2012年02月18日

吉川英治のエピソード

 ある家に下宿している学生がキャッチボールをしていました。その姿を見た家の主が言ったそうです。「君、命がけでやり給え!」。学生に声をかけた大家さんはなんと『宮本武蔵』等の作品で知られる吉川英治氏でした。
 これは氏の長男で、吉川英治記念館館長の吉川英明さんが語るエピソードです。「大袈裟と言えば大袈裟ですが、父は、何事にも全身全霊で取り組め、と言いたかったのでしょう」と。
 英治氏は、宮本武蔵を「今日忘れられている神経を持っている人間」と語っています。今の人々には「自分を信じ、人を信じ、自分の仕事を信じ、自分の今日の生活を信じて行くというような信念」が弱いとも。わが道を真っすぐに進む武蔵を描くことで「ぼくらの神経が覚める」と(『吉川英治 その人と文学』)
 これは70年以上前の警句ですが、現代にも通じます。自分の力を信じ、自分で引き出すことは簡単なようで最も至難な作業です。その努力を続けてこそ、初めて自分を確立することができます。また、自分を信じることができるから、人の素晴らしさを信じることができます。
  

Posted by mc1460 at 11:38Comments(1)TrackBack(0)つぶやき