2012年03月07日

“現場”で汗をかこう

 “穴を掘って埋め戻してもいい”。景気のために政府が事業にお金を使う効用をケインズは例えた。しかし実際に、その仕事を毎日させられたら……
 賃金がはずんでも、とても耐えられまい。ドストエフスキーは『死の家の記録』の中で、たとえ監獄の労働でも、意味のある仕事なら耐えられる。夢中にさえなる。逆に、人間を台なしにするには、土の山を別の場所に運んで、また元の山に戻すような、無意味な仕事をさせればよいと書いています。
 では、人は働く「意味」をどこに見いだすのでしょうか。公立図書館における県民一人当たりの貸出冊数日本一を記録した滋賀県。成功の秘訣は、司書が「本」だけでなく「人」と触れ合う現場に出ることにありました。県の司書が県立図書館から市町の図書館へ直接、本を届けに行く。そしてフロアに出て声をかけ、利用者の要望を聞き出しました。
 県立図書館の岸本岳文館長は語っています。「“現場”で汗をかけば、感謝の声をかけられる。自分の仕事の位置づけが分かる。そこからやりがいが生まれるのではないでしょうか」


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