2013年10月13日

あのー

 「わが国では、どうして『あのー』が活躍するのだろう」。この疑問を抱いた精神科医の中井久夫氏は、『私の日本語雑記』(岩波書店)で、人に道を尋ねる際の言葉「あのー……ちょっとよろしいでしょうか」を紹介しています。そして、この「あのー」は、知らない人に話し掛けるのは失礼かもしれないが、あえて話し掛けるという躊躇と勇気を指摘。また、断られても、互いに傷つかない配慮まで考察していると分析しています。
 対話して初めて分かることがあります。新たな発見、深い理解に喜びが生まれます。中井氏は「日本語は対話的に進む傾向がある」とも述べています。
 福沢諭吉の『学問のすゝめ』は全17編から成っています。その最後に「旧友を忘れざるのみならず、兼ねてまた新友を求めざるべからず」とあります。古き友を忘れず、新しき友を求めよ――と。

この記事へのトラックバックURL

http://asunimukatuye.mediacat-blog.jp/t94392