2012年03月11日

あのやわらかな響き

 青森県に馬淵川があります。読み方は「まぶち」ではなく、「まべち」が正式名称だそうです。諸説はありますが、住む人の川に対する親しみが伝わってくるようで、響きが心地よいですね。
 「日本で一番美しい言葉は東北弁だと思う。あのやわらかな響きが標準語だったら、日本におけるオペラと詩劇の完成は一世紀早まっただろう」。と、劇団四季を創設した浅利慶太氏が、師匠・加藤道夫氏の言葉と紹介しています(『時の光の中で』)。東北に限らず、方言には心に染み入るぬくもりがあります。  

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2012年03月10日

闘う相手は弱い自分

 「経験は、時としてネガティブな選択のもとにもなる」と、将棋棋士の羽生善治氏は語っています。失敗の経験は、自分の思考を縛ることになりかねません。そのため「そういうマイナス面に打ち勝てる理性、自分自身をコントロールする力を同時に成長させていかないと、経験を活かし切るのは難しくなってしまう」と(『決断力』角川書店)
 これは将棋の世界だけでなく人生万般に通じるものです。サラリーマンが営業にいった際、取引先の開拓や、困難な交渉など、「前回、ダメだったから今回も無理」と二の足を踏みがちです。しかし、その殻を破って「挑戦」へと踏み出すには、自分が強くならねばならない。闘う相手は弱い自分です。  

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2012年03月09日

仲人の落とし扇

 昔の大阪の言葉に「仲人の落とし扇」があります。これは、結納や婚礼が滞りなく進行している時に、仲人が扇を落としてしまう事を指しています。
 世間的には扇は「末広がり」「縁起がいい」ことの象徴です。それを仲人が落とすとは、どういうことでしょう。迷信深い人ならば、「縁起でもない」となってしまうところです。が、この言葉が意味するところは違うそうです。そのぐらいの“失敗”は、むしろプラスというのだそうです。
 すべてが完璧、何の欠点もない、などということは、あまりあるものではない。もしあったとしても慢心や油断を生み、敗北の因となるかもしれない。また、少し欠点があった方が、価値が高まる場合があります。そのような教訓を込めた言葉だそうです。納得!!  

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2012年03月08日

十人十色

 同じ話を聞いても感動する人もいれば、しない人もいます。話の受け止め方は、人によってそれぞれ異なるからです。
 ガラスは氷と違って、とける温度が部分によって変わります。詩人の矢崎節夫氏は、人を一枚のガラスにたとえて、心の融点が一人一人、違うと言及しています。曰く「一度で感動しとける人、百度でとける人、千度でとける人」がいると。だから、対話をしていて、“なぜ、分かってくれないのか”と嘆くより、“もう少しこちらの温度を上げればいい”――と氏は語っています(『みすゞコスモス』)
 例えば、星を見るにしても、旅人にとっては大切な道しるべとなりますが、学者にとっては研究の対象物となります。ただの光と思っている人もいることでしょう。同じ星空を見ても、見る人によって、受け止め方は千差万別です。物の見方や考え方は、十人十色であるからです。その違いを知ったうえで、対話をすることが大切でしょう。
  

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2012年03月07日

“現場”で汗をかこう

 “穴を掘って埋め戻してもいい”。景気のために政府が事業にお金を使う効用をケインズは例えた。しかし実際に、その仕事を毎日させられたら……
 賃金がはずんでも、とても耐えられまい。ドストエフスキーは『死の家の記録』の中で、たとえ監獄の労働でも、意味のある仕事なら耐えられる。夢中にさえなる。逆に、人間を台なしにするには、土の山を別の場所に運んで、また元の山に戻すような、無意味な仕事をさせればよいと書いています。
 では、人は働く「意味」をどこに見いだすのでしょうか。公立図書館における県民一人当たりの貸出冊数日本一を記録した滋賀県。成功の秘訣は、司書が「本」だけでなく「人」と触れ合う現場に出ることにありました。県の司書が県立図書館から市町の図書館へ直接、本を届けに行く。そしてフロアに出て声をかけ、利用者の要望を聞き出しました。
 県立図書館の岸本岳文館長は語っています。「“現場”で汗をかけば、感謝の声をかけられる。自分の仕事の位置づけが分かる。そこからやりがいが生まれるのではないでしょうか」
  

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2012年03月06日

人間力

 経営のモットーに「顧客第一」を掲げる会社はたくさんあります。しかし中小企業経営論を専門とする坂本光司教授(法政大学大学院)は、「社員とその家族の幸福」こそ会社の第一の使命と訴えています。
 いわく「会社に不平・不満・不信感を持っている社員が、顧客に対して自社の製品・サービスを勧めることができるのか」と。自社への感謝がある人は、恩に報いようと力を発揮します。それが経営の質を高め、顧客の満足にもつながっていくと主張しています。
 今、深刻な経済状況の中で、企業を問わず、あらゆる組織や団体が、生き残りをかけて戦っています。その戦う力は、構成する人々の「人間力」にほかありません。  

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2012年03月05日

我以外皆我師

「きょうの生活の最前線に立って、実社会に働いている人こそ、ほんとの文学を体験し、ほんとの時代人である」。人とかかわることを避け、“本を読むことが勉強”と考える作家志望の青年に、文豪・吉川英治氏は時代錯誤と言いました。
 吉川英治氏の信念は「我以外皆我師」。これは、現実の中で力強く生きる庶民から学び続けた結論です。「三十なお一学生、四十なお人生の一学生、五十まだ学んで足らない」と述べています(「草思堂随筆」納得!!
  

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2012年03月04日

文字の力

 貧しさや家庭の事情で、文字を学ぶことができなかった人々に「識字教室」で教えた経験を持つ水谷修氏が綴っています。
 一人のおばあさんが書く喜びを知って氏の手を握ったそうです。「字ってすごいよ。命が入ってる。この『母』っていう字を書くと、亡くなった母の思い出がいっぱい出てくる。『山』っていう字を書くと、ふるさとの山が見えてくる」と(『あおぞらの星2』日本評論社)
 文部科学省の調査では、中高生の7割近くが、脅迫的文言でメール転送を迫るチェーンメール等のトラブルに遭ったという報告があります。心ない一文が、いじめや自殺まで引き起こすことを思えば、文字は人の心を大きく動かし、幸福にもすれば、不幸にもする力を持つことを痛感します。
  

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2012年03月03日

人生の転機や変化はチャンスの時

 3月は一年の中でも生活に変化が生じる時です。冬から春へ移ろう季節に合わせて身辺の整理もあります。職場の異動や進学など環境が変わり、当事者だけでなく家族も含め対応を迫られることもあることでしょう。さらに、中には大きな転機を迎える人もいることでしょう。どんなことも全て成長と幸福と前進の好機と捉え、たくましく進みたいものです。
 身の上に起こる変化は人生の途上で幾度も遭遇しますが、その時の身の処し方に人の生き方が表れます。67年前、日本全体が大きな変化に直面しました。生まれていない人も多い時代になりましたが、太平洋戦争の敗戦です。
 この時、多くの国民が放心していた中で一歩前へ踏み出した人物がいました。経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏です。敗戦の日の翌日、「誰もが仕事に手がつかない様子であった。これではならないと考えた私は、急遽、会社の幹部を招集した」。1時間半に及ぶ社主訓辞を行い、再建に力強く立ち上がろうと訴えた(青野豊作著『松下幸之助の遺言』PHP研究所)と。
 世の中の価値観が百八十度変わるほどの転機に立ち上がる氏の強さ。それは若いころから苦労を重ね、人生の節を刻んできた人物の底力ともいえましょう。人生の転機や変化はチャンスの時。負の変化と思える時でさえ、心一つで苦境を蘇生の機縁にすることができます。
 あの3・11まで後わずかで1年となります。私も東北の人たちに負けないよう前進して行きたいと決意を新たにしています。  

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2012年03月02日

持続は力です

 ふっくらとした緑の芝生は、イギリス人の自慢の一つです。アメリカの富豪が、手入れの秘訣を園丁に尋ねました。園丁が言うに「水をやりなさい、ローラーをかけなさい」と。
 いずれも周知の事実です。もっと深い意味があるのかと、チップをはずみ、さらに尋ねました。しかし答えは同じでした。さすがの富豪もムッとして、「そんなことは判っている」と怒鳴ったそうです。園丁いわく「それを毎日繰り返して五百年経つとこうなるんで」(池田潔著『自由と規律』岩波新書)と。まさに持続は力です。
  

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2012年03月01日

笑顔の効用

 弥生3月です。春はもうすぐそばまでやって来ています。
 これが全てではありませんが、話を聞いている時、人は話し手の何を感じているのでしょうか。あるアメリカの心理学の研究では、聞き手が話し手から受け取る印象の55%が顔の表情、38%が声の質だそうです。言葉は7%にすぎないという結果が出ています。ほとんどが表情など、言葉以外の要素で判断しているそうです。
 笑顔コンサルタントというユニークな肩書をもつ門川義彦氏は、接客や営業の現場で発揮される「笑顔の効果」に着目。長年、各企業で社員の笑顔や互いに視線を合わせることの重要性を指摘し、売り上げ増加やクレームの減少などにつなげていると語っています。
 表情一つが、業績を大きく左右するそうです。希薄になりつつある人間関係の中で、笑顔を交わす効用は小さくない、と。社会が殺伐となれば、なおさらのことですね。門川氏は、意識して笑顔をつくることが大切、と。そうすれば心も、やがてついてくると語っています。
  

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