2018年10月31日
現代人への警鐘
ドイツの作家ミヒャエル・エンデの作品『モモ』に、道路掃除人のベッポというおじいさんが登場します。ある日、彼がモモに、自分の仕事の話を始めました。
いわく、非常に長い道の掃除を受け持つときがある。“とてもやりきれない”と思いつつ、せかせかと始める。時々、顔を上げるが、ちっとも進んでいない。心配でたまらなくなり、ものすごい勢いで働くが、やがて疲れ果ててしまう――ここで彼が一言。「こういうやり方は、いかんのだ」と。
しばらく黙った後、彼は口を開きました。「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ」「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな」と。(岩波書店、大島かおり訳)
先のことを思い煩って焦るより、足元を見つめ、「今」を大切に生きることで心は豊かになると、エンデは訴えているのでしょう。日々の忙しさの中で、足元の幸福を見失いがちな現代人への警鐘にも思えますね。
いわく、非常に長い道の掃除を受け持つときがある。“とてもやりきれない”と思いつつ、せかせかと始める。時々、顔を上げるが、ちっとも進んでいない。心配でたまらなくなり、ものすごい勢いで働くが、やがて疲れ果ててしまう――ここで彼が一言。「こういうやり方は、いかんのだ」と。
しばらく黙った後、彼は口を開きました。「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ」「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな」と。(岩波書店、大島かおり訳)
先のことを思い煩って焦るより、足元を見つめ、「今」を大切に生きることで心は豊かになると、エンデは訴えているのでしょう。日々の忙しさの中で、足元の幸福を見失いがちな現代人への警鐘にも思えますね。
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