2014年06月26日

一貫性がない

 ローマ帝国が滅亡の坂を転げ始めた3世紀。その前兆として皇帝が次々に交代しました。平均在位は4年でした。
 「五賢帝時代」と称され、帝国が最も繁栄した頃、在位は約20年だった。『ローマ人の物語』を書いた塩野七生さんは語っています。「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか」(『日本人へ』文春新書)
 その後、すぐに帝国が滅びたわけではありません。度重なる指導者の交代が、一貫性のない統治を生み、国力を弱め、危機を乗り越えられなくなったのです。
 物事の動きには“兆し”というものがあります。仏典には「(水に浮かんだ)華が見事に咲くのを見て、池の深いことを知る」とあります。目の前の変化に一喜一憂したり、目先を少し変えて安心していてはいけない。表面に出てきた姿の裏に真実がある。それを見抜く透徹した眼を持つことが肝要だと教えています。

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