2018年04月10日

決断できた心意気

 帝国ホテルの総料理長も務めた村上信夫さんが、まだ30代のある日、同ホテルの社長に呼ばれたそうです。社長の「フランスに留学しないか」との打診に、村上さんは「行かせていただきます」と即答しました。「奥さんに話さなくていいのか?」と驚く社長に、「説得します」と宣言し、留学が決まったのです。
 実は、その前に8人の先輩が打診されたが、皆、「家族と相談します」とためらったらしい。信頼する人に助言を求めたり、環境に応じた賢明な判断は大事だが、人生を左右する一大事に“まず行く!”と決断できた心意気が、村上さんの未来を大きく開いたことは間違いないですね。  

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2018年04月09日

靴をそろえて脱ぐ自由

 120年ほど前の日本では、まだ女性に開かれていなかった新聞記者の道を、自らの努力で勝ち取った羽仁もと子さん。後年、教育家となり、ユニークな教育方針の一つとして「靴をそろえて脱ぐ自由」を強調しています。
 「脱いだ靴をそろえなさい」という強制ではなく、“そろえない自由”も選択肢に示し、自由の真意を考えさせたかったのでしょう。自由は自分勝手とは違います。自ら考え、選択し、その結果を引き受ける責任が伴います。それゆえ、問答無用でやらされるより、成長のチャンスは大きいのです。  

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2018年04月08日

雨について

 週末に降る雨を喜ぶ人は、そう多くはいないでしょう。イベントが多いこの時期だと、なおさらです。
 春の雨にはいくつも異称があります。その一つが「育花雨」。花の生育を促す“恵みの雨”との意味で、仏教にまつわる故事から生まれました。4月8日に釈尊が誕生した際、仏法を守護する八竜王が喜びのあまり、「甘露の雨」を降らせて祝福したという伝説です。
 「雨は花の父母」とのことわざもあります。子どもたちが、“成長”という名の花を命いっぱいに咲かせる入学シーズン。わが子の産声を聞いたその日から、励ましの陽光と慈雨を一心に注ぎ続けてきた家族の感慨は、ひとしおでしょう。  

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2018年04月07日

「KY」と「KY活動」「KY訓練」

 「KY」といえば“空気読めない”の略として、10年ほど前から若い人を中心に使われている言葉です。その場の雰囲気や状況などを察することができないという、日本社会独特の否定的な表現ですね。
 一方で、事故や災害を未然に防ぐための取り組みに「KY活動」「KY訓練」という言葉がある。この場合のKYは「危険予知」を指します。1970年代から使われ始めたというから、言葉の歴史としては、こちらの方が“先輩”です。  

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2018年04月06日

夜間中学

 第2次大戦前後の混乱や貧困、学校でのいじめや病気により、十分な学校教育を受けられず、読み書きができない人が、日本に少なからずいます。その人たちのために「夜間中学」の仕組みがあります。
 「夜間中学」はユネスコなど、世界から高い評価を受けている、この仕組みを守ろうという動きが、最近広がってきているそうです。  

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2018年04月05日

満たされ過ぎるとうまく育たない

 市販されているトマトの糖度は4~5度程度だそうです。だが、農業研究家の永田照喜治氏が栽培したトマトの糖度は、この2~3倍にもなるそうです。なんと、ブドウ並みの19度になったこともあるそうです。
 秘密は「スパルタ農法」にあるそうです。水と肥料を極力少なくし、トマトを“甘やかさない”。ぎりぎりの環境に置かれたトマトは、養分や水分を何とかして吸収しようと、茎や葉などあらゆるところに産毛をびっしりと生やす。その結果、吸収の効率が上がり、果実においしさが凝縮するのです。
 過剰な栄養が与えられると、根は十分に働かなくなるという。満たされ過ぎるとうまく育たないのは、植物も人間も同じかもしれませんね。  

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2018年04月04日

陰の人々

 昨年、トヨタ自動車の草創期をモデルにしたドラマが放映されました。このドラマは特に販売店や部品メーカーといった、陰の人々に光が当てられていました。
 同社の市販車第1号は、よく故障しました。苦情も殺到し、販売は困難を極めました。だが販売店の支配人は負けていない。「我々が自信をもってユーザーに差し上げることのできるものは、ただ誠意・誠実・まごころ、それだけだ。我々は全力をあげて、それを実践する」(若松義人著『トヨタのリーダー 現場を動かしたその言葉』PHP研究所)
 営業マン自ら、整備・点検に汗を流しました。整備士と共に故障車のもとへ、昼夜を問わず駆け付けたのです。もっといい車を作ってくれれば、苦労しないのに――こう思って当然であろう。だが彼らは人をあてにしたり、人のせいにはしなかったのです。“国産車を育てるのは自分だ”という決意と確信は、技術者にも劣らなかったのです。
   

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2018年04月03日

タンポポの英語名は「ダンデライオン」

 人通りが少ない路傍でタンポポを見つけました。誰もが見上げる華やかな桜に負けまいと、足元で懸命に“春の到来”を告げている一輪の花がいとおしい見えました。
 タンポポはアスファルトの隙間や崖など、あらゆる場所でかれんな姿を見せます。その秘密は地中深く伸ばした「根」にあるそうです。長いものでは、1メートルに達するものもあるという。花が咲いた後の綿毛は風に乗り、土さえあれば、その場所に根をおろし、再び花を咲かせていくのです。
 タンポポの英語名は「ダンデライオン」。語源はフランス語で、“ライオンの歯”という意味です。ギザギザの葉が、それに似ていることから付けられたという。仏典では百獣の王であるライオンを「師子」と名付けています。「師子」を思わせるたくましさこそ、タンポポの特徴なのかもしれません。  

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2018年04月02日

ソメイヨシノ

 ソメイヨシノ。現代では日本の桜の大半を占めています。このソメイヨシノの名が正式に定められたのは1900年の事です。
 ソメイヨシノは江戸時代に交配によって生まれ、接ぎ木によって全国に広がりました。一斉に咲き、一斉に散るのは、ソメイヨシノが、全て同じ遺伝子を持っているからだそうです。  

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2018年04月01日

紙の切符

 埼玉県の秩父鉄道。ここで行き先を駅員に告げると、窓口で手渡されるのは、昔懐かしい硬い紙の切符です。駅によってはスタンプを押しますが、今もカギ形を刻むハサミを入れている所もあるそうです。
 初めて“自分の切符”を手にした当時の思い出がよみがえってきませんか。今と比べれば、だいぶ速度の遅い列車に揺られながら、“これさえあれば目的地に行けるのか”と感激した記憶が残っている人もいる事でしょう。  

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