2018年12月11日

何かのお間違いじゃございませんか?

 ある人が乗った高級車ロールスロイスのシャフト(回転軸)が、砂漠の真ん中で折れてしまいました。困って本社に電話したところ、ヘリコプターでシャフトを取り換えに来てくれたそうです。その後、1年以上たっても請求書が来ないので、再び問い合わせてみた。応対した事務員は答えた。「何かのお間違いじゃございませんか? わがロールスロイスのシャフトは絶対に折れません」。この誇りと潔さが大好きだと、作家のつかこうへい氏が述べています。(『殺し文句の研究』読売新聞社)
 物事に「絶対」はない。しかし、論理とは別の次元で、「絶対」と心に決めることから、生まれるものがあるのです。  

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2018年12月10日

地下鉄

 「まるで人間がモグラになったようだ」。初めて乗った人は、こんな感想をもらしたという。これは、91年前の1927年(昭和2年)12月、浅草・上野間で開通した「地下鉄」です。
 当初、地下に鉄道を敷設できると考える人は少なかったそうです。実現に貢献した“地下鉄の父”早川徳次も、「ほら吹き」「山師(詐欺師)」などと、世間から悪口を浴びました。
 しかし、彼は信念を曲げなかった。「ほら吹きだと罵られた福沢諭吉先生は、ご自分からホラをフクザワ、ウソをユウキチ、と言って笑って弁明しておられた。だが、後には社会から時代の先覚者として、尊敬を得たではないか」と。(中村建治『地下鉄誕生』交通新聞社)  

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2018年12月09日

ありがとう

 周囲をパッと明るくする「魔法の笑顔」と評判の、快活な女性がいます。女性は12年前、がんを発病。その時、心の支えになったのは、まだ幼かった娘が作ってくれた「日めくりカレンダー」だったのです。
 そこには、こんな言葉がありました。月曜「まけるな」、火曜「がんばれ」、水曜「ゆうきを出して」、木曜「元気を出して」、金曜「おうえんしてる」、土・日曜「大大大大大好きな、おかあさん」。涙して暦をめくったそうです。命の尊さをかみ締め、奮起し病を克服しました。
 彼女は語っています。ほんの数秒あれば、「ありがとう」と感謝を伝えられる。「頑張りましょう」とエールを送れる。1時間、1日あれば、どれだけの人と心を結び、勇気を送ることができるか、と。  

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2018年12月08日

『妙』は師、『法』は弟子

 中国の古典小説『西遊記』は、仏典を求めて中国からインドへ向かう玄奘三蔵と孫悟空ら一行の物語です。旅の途中の苦難にも屈せず、邪悪な者を倒し、人々を助けていくストーリーは、今も多くの人を魅了しています。
 「孫悟空」という名前には意味があります。「悟」は悟る、「空」は仏教の「空」の概念を示します。「孫」は単なる名字との説ですが、そもそも「孫」には、“小さい子ども”という意味があるそうです。つまり、仏教哲理をわずかに悟ったとも読み取れます。
 創価学会の二代会長である戸田先生は、自らが執筆した小説『人間革命』のペンネームを「妙悟空」としました。この名は、「孫悟空」をもじったものです。「妙」は“妙法”を表し、自身が獄中で生命の本質を悟ったことを示しています。戸田先生の『人間革命』は聖教新聞の創刊号から、3年余にわたり連載されました。
 三代会長の池田先生が恩師の小説の“続編”を記そうと思い立ったのは、恩師が原稿をポケットに入れ、「小説を書いたよ」と話す姿を見た時であるそうです。ペンネームの「法悟空」は、恩師の「妙悟空」と合わせると、「妙法」となる。その意義について、池田先生は「『妙』は師、『法』は弟子」とかたっています。  

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2018年12月07日

大変だろうなァ

 「動物園の動物を見ると、なんとなく『大変だろうなァ』と思いながら、じーっと動物の目を見る習慣がついてしまった」。これは漫画家の水木しげるさん自身の従軍体験です。おりの中の動物に、かつて初年兵として、南方の激戦地に送られた自分を重ねたのです。
 満足な食事もなく、毎日古兵に殴られ、生還しても「なぜ死ななかった」となじられる。戦争の不条理への怒りが、水木さんの創作のエネルギーになりました。水木しげるさんは〝妖怪物〟と並んで、〝戦記物〟で戦後漫画史の一時代を築きました。
 その集大成の一つが、自らの戦場体験を赤裸々に織り込んだ『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)です。水木さんの分身・丸山二等兵が、銃撃され死んでいくラストは圧巻です。丸山はつぶやく。「ああ、みんなこんな気持で死んで行ったんだなあ」「誰にみられることもなく、誰に語ることもできず……」と。戦場に散った仲間の声なき声を刻み残すことが、水木さんの使命感だったのです。  

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2018年12月06日

地域の教育力

 世界的にも高い識字率を誇った江戸時代の日本。その背景には「地域の教育力」があったそうです。当初、僧侶が担った寺子屋の講師は、後に農民・町人が過半数を占め、近隣の子どもを教えるようになっていきました。
 子どもには高価だった書物を、村の有力者は屋敷の蔵に置き、無料で貸し出しました。この“私設図書館”が学びの輪を広げました。こうした、寺子屋・地域・家庭が連携した“子どもを育むネットワーク”が日本中に張り巡らされていたのです(高橋敏著『江戸の教育力』ちくま新書)  

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2018年12月05日

新たな時を刻み始めるスタート

 「一から十まで」とは“最初から最後まで”を意味する慣用句です。だが、干支は十二支、1年は12カ月、1日は午前と午後が12時間ずつ、というように、時に関係する言葉では「12」が最後を区切る数となる場合が多いですね。
 文字盤が洋数字の時計で、「12」の位置に短針・長針・秒針がそろうのは12時間に1回。その瞬間、時計をじっと見つめてみます。一回り12時間の時の流れが完結する瞬間は、同時に、新たな時を刻み始めるスタートでもあるのです。  

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2018年12月04日

次に来る時には1フィート(約30センチ)伸びていますよ

 6万8000人の従業員を擁する世界最大のスポーツ用品メーカー「ナイキ」。創業者フィル・ナイト氏の自伝(『SHOE DOG』東洋経済新報社)を読まれましたか。
 氏の日本との縁は深いのです。ビジネスの始まりは“日本製のランニングシューズをアメリカで販売すること”。何度も日本に来て交渉を重ね、販売権を得たそうです。
 その後、独自ブランド「ナイキ」を立ち上げますが、事業は低迷。状況を打開するため、たびたび相談した相手も、日本の経営者だったそうです。ある時、氏が彼の前で“人材不足”と愚痴をこぼしました。すると彼は外を指さし、“あの竹が見えますか”と聞きました。そして“次に来る時には1フィート(約30センチ)伸びていますよ”と。その一言に、氏は“今いる社員を粘り強く育てよう”と決意したそうです。その後、氏の元から今日の発展を支える人材が陸続と生まれました。  

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2018年12月03日

倍音

 「みんなの声がぴたっと合うと、楽譜にはない音が聞こえてくるんだよね」。聞けば「倍音」というものらしい。
 空気が振動して伝わる音は、ほとんどの場合、一つの音を出しても、実はその2倍、3倍の振動数を持った音(=倍音)が同時に鳴るそうです。一人の歌声だと小さくて聞き取れませんが、合唱になれば音が重なって響くため、通常は聞こえない倍音が、はっきり聞こえるようになるそうです。
 心一つに声を合わせると、多彩で豊かな音が生まれる。まさに合唱の醍醐味ですが、そこには「団結の妙」に通じる示唆があるように思えます。  

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2018年12月02日

共同作業

 ウズベキスタンをご存知ですか。アフガニスタンとの国境沿いにあるテルメズには1世紀前後にガンダーラから仏教が伝来。クシャン朝(1~3世紀ごろ)のカニシカ王の時代に繁栄を迎えました。現在、テルメズを含む一帯には数々の仏教寺院の遺跡が存在しています。
 “仏教東漸の道となったシルクロードへの学術調査団の派遣に取り組んでいってはどうか”――創価学会の池田先生は1969年、創価大学の設立構想の中で提案しました。その実現に向け、創大は旧ソ連時代の89年、同地での共同発掘調査を開始。2007年までの6回の調査で、学術的価値の高い仏・菩薩像等の発掘や、寺院構造の解明などを通し、仏教が他宗教と共存しつつ豊かな文化の発展に寄与したことを、より正確に裏付けました。
 遺跡の発掘は言葉や民族・国の違いを超えて、歴史の実像に迫ろうとする人たちの共同作業なのです。  

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2018年12月01日

色彩感にあふれている

 デビュー11周年を迎えた“盲目のピアニスト”辻井伸行さん。彼の演奏は“色彩感にあふれている”と評されます。その要因の一つが、母・いつ子さんの関わり方にあったそうです。
 息子さんは盲目――そう告げられた母は育児書を読みあさりました。だが、そこには健常者の“見える世界”に適応させようとする記述ばかり。失望しかけたとき、知人の視覚障がい者から言われました。「生まれながらに『見えない』世界に生きる人にはその世界観があります」と。
 “「適応」ではなく、この子らしく育てよう”。水の音、木々のささやきなど、大自然の美しさを感動のままに伝えました。ある時、伸行さんが聞いてきました。「今日の風は何色なの?」。息子が豊かな彩りの世界にいることを教えられた(『のぶカンタービレ!』アスコム)  

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