2018年07月10日

理想に向かって生きよ

 山間地域の奈良・吉野郡には、万葉集にも詠まれた美しい景色が多く見られます。その風景を彩る一つに吉野杉があります。日本三大人工美林の一つにも数えられています。
 江戸時代の儒学者・新井白石と国学者・本居宣長は、「杉」の語源に言及しています。白石は『東雅』で「杉はスグなる木也とみえたり。其木の直なるをいひし也」と、真っすぐに伸びることに由来すると考察。一方で、宣長は『古事記伝』で「須岐は進木なり(中略)ただに上へすすみ上る木」と。上へ進む「進木」と述べています。
 2人の論考はいずれも、「杉」の成長力への視点で共通しています。上へ上へと、真っすぐに進んで伸びていく――その姿は、何ものにもひるまず、理想に向かって生きよと、人間の生き方を教えているかに思えますね。  

Posted by mc1460 at 11:49Comments(49)TrackBack(0)つぶやき