2018年04月30日

積み木みたい

 建築やデザインの世界に「神は細部に宿る」という格言があります。これは宗教的な意味ではありません。柱1本、タイル1枚――そうした細部に徹底してこだわってこそ、全体の美が生まれる、ということです。近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉とされています。
 数寄屋大工の齋藤光義氏は、かつて上棟式の後、設計士から、柱を全て、図面よりわずかに丸みを帯びたものに変えてほしいと言われたそうです。悔しかったが、半年後、完成してみると、確かに部屋の雰囲気が心地良い。あの丸みが、そうさせたことを思い知ったそうです。
 その後も氏は、〝柱を数ミリ太く〟とか〝木の表面をごくわずかに削って〟と注文を受けます。妥協なきこだわりに触れて、奥深い数寄屋の世界に引き込まれていったのです。「大工仕事も積み木みたいなものですからね」と氏は語る(『運命を変えた33の言葉』NHK出版新書)  

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2018年04月29日

文化を受け入れ、尊重する

 外国語翻訳ソフトの進歩が目覚ましいですね。「2カ国語間の会話をその場で音声翻訳」「カメラを向けただけで画像内の文字を翻訳」「103言語の文章を相互翻訳」などが、スマートフォンで気軽に利用できます。翻訳の精度や読み上げる声の自然さも日々、向上しているそうです。
 異なる言語の人々が瞬時に意思疎通できる素晴らしさ。一昔前には想像できなかった“夢の機能”には違いありません。とはいえ、外国語を学ぶ大切さは変わらないでしょう。相手の言葉を話すという行為は、その文化を受け入れ、尊重するという姿勢の表れにほかならないからです。  

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2018年04月28日

世代間交流

 厚生労働省が公表した2065年までの将来推計人口。50年近く先のこととはいえ、総人口は8808万人に減り、高齢者が年少人口(0~14歳)の約4倍を占めると予測されていました。
 少子高齢化が進む中で、社会や消費の動向に新たな可能性を生む「クロスジェネレーション」(世代間交流)が注目されています。ヨーヨー、けん玉など懐かしいおもちゃが今、世界各地で流行。日本では大人が教える体験教室も盛況だそうです。
 「大人世代が若者世代をサポートするような社会になれば、まさに世界のモデルになる」との声も(阪本節郎/原田曜平著『日本初! たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書』東洋経済新報社)  

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2018年04月27日

人と人のつながり

 世界の被災地で復興状況を調べている米国の研究者の講演会に参加し、そこで“一枚の地図”を見た人の話です。
 巨大ハリケーンで受けた被害の大きさが、その度合いで色分けされるとともに、集落の復興の状態が5段階で示されていました。「傾向が分かりますか」と、研究者が出席者に聞いたそうです。被害が大きいから復興が遅いわけでも、被害が小さいから復興が速いわけでもない。自身もハリケーンの被災者という研究者は力説しました。「復興のスピードの違いは、お金や行政の力などではありません。『人と人のつながり』の違いなのです」と。
 つながりをつくるためには――冒頭の研究者は言っています。つながりの場を提供するとともに、一人一人が良き隣人になることだ、と。すなわち人間の復興である。その中核を担う使命が私たちにはあるのです。  

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2018年04月26日

「夢」と書いた作品

 宮城・岩手・福島の小中高生が、はがきにしたためた書道展。「夢」と書いた作品が圧倒的な数を占めていました。夢」には、膨らんでいくような、柔らかな語感がありますが、その柔らかいものの奥には、何をもっても崩せない、固い芯があります。夢を抱き続けることが、試練を勝ち越え、人生を開いていく力になるのです。  

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2018年04月25日

立正安国論

 弱い者の立場、庶民の側に立つ。学問する人間には、その姿勢が貫かれていなければならない――。これは立命館大学の安田喜憲教授が語った言葉です。
 環境考古学を専門とする教授は、地中深くの堆積物を調べることで、過去の気候変動を年単位で復元する「年縞」という年代測定法を確立しました。その手法によると、鎌倉時代、日蓮大聖人が御在世のころは気候が不安定で、西日本は大干ばつに襲われ、東日本も集中豪雨に見舞われたという。
 1257年には「正嘉の大地震」が発生。飢饉の苦しみが庶民を襲い、関東では大洪水も起こった。教授は、こうした状況の中で、大聖人が「立正安国論」を著されたことを強調。「『庶民のため』との行動を貫いた日蓮大聖人の魂を永遠に堅持し続けてもらいたい」と、創価学会への期待を述べています。
 「立正安国論」の御真筆には、「国」を表す71文字のうち約8割に、「くにがまえ(囗)に民」の「■<囗の中に民>」が使われています。この点にも、民の安穏を離れて国土の繁栄はないとする、大聖人の民衆中心の国家観が表れていえましょう。
 政治も経済も、人間の幸福のためにあります。この哲学を社会が共有し、常に確認することが「民主主義」の土台となる。それを促す役割を、私たちの立正安国の運動は担っているのです。  

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2018年04月24日

サプライチェーン

 東日本大震災の直後、しばしば「サプライチェーン」という言葉を目にしました。これは、ある製品が、原料の段階から消費者に届くまでの一連の工程をいいます。
 震災時、さまざまな企業活動で、サプライチェーンが寸断され、経済に大きな打撃を与えました。そうした反省から、「BCP(事業継続計画)」と呼ばれる取り組みが各企業で始まりました。自然災害などに見舞われても、事業の早期復旧を可能とするために、緊急時における事業継続の方法などを決めておく計画のことです。
 BCP策定における大きな課題の一つは、サプライチェーンを構成する企業間や地域内、業界内の「連携」だという。それぞれの企業の取り組みと同時に、防災・減災のネットワークを広げることは、社会全体の「レジリエンス(回復力)の強化」にも寄与します。
 災害は、人間と社会の“つながり”を断ち切ります。災害に強い社会づくりの核は、この分断に対抗する力を、あらゆる分野で強めていくことだ。そのためには、企業・団体であれ、個人であれ、普段から防災意識を共有することが欠かせないのです。  

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2018年04月23日

チャンスを呼び込む

 人の経歴の8割は偶然の出来事で決まる――これは、スタンフォード大学のJ・D・クランボルツ教授が提唱する学説です。
 社会的成功を収めた数百人を調査した結果、8割がその地位を築いた要因に、偶然の出会いなど予期せぬ出来事を挙げたそうです。とはいえ、決して“偶然に身を委ねる生き方”を勧めているわけではない。教授は、主体的に行動する中で起こるさまざまな偶然を人生を開く好機にする「計画的偶発性理論」を提唱。成功の鍵として①旺盛な「好奇心」②努力を重ねる「持続力」③前向きに物事を捉える「楽観主義」④固定観念に縛られない「柔軟性」⑤失敗を恐れない「冒険心」を挙げています。
 「ああなりたい」「こうしよう」と意思をもって努力することは大切です。ただ人生は何が起きるか分からない。予想外の何かが起きたとき、“自分が考えていたこととは違う”などと切り捨てず、“新しい人生が開けるかもしれない”と捉えてみる。不断の努力を重ねつつ、目の前の出来事に心を開いておく――その構えがチャンスを呼び込むともいえましょう。  

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2018年04月22日

“陰の人”に敬意

 ずいぶん古い話です。かつて物理学者のアインシュタイン博士が来日した折、開かれた歓迎の会食会。博士を招待した出版社の社員たちに交じり、一人の少年がテーブルの端で小さくなって座っていました。
 彼を見つめる博士に、通訳が耳打ちしました。“あの子は、社員たちが東京駅に博士を迎えに行った時、一人で留守番をしていた子”――博士は即座に立ち上がり、その十二、三歳の少年の目の前へ。握手をして彼の労をねぎらったそうです。博士は、この日の日記に「事実上もっとも年少の社員の晴れやかな握手によって歓迎」されたとつづっています。
 博士は常に“陰の人”に敬意を払いました。ホテルを出る時にも、わざわざスタッフに向かって、心のこもったしぐさで帽子をとった。反対に、地位ばかり高く、傲慢な連中には、厳しく批判的な目を向けたそうです。(金子務著『アインシュタイン・ショックⅠ』岩波書店)  

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2018年04月21日

分散型

 インターネットが出現した当初のシステムは、1台のホストコンピューターと多くの端末をつなぐ「集中型」でした。
 だが、それではホストが停止したらネットワーク全体が断絶してしまう。その対策として、個々のコンピューター同士を結ぶ技術が生まれました。これにより回線がどこかで切れても、他の回線を使ってネットワークが存続できるように。現在は、こうした「分散型」がシステムの主流になっています。
 実は雑草も、これに似た仕組みによって力強く生きています。一つの株元から茎を這わせて節をたくさんつくり、節ごとに根をおろす。そこからさらに上や横へ茎を張り巡らせ、大地に“ネットワーク”を形成する。抜いても抜いても生えてくるのはこのためで、親株がなくなっても生き残る戦略であるのです。(稲垣栄洋著『雑草は踏まれても諦めない』中公新書ラクレ)  

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2018年04月20日

心の復興につながる仕事

 東日本大震災の被災地で、古文書や文化財の保全に取り組む歴史家たちがいます。その集大成である『よみがえるふるさとの歴史』全12巻(蕃山房発行)が好評を博しているそうです。
 これは、失われた郷土の歴史を“文章の力”で取り戻す試みで、第2巻では、約400年前に東北を襲った慶長奥州地震津波からの復興を特集。塩害で農業が困難になった地にあって、逆転の発想で製塩事業を推し進め、沿岸部を活性化した事例が紹介されています。
 プロジェクトの中心者で歴史家の平川新宮城学院女子大学学長は、先人の挑戦をよみがえらせる意義について「心の復興につながる仕事」と力を込めています。  

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2018年04月19日

皆の呼吸が合えば

 沖縄・那覇市の3大祭りの一つ「那覇ハーリー」が5月の連休に開催されます。
 祭りのメインはハーリー競漕だそうです。地域対抗をはじめ、中学校対抗や職域対抗などもにぎやか。爬竜船と呼ばれる小船に32人のこぎ手と、船首部分に鐘打ち役、船尾にはかじ取り役が乗り込み、速さを競います。本番が近づく今、早朝や夕刻には、あちこちから練習に励む鐘の音が聞こえるそうです。
 20年以上にわたり、ハーリーのこぎ手を務める壮年は語ります。「大切なのは鐘打ちのリズムに、全員が呼吸を合わせて櫂をさばくことです」と。どんなに力や技術のあるこぎ手をそろえても、櫂をこぐタイミングがバラバラなら力はそがれ、スピードに乗ることはできない。逆に、皆の呼吸が合えば、ぐんぐん勢いは増していくという。  

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2018年04月18日

欠かせない要素

 かつて長寿の双子姉妹として人気を博した、きんさん・ぎんさん。妹の蟹江ぎんさんの4人の娘さんたちも、負けず劣らずの長寿姉妹で、平均年齢は99歳になります。
 彼女たちの“元気の秘訣”は、毎日のように集まって「おしゃべり」することだった。長寿医療の研究者が調べたところ、4姉妹が自由に会話している時、脳の血流が増えていることが分かった(石川恭三著『沈黙は猛毒、お喋りは百薬の長』河出書房新社)
 脳の血流が増えると、神経細胞が活発になり、認知症の予防や、抗うつ効果も期待できるといわれます。「健康社会」を考えるうえで、人と人との対話や交流は欠かせない要素なのです。  

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2018年04月17日

庶民にも分かる

 昨年は「宗教改革から500年」とされています。大学教授だったマルティン・ルターが1517年、“買えば罪が許される”とする免罪符を批判し、95カ条の意見書を発表。教会の腐敗を指摘し、宗教改革の口火を切ったのです。
 意見書は難解なラテン語で書かれました。それが、庶民にも分かるドイツ語に訳され、流布したのです。文字の読めない人には、読める人が語って聞かせたそうです。聖書をドイツ語に訳したのもルター。信仰の情熱こもる言論と、万人に理解される根本の聖典の存在が、時代を動かす原動力となったのです。  

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2018年04月16日

「大人」の要件

 江戸時代の蘭医学者・緒方洪庵が著した『扶氏医戒之略』に次の一節があります。「病者に対しては唯病者を視るべし。貴賤貧富を顧ることなかれ」と。
 診察に限らず、洪庵は普段から誰にでも分け隔てなく接しました。弟子の福沢諭吉は「客に接するにも門生を率いるにも諄々として応対倦まず、誠に類い稀れなる高徳の君子」と師を敬慕していました(中田雅博著『緒方洪庵――幕末の医と教え』思文閣出版)。
 相手によって態度を変えない。これが「大人」の要件の一つでしょう。  

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2018年04月15日

30通の手紙

 「生きているうちに息子に伝えなければ」――カナダの実業家キングスレイ・ウォードは、2度の心臓手術の後、会社を継ぐ息子に手紙を書いたそうです。後に『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』として出版され、新社会人の必読書としてベストセラーになっています。
 その内容は「礼儀正しさに勝る攻撃力はない」「服装は君に代わって物を言う」……。仕事で遭遇する局面での対応を説く同書。親子の立場を超えた「同じ道を志す友」への愛情が伝わってきます。最後に「君の父親であったおかげで、素晴らしい人生だった」と締めくくっています。(城山三郎訳)  

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2018年04月14日

本当は近くにある

 近年、身近なレジャーとして登山を楽しむ人が増えています。若い女性は〝山ガール〟と呼ばれ、服装も華やかに。しかし、山は急激な気候の変化や思わぬ落石など、常に危険と隣り合わせです。
 創価学会の池田先生の創作物語『あの山に登ろうよ』(金の星社刊)には、3人の子どもが「にじの山」の頂上を目指す冒険ストーリーが展開されています。立ちはだかる「まほうつかいの雲」「だましの岩」に打ち勝つことはできるのか――
 森の妖精が語り掛けます。「ちょうじょうはね、なかなかつかないように見えるけど、本当は近くにあるのよ」「百歩登ればちょうじょうなのに、九十九歩で引きかえしてしまう人もいる」。物事の成否や勝敗が決まる前には、必ず苦難という〝剣が峰〟が待っているものです。その時、登り続けた人だけが頂上に立てるのです。  

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2018年04月13日

〝生きる力〟を得ようと

 福島県・三春町にある国の天然記念物で、日本三大桜の「三春滝桜」。四方に垂れた幅20㍍もの枝に咲く桜が滝のように見えることから、その名が付いたそうです。
 樹齢1000年を越して今なお、〝冬は必ず春となる〟と、わが身で示す一本の桜。その姿を見るために例年、数十万人が訪れるという。らんまんの春を告げる滝桜から〝生きる力〟を得ようと、人々は足を運ぶのかもしれないですね。  

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2018年04月12日

体温”にまで迫ったからこそ

 記録文学や歴史小説などの分野で多くの作品を残した吉村昭氏。氏の生まれ故郷、東京・荒川区に「吉村昭記念文学館」があります。
 館内の一角には、書斎が再現されています。部屋の三方を天井まで伸びた本棚が囲み、歴史書、郷土史などに加え、自作のスクラップブックも並んでいます。その量に圧倒される事でしょう。窓際には幅2メートル60センチもある特注品の机。執筆時に多くの資料を載せるため、この長さが必要だったそうです。
氏の信念は「史実そのものにドラマがある」。戦史小説では関係者の証言を重視し、一つの作品のために192人を取材したこともあったそうです。「証言者と会い、その眼の光、言葉のひびきを見聞きした」(『私の引出し』文春文庫)。それぞれの証言の“体温”にまで迫ったからこそ、事実や数字の羅列ではなく、血の通った人間ドラマを描けたのでしょう。  

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2018年04月11日

一日一日の積み重ね

 最少の時間で最大の成果を挙げるには?――そんなテーマを扱い、全米ベストセラーになった本に『エッセンシャル思考』(かんき出版)があります。
 そこには、目標設定の仕方として、着実に達成できる小さな目標が大切と記されています。派手な目標を立てると、途中でくじけてしまう場合があるからです。社会で実証を示すといっても、一日一日の積み重ねですね。  

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