2013年10月06日

減点法か加点法か

 「100点満点の出来でした」などの言い方をよく耳にします。しかしこの発想、考えると「減点法」に基づいていることが判ります。60点の人は50点より出来がいい。これは分かります。だがもし、100点が5人いたら――彼らは、正当に評価されたとはいえません。100点以上をつけてもいい出来だったかもしれないからです。
 日本人は「上限を設けて生活をしたがる」と指摘するのは、小惑星探査機「はやぶさ」計画を指揮した宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授です。同教授は新しい試みに挑戦するなら、減点法より加点法を、すなわち”失敗を数えるより成功を数えよう”と訴える(『「はやぶさ」式思考法』飛鳥新社)
 実際、はやぶさは、数多くの失敗を乗り越え、成功を勝ち取りました。例えば、4基のイオンエンジンが全て寿命を迎えてしまった際、まだ正常に働く部分をつなぎ合わせて一つのエンジンとし、危機を打開しました。月以外の天体から物質を持ち帰るという世界初の偉業の価値は、「減点法」では計れない「加点法」でこそ、その比類なき価値が分かるというものだったのです。  

Posted by mc1460 at 09:48Comments(0)TrackBack(0)つぶやき