2012年01月11日

自分たちの歴史と文化を守るために

 イラク戦争のさなかの市民の実話を描いた絵本に『バスラの図書館員』(ジャネット・ウィンター作・長田弘訳、晶文社刊)があります。主人公は、女性図書館員のアリア・ムハンマド・バクルさん。
 アリアさんは戦争が始まると、図書館の本を安全な場所に移してほしいと当局に求めるが、拒否されます。しかし、彼女はあきらめません。そこで毎晩、自分の家や車に、持てるだけの本を運び入れました。やがて町に戦火が広がり、陣取っていた兵士も逃げ出しました。
 アリアさんは自分たちの歴史と文化を守るために、近所の人たちの協力も得て、徹夜で本を運び出します。その数、蔵書の7割にあたる3万冊にも上りました。“アリアさんはのぞみをすてません”――物語の終盤には、このような言葉が、何度も繰り返されています。

バスラの図書館員
http://hontasu.blog49.fc2.com/blog-entry-276.html

 使命を感じた人は強い。揺るがない。その生き方の土台となるのは、やはり“のぞみ”――希望だ。「希望があれば、前進できる。何があっても戦える」
  

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2012年01月10日

成長とは

 一番寒い冬空のもとでも、緑を失わないのが松の木々です。日本三名園の一つ、金沢市の兼六園でも、雪折れを防ぐ「雪吊り」を装って、一層、目を楽しませてくれています。

 哲学者の和辻哲郎氏は、あるとき、砂山が崩れているところで、松の樹の根を見る機会があった。地上にある美しい松とは、ひどく違った姿をしていました。太いもの、細いものなど無数の根は、戦い、もがき、苦しみ、精いっぱいの努力を尽くしたように枝分かれし、一斉に大地に抱きついていたという。和辻氏は語る。「あの美しい幹も葉も、五月の風に吹かれて飛ぶ緑の花粉も、実はこのような苦労の上にのみ可能なのであった」(『偶像再興・面とペルソナ』講談社)と。

 成長とは、単に上へと伸び上がり、手を横に広げるだけではないのでしょう。しっかりと大地をつかむ根を持つことにあります。
  

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2012年01月09日

友好の地

 トルコ建国の父、ケマル・アタチュルク初代大統領の銅像が、同国から和歌山県・串本町へ贈られています。同町は両国友好の地です。その歴史は1890年、トルコの軍艦が同町沖で沈没した際、地元の漁師が乗員を救出したエルトゥールル号の遭難事故に遡ります。
 トルコは、イギリスの歴史学者トインビー博士が誠実にかかわった国です。ギリシャ・トルコ戦争のさなかに両国を自ら視察した博士は、それまで西洋が抱いていた“トルコは野蛮国”との偏見を非難しました。イスラム蔑視の当時の世論は、これに猛反発。博士は大学を追われたが、最後まで信念を貫きました。悪に対しては怒りを燃やす。間違いは間違いと断ずる。当然のことです。そこに国籍や人種などの差異を持ち込むと、物事をとらえる眼が曇り、歪んでしまいます。

ケマル・アタチュルク初代大統領の銅像
http://blog.canpan.info/koho/archive/1089
  

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2012年01月08日

子どもを信ずる親は、親を信ずる子どもを育てていく

 エッセー「父の根気」(城山三郎著『打たれ強く生きる』所収、日本経済新聞社刊)の中に、ある芥川賞作家の父親の話が綴られています。
 その作家は、高校時代にぐれて、警察の世話になった揚げ句、郷里を捨てて東京へ出ました。そこへ、父親からの『はがき』が届き始めました。内容は、息子の非を打つわけでもなく、さりげない近況の知らせばかり。ある時は故郷の風を運び、ある時は台所のにおいを漂わせていました。そのはがきは7年間で2000通に上りました。『はがき』を通して父は息子に無償の愛を注いでいました。それは、根本のところで、息子を信じ切っていた証です。

 話は変わりますが、受験生を抱える家庭、就職してわが家を巣立つ子ども……。年が明け、親として、心配や気苦労が、最も重なる季節を迎えます。こんな時だからこそ、わが子を強く信じ、抱き締めるように励まし、成長を祈っていきたいものです。

「子どもを信ずる親は、親を信ずる子どもを育てていく」と語る識者がいます。親を信じる子どもこそが、人を信じ、人に尽くす、立派な大樹に成長していきます。
  

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2012年01月07日

何度も決意を新たにし、前に進むことが大切です

 あけましておめでとうございます。と言っていた平成24年も、はや1週間。念頭に、日々の挑戦目標を立て、“今年こそは!”と挑んでいる人も多いことでしょう。

「『三日』坊主も、『十回』やれば、『一カ月』やったことになる。一日でも二日でも、やった分だけ、自分が得をする」(『希望対話』)。何度も決意を新たにし、前に進むことが大切です。

 人間が成長し、勝利しゆくためには、目標を掲げることが不可欠です。PHP総合研究所の江口克彦氏は、次代に求められる人材の条件として、「目標追求型」を挙げています。豊かな生活に満足し、目標を見失ってしまうと、挑戦する気概を失い、虚栄に走ってしまう。それは人間を駄目にする、と言及しています。
 では、どんな目標を立てるべきか。決して重荷にならず、挑戦への意欲がわき、日々の達成感が得られるものを掲げてみてはどうか。勝利から逆算し、そうした適切な目標を決めることができれば、ゴールはぐっと近づいてきます。
  

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2012年01月06日

明日を見つめるため

 元来、暦の上での様々な節、記念日も、昨日を振り返るより明日を見つめるためにあるのでしょう。その一つ「二十四節気」では、今日1月6日が「小寒」に当たります。
 この日から春の穀雨まで吹く「二十四番花信風(にじゅうしばんかしんふう)」という風があります。これは、啓蟄には桃、春分には木蘭など、小寒から穀雨までの各気に花を配し、その開花を知らせる風のことである(『広辞苑』)。ちなみに、今年の穀雨は4月20日。咲く花は華麗な牡丹です。

  

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2012年01月05日

光明を見いだしたのは

 イタリアの詩人ダンテの生誕は1265年。今年は747周年にあたります。混迷の中世後期を生きたダンテが、光明を見いだしたのは「女性」の存在でした。
 ダンテ研究者の矢内原忠雄氏は語っています。「ダンテほど深く女性の価値を認識した人はあまり多くありません」(『ダンテ神曲講義』みすず書房)と。例えば『神曲』地獄篇の第4歌。ここでは古代ローマ建国の歴史が描かれており、建国に功労のあった男性と共に、その母や妻や娘の名前が明記され、平等に名誉が与えられています。
 また『神曲』はラテン語ではなく、当時の一般女性が読めるように、日常の話し言葉であるイタリア語(トスカナ語)で書かれています。さらに『神曲』の執筆自体が、一人の女性への敬慕に導かれています。信強く心清き女性こそが、世界を変える力の源泉であることを、ダンテは確信していたのです。

神曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%9B%B2
  

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2012年01月04日

第88回箱根駅伝

 お正月はこれでしょう。2日、3日に行われた新春の第88回箱根駅伝。東洋大は昨年の21秒差の敗戦で「1秒を大切にしよう」という意識を持った、強さが突出していました。往路、復路ともに大会新。総合記録も、昨年の早大が出した現行の距離になってから初の11時間突破の記録を8分15秒も更新する10時間51分36秒でした。
 沿道の声援を受け、様々な人の思いがこもったタスキをかけて走る駅伝は、皆の応援を最大限の味方に、力走する選手が多いでしょう。しかし、最後は、やはり自分との戦いです。順位が最優先されますが、自分に勝ったかどうかが、これからの人生の勝利者になります。
   

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2012年01月03日

日記は自己の修養の手段

 「初日記 書くたのしさに 炭をつぐ」(『俳句歳時記』)。初春を迎え、新しい日記帳に記す喜びを詠んだ句です。「日記帳」が輸入されたのは約150年前、遣欧使節としてパリを訪れた福沢諭吉が購入し、日本に持ち帰り、その後、人々に広がったそうです。
 ロシアの文豪、トルストイが日記を始めたのは18歳。72歳の日記には「私の生涯の幸福な時期は、私がすべての生活を人々への奉仕に捧げた時であった」(中村融訳)と。日記は自己の修養の手段でした。
 私は今、5年日記を書いていますが、書いたその時より、昨年や一昨年に書いたのを見ることにより当時の情景が見事によみがえります。そうしたことにより、今の私を改めて分析することができています。  

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2012年01月02日

宗教と文明の衝突

 不戦への努力も実らず、湾岸戦争が始まったのは1991年の1月でした。それ以後、冷戦に代わって、宗教と文明の衝突が地球を覆い始めています。あの「9・11」のテロ勃発からは、今年で11年となります。

 世界的な宗教学者のコックス博士の著『信仰の未来』で、20世紀半ば以降の50年を、“人々が教条的な教義から脱却し、普遍的な精神の価値を求める「精神の時代」”と捉え、その模範として日本の創価学会に言及しています。
 その理由を日本のみならず世界のリーダー「池田SGI会長の振る舞いを通して、『精神の時代』を象徴する、仏教ヒューマニズムの実践の真髄に触れることができた」からだと語っています。日本での評価は少ないですが、世界の識者は知っていますね。

 
  

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2012年01月01日

新年はチャンスだ

あけましておめでとうございます。

 青春と情熱の東北の歌人、石川啄木は詠んだ。「汽車の窓/はるかに北にふるさとの山見え来れば/襟を正すも」。自身を鍛え育てた故郷の山は、身を引き締める大きな存在でした。
 東北の詩人、高村光太郎は「岩手山の肩」という詩に力強く歌っています。「岩手山があるかぎり、南部人種は腐れない。新年はチャンスだ。あの山のやうに君らはも一度天地に立て」。偉大な人生を創るには、心に仰ぎ見る泰然たる山が必要です。
 今年は、良い一年でありますように。

石川啄木記念館
http://www.takuboku.com/

高村光太郎記念館
http://www.hanamaki-takamura-kotaro.jp/museum.html  

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