2012年11月27日

前例がない

 京都市内を流れる高瀬川沿いに、建築家の安藤忠雄氏が手掛けた商業施設があります。当初、川に背を向けて建物が並んでいる風景は、川が邪魔物扱いされているように映りました。“京都の街は水とのかかわりが深い。それを象徴する建物に”。氏のアイデアは、川の護岸を切り崩し、水面に手が届く高さに施設の最下層を造ることでした。
 行政側は「建築のために護岸を切り崩した前例はない」と否定しました。しかし安藤忠雄氏は、過去のデータをもとに水量を予測するなど説明を繰り返し、最終的には安全面でも太鼓判を押され、護岸の切り崩しが許可されました。完成から数年後、隣接する敷地には同じ考え方で増築も許可された(『建築家 安藤忠雄』)
 「前例がないから」。それを理由にあきらめるか。あるいは、知恵を振り絞り、解決への糸口を探し出すか。情熱の真価が、そのときにこそ問われます。  

Posted by mc1460 at 11:09Comments(1)TrackBack(0)つぶやき