2016年04月10日

決断できた心意気

 帝国ホテルの総料理長も務めた村上信夫さんが、まだ30代のある日、同ホテルの社長に呼ばれたそうです。社長から「フランスに留学しないか」との打診に、村上さんは「行かせていただきます」と即答したそうです。「奥さんに話さなくていいのか?」と驚く社長に、「説得します」と宣言し、留学が決まりました。
 実は、その前に8人の先輩が打診されたが、皆、「家族と相談します」とためらったらしい。信頼する人に助言を求めたり、環境に応じた賢明な判断は大事だが、人生を左右する一大事に“まず行く!”と決断できた心意気が、村上さんの未来を大きく開いたことは間違いない事でしょう。  

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2016年04月09日

旅人歓迎

 日本海側の港町のある小さな食堂の入り口に、「旅人歓迎」と書かれた貼り紙を見つけました。旅の疲れを癒やそうと肩から荷を下ろし、そっと扉を開けたくなる……そんな心温まる文です。
 外の世界へとつながる大海原を見て毎日を暮らす、おおらかな人が書いたのかもしれない。そうした小さな出あいが、旅先の貴重な思い出になります。まして、見知らぬ土地で受けた恩ともなれば、忘れ得ぬ心の宝となります。  

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2016年04月08日

希望

 ドイツの文豪ゲーテの作品に「希望」と題する詩があります。「わが手の営む日々の仕事/これを完成する高い幸福を与えてくれ!/わたしは中道で倦むことがないようにしよう!/いや これはむなしい夢ではないのだ/今は枝も葉もなく棒さながらのこの樹も/いつかは実をつけ影を落とすのだから」(山口四郎訳『ゲーテ全集1』潮出版社)
 1775年、26歳のゲーテは、ワイマールのカール・アウグスト公に顧問として迎えられる。以来57年間、政治家として活躍します。この詩は、ワイマールで新しい仕事を始めた翌76年の作品です。ワイマールを、自身の枝や葉を伸ばし、実をつける“使命の天地”と定めた、青年ゲーテの心が伝わってきます。  

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2016年04月07日

自分を磨くことが大切

 宿泊客が求めていることを、求められる前に提供する――。これは石川県の、ある老舗旅館における「おもてなし」の定義です。この「おもてなし」実現のため、客室係が接客に集中できる環境づくりが行われています。
 サービスの世界大会で審査員を務めた下野隆祥氏は、著書『世界一のサービス』で、サービスの根源には「お客さまに対する『歓迎や感謝』の気持ち」がなければならないと強調しています。相手の気持ちになって考え、その要望の一歩先をいく――これこそ日本人が育んできた「おもてなしの心」にほかならない。
 接客業の中にはマニュアルで対応するところも少なくない。それは一定以上の、均質なサービスを提供するためです。しかし、マニュアルばかりに頼ると、目の前の顧客が見えなくなり、サービスが悪いと受け取られるケースもあります。
 価値観が多様化する現代にあって、相手の望むことに気付くのは難しい事です。人の気持ちを推し量るには、マニュアルに頼らず、人と会い、会話する機会を増やし、自分を磨くことが大切ですね。  

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2016年04月06日

まず机に座ること

 勉強は「強いて勉める」と書くように、進んでやる人はあまりいません。これも、はかどらせるコツは、まず机に座ること。歴史学者のトインビー博士が、毎朝9時ごろには必ず机に向かうことを日課にしていた話は有名です。何事も、やってみる、動いてみることで、開けること、身につくことがあります。  

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2016年04月05日

本心からの言葉

〝プレゼン術〟なる説得の技法が世に花盛りですが、技巧を凝らしても空疎な話もあれば、難しい表現は何もないのに、心を打つ話もあります。
 たとえば、テレビの映画番組で長く解説者を務めた水野晴郎さん。名作「シェーン」に感動して、思わず口にした「いやあ、映画って本当にいいもんですね」。思いをそのまま表したこの言葉が視聴者を引きつけ、水野さんの決めゼリフになりました。
 台本をもとに演じる役者にも、似たことがいえます。名優・笠智衆さんの、淡々としながら、人の心に染み入る演技について、同じ俳優の小林薫さんが言っていました。「言葉になる以前のところは、無理にドラマチックに演じようと考えなくても、そこに自分が身を置けば自ずと出てくるんですよね」と。
 人の心を動かすために、最も大事なのは言葉の巧みさではない。混じり気のない、本心からの言葉であるかどうか。評論家の加藤周一さんの言にこうありました。「ほんとうに信じていることと、信じていると信じようとしていることとは、違う」と(『羊の歌』岩波新書)  

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2016年04月04日

現在の「鶴橋」

 「猪甘津(いかいつ)に橋をわたした。そこで、そこを名づけて小橋といった」(『日本書紀Ⅱ』井上光貞監訳、中央公論新社)。「猪甘津」は、現在の大阪市内にあった港のことです。ここに架けられた橋が、文献に登場する“日本最古の橋”といわれています。
 江戸時代、「八百八橋」と称されるほど、大阪には多くの橋がありました。京橋、淀屋橋、心斎橋――今でも「橋」のつく地名が多く残っています。特徴的なのは、橋の多くが、町人たちが自ら費用を捻出してできたということです。
 「日本一明るい経済新聞」編集長の竹原信夫氏は、大阪の特色について、“自分たちで何とかしようやないか”という発想と行動だと指摘しています。庶民がエネルギッシュで、誰に何を言われても諦めない力に溢れている――それが大阪だと。
 冒頭の「猪甘津」の橋は、後に「つるのはし」と呼ばれ、現在の「鶴橋」となっています。  

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2016年04月03日

音楽のもつ力

 音楽は、ただ快楽を与えるものではない。精神を高みに導いてくれるものである。古代ギリシャ以来、多くの哲学者が、この音楽のもつ「道徳の力」「教育の力」を論じてきました。
 南米ベネズエラに、35万人の青少年が参加する、「エル・システマ」という音楽教育の運動があります。子どもたちには、楽器が無償で貸与され、音楽の知識を学びます。演奏や合唱に打ち込むことで、豊かな感情表現や協調性、規律性を身に付けていく。経済格差が大きく、貧困家庭の多い同国にあって、子どもたちが犯罪や薬物に手を染めることを防ぐのに役立っているそうです。  

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2016年04月02日

「手」は、その人の「心」

 決意を込めて、ぎゅっと拳を握る。親愛の情を込めて握手する。相手の肩をぽんとたたいて励ます。小さな孫の頭をなでる――それぞれの「手」には、それぞれの「思い」がこもっています。
 この行為を思想家の柳宗悦氏の言葉を借りれば、「手はただ動くのではなく、いつも奥に心が控えていて、これがものを創らせたり、働きに悦びを与えたり」する、ということだろう(『手仕事の日本』岩波文庫)。「手」は、その人の「心」でもあるのです。  

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2016年04月01日

危機を一気に打開した

 初の国産旅客機「YS―11」の就航から、きょうで51周年です。日本の空を日本の翼で――国民の期待を集めた開発は、戦後復興を象徴する一大プロジェクトでした。
 開発の最終盤、操縦に関する致命的な欠陥が浮上しました。国際的な権威を持つ米国の機関に不適格の判断を示され、計画は暗礁に。マスコミから批判され、受注契約も減少する。この最大の難局を打開したのは、若い一技術者でした。
 彼が外国の航空雑誌を読んでいた時のこと。ある記事が目に留まった。本格的な技術論文ではなく、一般に市販される本の、操作性の改善方法について概説した、たった数行の記述でした。それは、経験豊富な先輩たちが、はなから選択肢からはずしていた方法でした。
 だが、その数行に示された方法が、危機を一気に打開したのです。中心者の一人が述懐しています。「大学を出て、ほんの数年しかたっていない彼らだが、よく働いた。困り抜いているときだったから、見過ごしそうな数行にもピンと閃いたのだね」(前間孝則著『YS―11』講談社)  

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