2011年11月08日

よき種は よき苗となり よき花が咲く

「よき種は よき苗となり よき花が咲く/よき少年は よき青年となる/よき青年は よき社会の 指導者と育つ」

 物心がついた時には、削った菜箸が指揮棒代わりとなり、レコードに合わせて指揮者のまねをしていた――。仙台フィルハーモニー管弦楽団の指揮者・山下一史氏の幼いころの話です。
 彼は会社員の父と専業主婦の母の下に生まれました。音楽一家ではありませんでしたが、息子のほほ笑ましい姿を見て、親がピアノを習わせてくれたそうです。「自分のことを本当によく理解してくれたことが、音楽の道に進むきっかけになった」と両親に心から感謝しています。
 どんなに優れた才能だろうと、それを認め、はぐくむ環境がなければ成長はしません。

 ドイツの著名なクラリネット奏者の指導に、だれもが興味津々でした。相手は楽器を持って3カ月という、日本の中学生です。どのような指導をしたのでしょうか?
 彼が生徒に課したのは音階練習でした。その際、こう教えたそうです。「何の考えもなく、ただ音を出すという瞬間を君の人生に作ってはいけない。たとえ音階練習であっても、そこに音楽があると信じ、音楽を作りなさい」(藤野栄介著『指揮者の知恵』学研新書)と。
 初々しい生徒の、必死な姿が目に浮かびます。彼が伝えたかったのは、基本の練習にも常に全力で取り組む姿勢でした。基本の大切さを知り、徹し切れるか。そこに一流へと至る道があることを五体にしみこませるために。

 地道な努力で決まる――分かっていることと片付けがちだが、どんな分野であれ、ひとかどの人物になるには、この“法則”から逃れることはできないのです。努力の達人に、開けない道はない。

「よき種は よき苗となり よき花が咲く/よき少年は よき青年となる/よき青年は よき社会の 指導者と育つ」
  

Posted by mc1460 at 11:46Comments(1)TrackBack(0)つぶやき