2018年07月31日

大人にとってはささやかな一言でも

 大人にとってはささやかな一言でも、感受性豊かな子どもの心には敏感に響きます。感謝や期待、共感や信頼の言葉――中でも“励ましの言葉”がどれほど大切か知って見えますか。
 ある学校で行われた実験です。生徒たちの作文の余白に先生が助言を書き込む。その後、作文の出来とは無関係に、全体を二つに分ける。一方の作文には“コメントを書きました”とだけ記した付箋を、もう一方には“あなたならもっと作文が上手になると思うのでコメントを書きました。期待しています”との付箋を貼ったそうです。
 結果は、再提出の数に表れました。前者の生徒からは4割だったが、後者の生徒からは8割にも。また後者は前者に比べ、書き直した箇所が2倍ほどあったという。短い言葉であっても、子どもたちの意欲を引き出せることが示されたのです。(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳『やり抜く力』ダイヤモンド社)  

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2018年07月31日

大人にとってはささやかな一言でも

 大人にとってはささやかな一言でも、感受性豊かな子どもの心には敏感に響きます。感謝や期待、共感や信頼の言葉――中でも“励ましの言葉”がどれほど大切か知って見えますか。
 ある学校で行われた実験です。生徒たちの作文の余白に先生が助言を書き込む。その後、作文の出来とは無関係に、全体を二つに分ける。一方の作文には“コメントを書きました”とだけ記した付箋を、もう一方には“あなたならもっと作文が上手になると思うのでコメントを書きました。期待しています”との付箋を貼ったそうです。
 結果は、再提出の数に表れました。前者の生徒からは4割だったが、後者の生徒からは8割にも。また後者は前者に比べ、書き直した箇所が2倍ほどあったという。短い言葉であっても、子どもたちの意欲を引き出せることが示されたのです。(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳『やり抜く力』ダイヤモンド社)  

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2018年07月30日

人類史を語る文化財

 音楽人類学者の西岡信雄氏は、楽器を“人類史を語る文化財”と述べています。古今東西の楽器には人類の知恵や技術が凝縮し、その時代、民族の美意識や音楽観を伝えてくれると(『楽器からのメッセージ』音楽之友社)
 世界の楽器や、その音色に接することは言語を超えた体験として多様性の尊重や、寛容の精神を磨くきっかけにもなります。この夏、異文化との触れ合いを通し、親子で「開かれた見識」「美しい心」を養うのもよい事でしょう。  

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2018年07月29日

言葉は出ていくばかりではないようです

 「口にする」という表現は興味深いですね。食べ物を「口にする」ときは中へ入れる。言葉を「口にする」ときは外へ出す。入ったり、出たり……と。
 口にした食べ物は、体内で栄養となります。しかし、傷んだ物だと病気になります。同じように、口から出ていく言葉も、善悪さまざまです。人に勇気や希望を送りもすれば、傷つけもします。私たちは、地域、職場、学校、家庭などで、常に励ましの言葉を交わし合いたいものですね。
 文豪ゲーテの箴言に「いったん口に出された言葉は、ふたたびわが身に戻ってくる」(岩崎英二郎訳)と。言葉は出ていくばかりではないようです。  

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2018年07月28日

庭の草取り

 今の季節は、ほんの数日見ないうちに、庭草が伸びてきます。“雑草魂”というが、草の持つ生命力には、まったく驚かされますね。
 農家に育った老婦人が、小学生の孫たちと庭の草取りをしていました。数日後、婦人が草を取った場所は、きれいなまま。一方、孫たちの受け持った場所には、早くも草が生え始めていました。おばあちゃんは、孫たちに優しく言ったそうです。「仕事には何でもやり方っていうのがあるんだよ。草取りは大変だけど、根っこから取らないとだめなの」と。
 知識は書物からも得られますが、知恵は自分で体験したことを通して身につくものです。子どもたちにとって、掛け替えのない学びの機会となったに違いありません。  

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2018年07月27日

ど根性ヒマワリ

 海外の友人から、東北のある壮年に、メールで1枚の写真が届きました。そこには「石巻がんばれ!」「東北がんばれ!」の横幕を持つ子どもたちと共に、誇らしく咲くヒマワリが写っていました。
 このヒマワリは、大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市で咲いた「ど根性ヒマワリ」の子孫です。写真には「海外からの応援の意味を込めてお届けします」との言葉が添えられていました。
 花言葉というものがあるように、人は花に、さまざまな思いを託します。桜には出会いと別れを、菊には労苦を乗り越えた人生の大成を……。真っすぐに茎を伸ばし、太陽に大輪を向けて咲くヒマワリは「希望」そのものです。
 被災して迎えた最初の夏に「ど根性ヒマワリ」を見つけた被災者が言っています。自宅のがれきの中から、茎をねじ曲げながらも懸命に天空に伸びていく姿に、「希望は、この『生きる力』から出てくる」「自分もこのヒマワリに負けず、頑張らなければ」という感情が湧いてきた、と。  

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2018年07月26日

転換するたくましさを

 将棋がブームですね。将棋を覚えたての少年が、父と一局指しました。途中、劣勢の少年が苦し紛れに銀将を右に動かすと父が言いました。「それはルール違反だな」。悔しそうな表情の少年に父は続けました。「ここが将棋の面白さだよ」と。
 将棋の駒は動かせる方向が決まっています。いわば、ルールは自由を制限するものです。だが名棋士は、その制約も味方に変え、勝利への一手を打つのです。だから将棋は奥が深い。人の生き方にもまた、さまざまな制約がある。だが、そんな不利な条件さえも強みに転換するたくましさを、自由や自在と言うのでしょう。  

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2018年07月25日

これが最後のコンサート

 世界的な名指揮者として知られるフルトヴェングラー(1886~1954年)ですが、特に戦争中の演奏の迫力はすさまじかったそうです。思想家の丸山眞男は“人類の音楽は、フルトヴェングラーの戦時中の演奏をもってその頂点とする”とまで語っています(中野雄著『丸山眞男 音楽の対話』文春新書)
 なぜ、それほどの名演奏ができたのか。当時は、戦局が悪化するという緊迫した状況にありました。空襲で演奏会が中断されることもたびたび。いつ誰が犠牲になるか分からない。指揮者も奏者も「これが最後のコンサート」と、“命懸け”だったのでしょう。  

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2018年07月24日

あと2年

 2020年の東京五輪・パラリンピックの開幕まで、きょうで「あと2年」になりました。アスリートたちが繰り広げる熱闘が今から楽しみですね。
 大舞台に向けて産業界も熱くなっています。自動運転車の実用化やロボットの活用など、未来にどのようなレガシー(遺産)を残せるかに注目が集まっています。
 初の東京開催となった1964年大会のレガシーには、首都高速や東海道新幹線があります。競技結果の速報システムや民間警備が誕生したのもこの時。技術革新を支えたのは、従来の仕事にとらわれず、活路を開いた人々の血のにじむような努力です。それが今日の日本経済の基盤となったのです(野地秩嘉著『TOKYOオリンピック物語』小学館文庫)  

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2018年07月23日

花火

 花火のシーズンですね。一段と高く上がった花火が大きく開くと、歓声が上がります。炎が柳のように降り始めた後、「ドーン」と空が割れるのではないかと思うほどのごう音が響きます。
 大きな花火では、花が開くのが先で音は後になります。これは、光速より音速がはるかに遅いためですが、それを不思議に思った子どもは「どうして?」と聞くかもしれません。
 その時に、後回しにせず、小さな疑問に真正面から向き合って、新鮮な好奇心を満たせる親でありたいものです。  

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2018年07月22日

アメリカの思想家・ソロー

 201年前の7月に生まれたアメリカの思想家・ソロー。くしくも7月に、彼は人生の大きな出来事を刻んでいます。28歳の7月、ウォールデン湖畔で生活を始めました。そこで自身の内面を見つめ、精神を鍛え上げていったのです。
 ソローは徹底して奴隷制に反対しました。当時の政府が奴隷制を維持していることを理由に、彼は成年男子に課せられていた人頭税の支払いを拒否。その結果、投獄されます。これも29歳の7月のことでした。
 しかし、投獄はソローをひるませるどころか、さらに奮い立たせました。国家の不正に怒り、出獄を拒否したほどです。彼は「国家の力と権威はすべて個人の力に由来する」(飯田実訳)と考えた。ゆえに、社会の変革は自己変革から始まると捉えたのです。納得!!  

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2018年07月21日

ミスター

 「ミスター」と呼ばれる長嶋茂雄さんが野球を始めたのは国民学校4年、終戦の年でした。物がない時代で、母親と一緒に、サトイモの皮やビー玉に布を巻いて、ボールをこしらえたという。かつて、テレビの対談番組で語っていました。
 ミスターほどの名選手なら、知られたエピソードは数多くあります。その中でも、母とボールを手作りした思い出話は、胸の中で大切にしてきた〝宝物〟を見せてくれたような気がして、心に残っています。  

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2018年07月20日

妙技の源

 なぜ音楽は生まれたのか。バイオリンの巨匠ユーディー・メニューイン氏は、こう表現しています。「他人の心になんとかして触れたいというやむにやまれぬ欲求から生まれた」(別宮貞徳監訳)。そして、ナチスの強制収容所の生存者をはじめ、病める人、生活に困窮する人への慈善演奏に力を入れた。あふれる人間愛が、氏の妙技の源だったのです。  

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2018年07月19日

ブラジルのパウロ・フレイレ

〝対話〟を重んじた教育思想家に、ブラジルのパウロ・フレイレがいます。為政者の意のままに抑圧され、貧しい環境に甘んじていた労働者への識字運動を指導。対話を通し、主体的に社会を見つめ、行動する姿勢の大切さを訴え続けました。
 「本当の意味での革命ならば、遅かれ早かれ、一般の人たちとの勇気ある対話を始めることになる。革命の正当性は、人々との対話にあるのであり、人気取りや、うそのうちにあるのではない」と(パウロ・フレイレ著、三砂ちづる訳『新訳・被抑圧者の教育学』亜紀書房)  

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2018年07月18日

7月17日

 1957年(昭和32年)7月17日、母に連れられ、婦人は中之島の大阪市中央公会堂へ向かった。「高校生やったけど、あの師子吼は、はっきりと心に残った」と。
 「あの師子吼」とは、創価学会が開催した「大阪大会」での若き池田先生の“最後は信心しきったものが、正しい仏法が必ず勝つ”との叫びです。不当逮捕・勾留という「権力の魔性」との闘争宣言は、婦人の心に「生涯の指針」として刻まれたのです。  

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2018年07月17日

たった一言

 いじめに遭い、生きる希望を失っていた中学生。“夜回り先生”こと水谷修さんに、たった一言、メールを送ったそうです。「死にたい」と。
 水谷さんの返信も一言だった。「あなたは誰かのために何かをしたことがありますか?」――中学生は驚き、自問を重ねる。そして、人のために何もしたことがないと気が付き、思い直した。時がたった今、介護職に就き、誰かのために生きる喜びをかみ締めている(水谷修著『優しさと勇気の育てかた』日本評論社)  

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2018年07月16日

古典はいつ“古典”になるのか

 児童文学として有名な『ガリバー旅行記』。だが作者のスウィフトは、子ども向けに書いたわけではなかったそうです。
 18世紀のイギリスの政界には、不正や堕落が横行していました。これに腹を立てたスウィフトは、巧みに風刺する同書を書き、絶大な人気を博したのです。時代とともに社会状況が変わっても、同書は児童向けの読み物として再評価され、世界的な名作となりました。
 古典はいつ“古典”になるのか。お茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古氏は「古典は作者ひとりで生まれるのではなく、後世の受容によって創り上げられる」と指摘しています。作品がそのまま歴史に残るのではなく、「後人の目に見えない力が加わって古典になったり、逆に消えたりする」と(『乱読のセレンディピティ』扶桑社文庫) へー、そうなんだ  

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2018年07月15日

ぜひ描きたいと思った

 幼少の頃に戦争体験を持つ壮年の話です。
 ある日、学童疎開先に東京の母親から荷物が届いたそうです。中身の粗末な衣類には、かわいい動物が刺繍されていました。家族と離れ、さびしがるわが子を直接、抱きしめることはできない。その代わり、一針一針に込めた愛情で包み込んであげたい。そんな母の思いが伝わる縫い目に勇気がわいた、と語っています。
 焦土と失意の戦後に、子どもたちに勇気と希望を届けたのは少年少女雑誌でした。創価学会の池田先生も若き日、恩師が経営する日本正学館で、「冒険少年」(後に「少年日本」と改題)の編集長を務めました。「子どもたちに偉大なる夢を贈りたい」。池田先生の情熱に共感した一流の作家陣が筆を執り、挿絵も錚々たる顔ぶれが腕を振るいました。
 その雑誌の名は、手塚治虫氏が生前、「ぜひ描きたいと思った」と語り、関係者の間で“幻の雑誌”と深く記憶に残る「冒険少年」です。  

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2018年07月14日

一番の拍手が起きた瞬間

 梅雨がない北海道では学校の運動会は5月から6月に開催されることが多いそうです。札幌創価幼稚園の運動会も先月、元気よく開かれました。
 昨年の出来事です。かけっこで転び、泣きだして動けなくなった園児がいたそうです。その時、真っ先に駆け付けたのは、担任の教員でした。まず、園児をぎゅっと抱き締めた。そして声を掛けた。「もう一度頑張ろう。先生も一緒に走るから」と。
 この日のために一生懸命、練習してきたことを誰よりも知るからこそ、あえて強く言い切った。「負けない心の『太陽の子』なんだから、必ずできるよ」と。教員に手を引かれて走りだす園児を、クラスメートも声の大応援で後押し。ちょっとした出来事だが、この日一番の拍手が起きた瞬間でした。
 教育関係者が語っています。「抱き締めるように、まず相手の思いをありのままに受け入れる。そして、一緒に行動する。さらに、励ましの言葉を掛けるのをためらわない。全て、若い命を育む上で大事なことです」と。  

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2018年07月13日

土壌の話

 農学の大家が、ある村で1時間ほど講演しました。題名は「土壌の話」。終了後、一人の聴講者が、けげんそうに質問しました。「どじょう、どじょう、とおっしゃいましたが、赤どじょうのことですか、ごまどじょうのことですか」と。
 農学の大家が「土」で分かるところを「土壌」と言ったために、淡水魚の泥鰌と混同され、講演が分かりにくくなってしまった――。言語学者の金田一京助氏は、このエピソードを通して、言葉を発する際に大切なのは「よく分かること」と指摘しています。相手が理解できるように話す、日常的な話し言葉が「ほんとうの生きたことば」であると(『金田一京助全集 第14巻』三省堂)  

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