2012年07月30日

その人の“全体像”

 事件が起きた。「犯人像は一体?」と、新聞記者に意見を求められることがあっても、臨床心理学者の河合隼雄氏は、決まって断っていたそうです。理由は明快です。「分からない」から。臨床心理学者としての分析的な話はできるが、だからといって「この事件の」犯人のことがつぶさに分かるわけではない。人間はそういうものではなく、一人一人違うというのです。
 医者として患者に接する時も、患者が話すことに安易に共感を示さないそうです。だから「先生は冷たい」と言われることもあったそうです。氏は人を“細部”ではなく、「全体として見る」ことを心がけていた『こころと脳の対話』
 人は往々にして、ちょっとした言動や外見、肩書で、その人を判断してしまうことが多いものです。しかし、相手の本当の姿、なかんずく長所は、すぐに理解できるものではないでしょう。豊かな人間関係を築くには、その人の“全体像”を見ようと、じっくり努力し続けることが不可欠です。  

Posted by mc1460 at 11:48Comments(0)TrackBack(0)つぶやき