2014年11月08日

空間の結び目

 トルコ・イスタンブールのボスポラス海峡に、地下鉄が走る海底トンネルがあります。このヨーロッパとアジアをつなぐトンネルの構想は1860年、オスマン帝国のスルタン(君主)によるもので、150年来の夢の実現となったのです。
 完成に至るまでの日本の大手建設会社による、最新技術を駆使した工事も話題だが、さまざまな苦労の中に“遺跡保存への配慮”がありました。地下鉄駅を建設する際、遺跡が次々と見つかり、そのたびに工事を止めて発掘調査を行いました。
 発掘をすると、オスマン帝国時代の遺跡の下に、4世紀ごろと思われる東ローマ帝国時代の遺跡が。さらにその下には3000年以上前に、“初めて鉄器を発明した”とされるヒッタイトの遺跡も見つかりました。
 ここは、二つの亜大陸という広大な空間の結び目であり、長遠の時間が折り重なるように堆積しています。旅人を思索の旅へといざなうのです。  

Posted by mc1460 at 11:33Comments(0)TrackBack(0)つぶやき