2011年12月27日

歌の力

 古代中国の時代の出来事です。漢軍に完全に包囲され、楚の覇王・項羽は追い詰められていました。そのとき、どこからともなく故郷の歌が聞こえてきた。漢軍に下った、楚の兵士の歌声でした。懐かしい歌を聞き、望郷の思いにかられた兵士たちは戦意を喪失し、項羽は「漢は、もう楚を取ったか」と絶望しました。
 これは、孤立無援を意味する「四面楚歌」の故事ですが、中国の文豪・郭沫若氏は「楚の覇王にいかに山を抜き世を蓋う力があっても、ついに歌声に敵し得なかった」と、歌の力を強調しています。

 郭氏は「歌声が楚軍を打ち破ったのだ」と。歌には「味方の力を団結させる」力と「敵の士気をくじく」力がある、と(小野忍・丸山昇訳『郭沫若自伝6』東洋文庫)。先の故事は後者の例。前者の例は、「歌う革命」と呼ばれたバルト3国の独立運動をはじめ、無数に挙げられます。

項羽
http://dic.nicovideo.jp/a/%E9%A0%85%E7%BE%BD  

Posted by mc1460 at 11:56Comments(0)TrackBack(0)つぶやき