2012年09月10日
70歳の夏
長崎市の平和公園にある祈念像。像の完成は原爆投下の10年後の事でした。時が過ぎるのは早いもので、今年で57年がたちました。作者は北村西望氏、「たゆまざる 歩みおそろし かたつむり」像の制作中、一晩で高さ9㍍を超す像のてっぺんまで登った蝸牛に感動し、詠んだ句は有名です。
氏が蝸牛に心打たれたのは、自身の人生とそれを重ね合わせたからでしょう。若き日の氏には建畠大夢、朝倉文夫という好敵手がいました。「二人とも彫刻の 天才」(西望氏)であり、展覧会の評価でも常に先を行かれていました。
悔し涙、己の才能への不安の中で、氏は「自分は天才ではないのだから、人が五年でやる事を、 自分は十年かけてでもやらねばならないのだ」と誓いました(『私の履歴書 文化人9』日本経済新聞社)。この覚悟で氏は102年を生きました。足かけ5年を経て、畢生の大作・平和祈念像が除幕されたのは70歳の夏でした。
氏が蝸牛に心打たれたのは、自身の人生とそれを重ね合わせたからでしょう。若き日の氏には建畠大夢、朝倉文夫という好敵手がいました。「二人とも彫刻の 天才」(西望氏)であり、展覧会の評価でも常に先を行かれていました。
悔し涙、己の才能への不安の中で、氏は「自分は天才ではないのだから、人が五年でやる事を、 自分は十年かけてでもやらねばならないのだ」と誓いました(『私の履歴書 文化人9』日本経済新聞社)。この覚悟で氏は102年を生きました。足かけ5年を経て、畢生の大作・平和祈念像が除幕されたのは70歳の夏でした。