2018年04月22日
“陰の人”に敬意
ずいぶん古い話です。かつて物理学者のアインシュタイン博士が来日した折、開かれた歓迎の会食会。博士を招待した出版社の社員たちに交じり、一人の少年がテーブルの端で小さくなって座っていました。
彼を見つめる博士に、通訳が耳打ちしました。“あの子は、社員たちが東京駅に博士を迎えに行った時、一人で留守番をしていた子”――博士は即座に立ち上がり、その十二、三歳の少年の目の前へ。握手をして彼の労をねぎらったそうです。博士は、この日の日記に「事実上もっとも年少の社員の晴れやかな握手によって歓迎」されたとつづっています。
博士は常に“陰の人”に敬意を払いました。ホテルを出る時にも、わざわざスタッフに向かって、心のこもったしぐさで帽子をとった。反対に、地位ばかり高く、傲慢な連中には、厳しく批判的な目を向けたそうです。(金子務著『アインシュタイン・ショックⅠ』岩波書店)
彼を見つめる博士に、通訳が耳打ちしました。“あの子は、社員たちが東京駅に博士を迎えに行った時、一人で留守番をしていた子”――博士は即座に立ち上がり、その十二、三歳の少年の目の前へ。握手をして彼の労をねぎらったそうです。博士は、この日の日記に「事実上もっとも年少の社員の晴れやかな握手によって歓迎」されたとつづっています。
博士は常に“陰の人”に敬意を払いました。ホテルを出る時にも、わざわざスタッフに向かって、心のこもったしぐさで帽子をとった。反対に、地位ばかり高く、傲慢な連中には、厳しく批判的な目を向けたそうです。(金子務著『アインシュタイン・ショックⅠ』岩波書店)