2016年10月31日

ハニカム構造

 ハチの巣の断面を見ると、六角形が奇麗に並んでいます。六角形である理由は、隙間なく、かつ少ない材料で巣を作るのに、最も適した形だからです。
 「ハチの巣」は英語で「ハニカム」。六角形を隙間なく並べた構造を「ハニカム構造」といい、トンボの複眼などにも見られます。
 「ハニカム構造」は軽くて頑丈。ニホンミツバチの巣では、一つ一つの壁は厚さ0・1ミリほどしかないが、4000ほどの穴をつくり、2キロもの蜜をためることができるそうです。この自然界の知恵は、軽くて頑丈であることが必要な飛行機の翼、新幹線の床など、人工物にも活用されています。  

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2016年10月30日

自分がどうあるべきか

 超一流の選手は、参考にしたい逸話に事欠かない。米大リーグのイチロー選手は、新たなシーズンに臨む際、「首位打者になる」といった目標は立てないそうです。首位になるかどうかは、相手のあること。打率よりも安打数にこだわり、1試合、1打席を積み重ねる野球人生を歩んでいます。
 野球だけではなく、人生でも“相手がどうか”に気をもむよりも“自分がどうあるべきか”に行動の規範、目標を据えた時、進むべき方向が明確となります。  

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2016年10月29日

日常に戻すこと

 復興支援を目的にしたイベントについて、ある小学校の先生が語っていました。「皆さんの善意には心から感謝します。でも今、私たちが目指しているのは『日常に戻すこと』。そこに寄り添ってくれる人たちの真心が、何よりもありがたいのです」と。
 特別なことばかりが必要ではない。過酷な非日常を経験した人にとっては、何げない〝日常〟の中にこそ、安らぎと幸福があるのでしょう。
 日常、平常を意味する言葉に「ふだん」があります。辞書を引くと、「普段」と書くのは当て字が定着したもので、もとは「不断」と書いたという。絶え間ない、日常の温かな励ましの中に、生きる希望が、勇気が生まれてくるのです。  

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2016年10月28日

関吉の疎水溝

 世界遺産に登録された鹿児島市の「関吉の疎水溝」。これは薩摩藩による日本初の本格的洋式工場「集成館」の動力を担う水車に、水を送り込むためのものです。
 ここに訪れた人の感想です。「石造りの水路に沿って歩いた。水面を流れる一葉を見つけたが、水の流れがゆっくりで、すぐに葉っぱを追い越してしまいました。」疎水の長さ約7㌔に対し、始点と終点の高低差は、わずか約8㍍といわれます。
 しかし、人の足より遅い水も、流れ続けることで、工場をも動かす力になった。その事実と、それを可能にした往時の人々の仕事に、深く思いを致したそうです。
  

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2016年10月27日

アナタ

 半世紀以上も前の話になりますが、日本から南極観測隊が初めて派遣された当時、唯一の通信手段はモールス信号の電報でした。
 正月、日本にいる家族から年賀電報が届きました。ある隊員の妻が送った電文は、わずか3文字でした。「アナタ」。
 妻は、夫の重要な任務を理解し、気丈に留守を預かっていたことでしょう。それでも、離れて暮らす寂しさ、過酷な環境下で働く夫の身を案じる気持ちが、あふれてきたに違いありません。この3文字には、何万語を尽くそうと伝えきれない思いが、凝縮されているのです。  

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2016年10月26日

どんな文章を読んできたか

 劇作家で歌人の寺山修司さんが晩年、病身を押して、大学時代の親友で、脚本家の山田太一さん宅を訪れました。”おまえの本棚を見せろ”と言う寺山さんを案内し、2人は懐かしい本を前に、来し方を語らったそうです。
 これは寺山さんの葬儀で、山田さんが弔辞に紹介したエピソードです。どんな本を持ち、どんな文章を読んできたか。それが人格をつくり、人生の背骨となっていく。言葉に生きた2人に、深く学ぶ思いです。  

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2016年10月25日

雁風呂

 越冬の渡り鳥を見かける季節になると、津軽地域に残るといわれる民話「雁風呂」を思い出すします。
 月夜に雁が渡ってくる。疲れると、口にくわえた小枝を海面に浮かべ、その上で羽を休める。津軽まで来れば、もう大丈夫と、小枝を落とし、目的地に向かう。早春、今度は北へ帰る途中に津軽に戻った雁は、自分の小枝を拾って旅立っていく。残った枝は冬を越せなかった雁のものだ。薪にさえ事欠いた津軽の人は、力尽きた雁を偲びつつ、その枝で風呂を焚いたという。
 これは実話ではありません。だが、厳しい自然、苦しい暮らしを生きる人々は、一本の小枝にも深い思いを託していた。その美しい心が民話となり、今も、聞く人の心に温もりを届けるのです。  

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2016年10月24日

華岡青洲の妻

 256年前の10月23日、偉業を成し遂げた人物が誕生しました。世界で初めて全身麻酔による手術に成功した医師・華岡青洲です。
 しかし彼の成功よりも、彼を支えた女性たちのほうが有名でしょう。“病に苦しむ人々を何としても救いたい”と、一心不乱に麻酔薬の研究に打ち込む青洲を、わが身を捨てて支えた妻や実母らの存在なくして、近代医学の飛躍はなかった。その陰の功労は、有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』で広く知られるようになりました。
 青洲の故郷・和歌山には「婦夫波」という名所があります。沖合の小島で二つに裂けた波が、再び寄り添うようにぶつかる光景を、そう名付けました。女性に敬意を込め、あえて「夫婦」の字を逆にしたそうです。  

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2016年10月23日

さびた状態

 詩人の吉野弘さんが、製鉄所と造船所を見学した折のこと。はたと気付いたことがあったそうです。“鉄の文明とは、さびたがっているものを、さびさせないで使おうとすることだ”と(『くらしとことば』河出文庫)
 自然界の鉄は、酸素と結合し、さびた状態で存在します。それが、鉄にとっては安定しているためです。そのため、身の回りの鉄も、放っておけば自然とさびていきます。防ぐには、表面を磨くなどの作業が必要となるのです。  

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2016年10月22日

飲水思源(いんすいしげん

 中国に「飲水思源(いんすいしげん)」という言葉があります。これは水を飲む時に井戸を掘った人に思いを馳せる、人から受けた恩を忘れてはいけない、などの意味です。
 静岡県在住の中国人画家・王伝峰さんは、挿花芸術の作品集『餘香』を、講談社から出版しています。これは日本の著名な写真家と建築家の全面協力で実現した〝日中友誼の芸術書〟です。
 24年前から富士山の麓で暮らす王さん。中国の悠久の歴史に育まれ、中日両国の文化を吸収して「今の自分」があると胸を張っています。独自の風格を持つ作品は、2002年の日中国交正常化30周年記念切手、08年の日中平和友好条約締結30周年記念切手にも採用されたそうです。  

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2016年10月21日

バック・トゥ・ザ・フューチャー

 覚えて見えますか。昨年の10月21日、この日が、ちょっとした話題になりました。
 大ヒットしたSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の2作目で、主人公らが30年後の未来にタイムスリップする際、設定したのが、この日だったからなのです。あらためて映画の2015年のシーンを見ると、指紋認証や顔認証システムなど、今では実用化されたものが多く登場しています。
 未来予想は、はずれる場合も多いですが、現実になった時の驚き、感動は大きいと思いました。  

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2016年10月20日

自分を進化させた

 プロ野球日本シリーズが22日に開幕し、北海道日本ハムファイターズと広島東洋カープが対戦します。
 現役時代、シリーズに5回出場し、「20世紀最後の200勝投手」として野球殿堂入りした元広島の北別府学氏が語った話。「プロに入ると、自分流の考えや経験が通用しなかった。球速で勝てないと自覚し、制球力を必死で身に付けた。壁にぶつかるたびにプライドを捨て、技術を磨き、己を高めた」と。
 やがて「針の穴を通すコントロール」と仰がれる大投手に成長しました。氏が語っています。「絶えず結果を出すために、絶えず自分を進化させた」と。  

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2016年10月19日

一つの公式

 アウシュビッツの強制収容所を体験したオーストリアの精神科医フランクルは一つの公式を示しました。
 「絶望=苦悩―意味」(絶望とは意味なき苦悩である)と。この公式に衝撃を受けた全盲ろう者の福島智さん(東京大学教授)は考えました。公式から「意味=苦悩―絶望」と導ける。絶望の反対は「希望」だから、こう言えるのではないか。「意味=苦悩+希望」(苦悩の中で希望を抱くことに人生の意味がある)と(『ぼくの命は言葉とともにある』致知出版社)  

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2016年10月18日

アンパンマンの歌

 アンパンマンの作者、故・やなせたかしさんは詩人でもあり、多くの歌を作りました。アニメの主題歌「アンパンマンのマーチ」も自ら作詞しています。この歌は、子どもからお年寄りまで幅広く愛されてきています。
 実はテレビで流れているのは2番の歌詞で、1番はあまり知られていませんでした。その〝幻の1番〟が、東日本大震災の後、広く歌われるようになりました。
 ある日、被災地でラジオから流れたフルコーラスの〝アンパンマンの歌〟。1番は「そうだ うれしいんだ 生きる よろこび たとえ 胸の傷がいたんでも」と始まり、「なんのために 生まれて なにをして 生きるのか」と続いています(JASRAC出1313066―301)
 やなせさんが〝世界最弱のヒーロー〟と呼んだアンパンマンの強さとは「傷つくことを恐れない強さ」。何度も立ち上がる姿を歌った歌詞が被災者を勇気づけたのです。  

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2016年10月17日

機械的な「連絡」

 自分が思ったことを、他者も同じように受け取るとは限りません。この小さな意識の差が、やがて、いさかいに発展する場合もあります。史書『吾妻鏡』は、こんな出来事を伝えています。
 鎌倉・鶴岡若宮の社殿が棟上げし、源頼朝が大工の棟梁へ馬を贈る事にしました。その馬を引く役を源義経に命じました。だが彼は「折悪しく下手を引く者がいない」と、自分と共に役を務めるのに適した者がいないと言いました(五味文彦・本郷和人編『現代語訳 吾妻鏡』吉川弘文館)。頼朝は義経が「役目が卑しいものだと思い、あれこれと言って渋っているのだろう」と激怒しました。
 〝自分は一般の御家人とは違う〟と、特別扱いを期待する義経。一方、頼朝には、同じ源氏でも主は自分であり、主従のけじめをつけるべきではないかとの思いがありました。2人のすれ違いは対立へ発展していきます。事を大きくした原因の一つは、対話の欠如にありましょう。
 プラトンは「言論嫌いと人間嫌いとは同じような仕方で生じてくる」(岩田靖夫訳)と。真情を率直に語り合う言葉の不足は、理解の芽を摘み、猜疑心を育て、人間不信へとつながります。
 メールはもちろん、顔を合わせても、機械的な「連絡」に終始すれば、心にずれが生じてきましょう。腰を据えて、思いを言葉にする。そこに信頼は生まれます。  

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2016年10月16日

の弟子

 亡くなってからずいぶん経ちますので、この名前を知る人は少ないと思いますが、俳優の笠智衆氏がサインを頼まれたそうです。快諾した氏は何の迷いもなく、「小津先生」と大きく書きました。そして、「の弟子。笠智衆」と続けたそうです。
 サインの依頼主だった作家の久世光彦さんが自著『触れもせで』(講談社)に紹介しています。笠氏は、そう書くことで自分に誇りを持ち、自戒もしました。“私はカメラの前ではなく、師と仰ぐ小津安二郎監督の前で演じるのだ”と。常に師匠と一緒だ、との思いが名優の座を築き上げたのでしょう。  

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2016年10月15日

その誤りを悟ってから

 NHK連続テレビ小説のモデルで一躍有名になった広岡浅子は、60歳を超えるまで、青年に苦言を呈するだけだったといわれています。だが「その誤りを悟ってから」は「自分も若い人々とともに進もう。死ぬまで進んで止まない態度をもって、わが人格を築きたいと願うようになりました」と述懐しています(『超訳 広岡浅子自伝』KADOKAWA)  

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2016年10月14日

未知の場所へ

 種から育てた野菜の多くは、毎年、同じ場所に植えると、虫や病気に侵されて「連作障害」を起こすそうです。その理由は、植物は、自らは動くことはできないが、風に乗せたり、昆虫や動物にくっつけたりして、〝わが子〟である種を未知の場所へ、後継者として送り出すためだそうです。  

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2016年10月13日

一時の、一つの「顔」

 思い込みや印象が、いつしか事実のように定着してしまう例は多いものです。
 18世紀のフランス革命。断頭台の露と消えたルイ16世は決して暗愚の王ではなかったし、マリー・アントワネットも浪費専門の王妃だったわけではない。フランス文学者・安達正勝さんの新著『マリー・アントワネット』(中公新書)に、あらためて教えられます。
 ナポレオンは見ず知らずの人が自分に熱狂する姿を見て語ったという。「あの連中は余を知りもしなければ、一度だって余を見たことすらない。ただ彼等は余の噂を聞いていただけだ」「こういった不思議なことは何処の国にも、何時の時代にも、男の中でも女の中でも繰返されるのだ!」(ラス・カーズ著、難波浩訳『ナポレオン大戦回想録』改造社)
 人にはいろいろな「顔」があります。一時の、一つの「顔」だけを見て、相手を判断するのは危険です。直接、会って話さなければ、相手の本当のことは分からないのです。  

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2016年10月12日

1行の文

 それは、たまたま目にした小さな新聞記事だったそうです。内容は、日本人宇宙飛行士を募集し、数千人の応募を見込んでいたが、実際、受け付け初日の申し込みは1通だった、というものです。
 それを読んだ女性は、何となく気になり、記事を切り抜いた。読み返すうちに興味が湧き、〝取りあえず応募してみよう〟となり、ついには日本人女性初の宇宙飛行士となりました。
 この女性、向井千秋さんを宇宙へいざなったきっかけは、新聞の片隅に載った記事でした。小さな記事が、1行の文が人生を大きく変えることがある――これが言葉の力です。  

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