たちに影響を与えた彼には、「草莽崛起」という思想がありました。
 草むら(草莽)のようにどこにでもいる庶民が、決然と立ち上がる(崛起)。「名もない庶民の決起、いまやそれだけしかない」(奈良本辰也・真田幸隆訳編『吉田松陰』角川文庫)との訴えは、高杉晋作の奇兵隊などに受け継がれ、維新の思想的潮流になったのです。
 この発想の淵源は日蓮大聖人にあると、松陰は述べています。「思いついた理由は、日蓮は鎌倉幕府の威勢が盛んなときに、よくその教えを天下に広めたが、幕府の執権北条時頼はその権力をもってしても、日蓮を制することができなかった、というところにある」「苦労に苦労を重ねながら事を行なうのは、大いに尊敬すべきことである。肝心なのはここである」(同)と。  

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2018年02月22日

うさぎの「ミッフィー」

 昨年、89歳で亡くなったオランダの絵本作家ディック・ブルーナさん。彼は、うさぎの「ミッフィー」シリーズをはじめ、多くの作品を残しました。
 ブルーナさんが描いた絵本の登場人物は、いつも正面を向いています。でも、体が横を向いても顔は真正面のまま。その理由を「うれしいときにも悲しいときにも目をそらすことなく、読者の子どもたちと正直に対峙していたいという気持ちのあらわれ」と語っています。全ての子どもに「平等に幸福が訪れますように」と創作を続けたという(『ミッフィーからの贈り物』講談社文庫)
 ディック・ブルーナさんが10代の時、ナチス・ドイツがオランダに侵攻しました。疎開先で過ごしていた冬の日、幾人かのユダヤ人が冷たい湖を泳いで逃げる場面を見かけ、憤りと悲しみが込み上げました。少年時代の体験から「戦争はあってはならない」と。子どもの幸せを真っすぐに見つめるまなざしの奥には、平和を願う信念があったのでしょう。  

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2018年02月21日

カーテンの色を白にすること

 ドイツのある住宅地で、住人たちが決め事を作ったそうです。それは、ベランダに花を植えることと、カーテンの色を白にすること。理由は「通行人が気持ちよく町を歩けるように」であるそうです。生活経済学者の暉峻淑子氏が、インタビューで語っていました。
 『豊かさとは何か』等を著し、豊かさの意味を問い続ける氏は、インタビューで、人に尽くすことを喜びとする感情は、本来、誰にでもあるものであり、「豊かさ」は、他者や社会とのつながりの中で見いだされる、と言う。ゆえに「地域に行動の拠点を持つこと」が大切、と語っています。  

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2018年02月20日

海賊とよばれた男

 小説「海賊とよばれた男」を知って見えますか。主人公のモデルは、出光興産の創業者・出光佐三氏。「人間尊重」という経営哲学も注目を集めています。
 石油を扱うことが禁じられた戦後、氏が最初に本格的に手掛けた仕事は、畑違いのラジオの修理。「世間からはいわゆる『ラジオ屋』として見られる」と、本業ができないもどかしさを吐露しています。だが同時に「これだけでも良い修業」と前向きに捉えました。そして、生活必需品の修繕は「新日本建設に偉大なる貢献をなす」と心に決めたのです。(『人間尊重五十年』春秋社)  

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2018年02月19日

高齢者の定義

 問題です。漫画「サザエさん」の父・磯野波平は何歳か?――正解は54歳。意外に若いですね。ただ連載が開始された1946年(昭和21年)ごろの男性平均寿命が50・06歳だったことを考えると、波平も“高齢者”として描かれたことが分かる事でしょう。
 現在、高齢者の定義は65歳以上。だが昨年1月、75歳以上に見直すよう日本老年学会が提言しました(65~74歳は準高齢者)。体力・生活機能などを科学的に検証した結果、以前より「若返り」が認められたという事です。  

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2018年02月18日

画竜点睛

 「画竜点睛」といえば、物事を立派に完成させる最後の仕上げ、を意味します。昔、中国の名画家が竜の絵を描いた際、「飛び去らないように」と、瞳を入れなかった。その話を信じない人々の求めに応じて瞳を加えたところ、たちまち竜は天に昇った――との伝説に由来するそうです。  

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2018年02月17日

生涯一書生

 作家・吉川英治氏の信条は「生涯一書生」でした。世間が「大家」ともてはやそうと、謙虚さを失わなかった。さらに氏は言っています。「一生一書生である者には、『疲れ』とか『倦む』とかいったことはない。およそ、そうした類の言葉には絶縁である」と。(『吉川英治全集52』講談社)
 完結した生涯最後の作品は『私本太平記』。この新聞小説の連載開始の前年まで、週刊誌上で7年にわたり『新・平家物語』の筆を執り続けています。大衆の心に響くものを求め、最後まで書き続けた生涯でした。  

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2018年02月16日

合格

 スーパーで、真剣な表情でお菓子を選ぶ女性がいました。そこは「合格」「勝つ」などの言葉が入ったお菓子が並ぶ特設コーナーでした。何だって利用して、弱気の虫を追い出したい――入試本番のこの時期、同じ思いの人は多い事でしょう。  

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2018年02月15日

タイムマシン

 生命科学の分野で人間の変革能力が明らかにされつつある。ノーベル医学生理学賞の山中伸弥教授らが開発したiPS細胞も、その一つです。さまざまな組織や臓器に分化した細胞は、長い間、決して元の状態に戻ることはないとされてきました。
 だが、四つの遺伝子を入れることで、細胞が真っさらな初期状態にリセットされ、受精卵のようにあらゆる細胞に分かれていくiPS細胞に生まれ変わったのです。
 評論家の立花隆氏は「これはいわば、タイムマシンの発見と同じ」(『生命の未来を変えた男』文藝春秋)と語っています。究極の若返り法との期待も大きい。ただし、なぜ四つの遺伝子で細胞が初期化されるのかは今も謎。その複雑な働きの解明はこれからだです。  

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2018年02月14日

松の雪吊り

 北国の冬の風物詩「松の雪吊り」を見た事がありますか。雪吊りとは、雪の重みで木の枝が折れるのを防ぐ作業です。松の木よりも背の高い支柱を立て、頂点から円すい状に垂らした何十本もの縄で、枝をつっていきます。
 大雪のせいだろう。真っ白になった支柱と荒縄が、体を張って重みに耐えながら松を守るようです。松が春を迎えられるのは、厳しい冬の間、じっと支え続ける存在があるからなのです。  

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2018年02月13日

民衆のために

 仏教の創始者・釈尊は、マガダ語というインドの一地方の言葉で教えを説いたといわれています。経典に、ある弟子が、仏の言葉をヴェーダ語(サンスクリット語)に改めたいと申し出た話があります。同語は支配階級のバラモンの言葉です。釈尊の答えは”改めてはならない””自分の言葉によって仏の言葉を習うことを許します”でした(『南伝大蔵経4・律蔵4』)
 「但いなかことばにてあるべし」(御書1268ページ)――日本の日蓮大聖人も、民衆に寄り添い、民衆のために説くことを厳しく教えられました。京に上り、貴族の前で講義したことを自慢げに報告した弟子・三位房を「日蓮をいやしみてかけるか」(同ページ)とまで叱責されています。  

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2018年02月12日

ピクトグラム

 「♨」は何のマーク?と聞かれたら、ほとんどの日本人は「温泉」と答える事でしょう。だが、外国人に聞くと「温かい食べ物」などと返ってくるそうです。
 街中にあるトイレや非常口、車いすなどの案内用のマークを「ピクトグラム」といいます。日本では前回の東京五輪で生まれたものですが、経産省は2020年の五輪に向け、一部のピクトグラムを外国人にも分かりやすいものに変更するなど、検討を進めています。
 一方、同じ東京五輪を目指して進む国家的プロジェクトが自動翻訳技術です。AI(人工知能)の進化によって実用化は間近で、2020年には、これによる翻訳アプリが“おもてなし”の主役になるかもしれません。  

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2018年02月11日

積極的に公開

 戦争の悲劇の歴史を持つドイツ。同国では、ナチス関連の遺産を保存し、積極的に公開しています。学校教育でもユダヤ人迫害の歴史を伝えることに多くの時間をかけているそうです。
 メルフェルデン・ヴァルドルフ市にも、ナチスが建設した強制収容所がありました。そこから400メートルの至近に立つSGIのフランクフルト池田平和文化会館では、遺品「コップの破片」を展示。地元の中高生が歴史を学ぶ場としても活用されているそうです。
 ガス室、飢餓、発疹チフス――収容所では、日常に「死」があふれました。精神医学者フランクルは『夜と霧』で、自身の苛酷な体験を世界に伝えた。「わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と」(池田香代子訳、みすず書房)  

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2018年02月10日

日頃からの

 駅のホームで手伝いを必要とする人がいる。「何かお困りですか?」と声を掛けようか躊躇するうちに機を逸してしまった。こんな経験はないでしょうか。
 善行をなすときには勇気が必要だが、こうした場合は勇気のあるなしよりも、むしろ“習慣になっているかどうか”で行動が違ってくるでしょう。
 ある文化人は、困っている人に自然に手を差し伸べることが「自分の人生の一部になる必要がある」と指摘しています。
 アメリカでは10代からホームレスへの炊き出しなどを重ねることで、ボランティア精神を身に付けるという地域があるそうです。やり方はさまざまあるにしても、自分の小さな世界にとどまることなく、同じ「人間として」行動する日頃からの訓練や教育が重要といえますね。  

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2018年02月09日

1分の1と100分の100

 1分の1と100分の100。算数では、どちらも同じ「1」ですが、人間の世界では大いに違うそうです。
 実はギター作りの話です。楽器製作者の椎野秀聰さんは、職人1人が全工程を手掛けることを「1分の1」。100人が各工程を担当することを「100分の100」と表現しています。職人1人が作るギターには、1人の経験や技術だけが込められます。一方で「100分の100」の魅力は、それぞれに特化した専門知識と技能を結集できることだという。各工程の担当者が力を注ぐほど、ギター「1本」が、違う「1本」になる。そして「分母の数が大きくなればなる程、面白みは増していく」と(『僕らが作ったギターの名器』文春新書)  

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