2012年08月31日
「ほんとうの幸福」の“種”
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読んだ事がありますか。周囲から冷たくされていた主人公のジョバンニは、幻想的な銀河鉄道の旅で、世の中のさまざまな不条理を悟り、成長していきます。そして、「みんなのために、ほんとうのほんとうの幸福をさがすぞ」と決めます。賢治は、別の著作の序に、“畑や森の中で、ひどいぼろぼろの着物が、素晴らしいびろうどや羅紗や宝石入りの着物に変わっているのを、たびたび見た”と記しています。彼は、懸命に生きる人間の内にこそ、「ほんとうの幸福」の“種”があることを知っていたのでしょう。