2016年12月02日

坂本龍馬

 高知市の坂本龍馬記念館に龍馬像があります。ほぼ等身大で、差し出された右手と握手できると評判です。
 長崎には、龍馬のブーツをかたどった像があります。彼は、土佐藩の厳しい身分制度を嫌悪しました。上士は高下駄。下級武士の郷士は草履。それならば、ブーツを! この反骨精神こそ、旧弊を打破するエネルギーであったに違いありません。
 一方、北海道の函館にも「蝦夷地の坂本龍馬像」が、北海道坂本龍馬記念館の真向かいに立っています。凜々しい表情を浮かべながら、右手の人さし指が天を衝いています。たとえ一人になっても、北の大地を開拓したい――積年の“夢”への憧れがうかがえます。左手には国際法律書『万国公法』を持っています。
 さらに、高知の桂浜には、高さ13・5㍍という特大の像が太平洋を望み、はるか世界を見つめています。この像は昭和3年(1928年)の除幕。以来、潮風の試練を受け続けています。  

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2016年12月01日

だいこんの花

 作家の向田邦子さんは、とにかく筆の走りが速かったそうです。「四」の文字を書く時間さえ惜しいのか、棒線を横に4本引いたという話も。ただ、書き出すまでが長かったそうです。
 中でも“冒頭のセリフが浮かばない”と筆を執るまで深く思い悩んだ一作が、後に、その執筆をライフワークにしたい、と言った名作『だいこんの花』でした。思いを込めた作品ほど、筆者は最初の1行に全魂を傾けるのでしょう。  

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2016年11月30日

小津安二郎

 戦前から戦後にかけてメガホンを取った映画監督の小津安二郎。彼は人々の心が荒んだ戦後の混乱期にあって「長屋紳士録」「晩春」など、戦前と変わらず、一貫して庶民の美しい心を撮り続けました。
 時に懐古趣味との批評を浴びた監督は、“確かに今の世相が汚いのは現実”とした上で、「それと共につつましく、美しく、そして潔らかに咲いている生命もあるんです、これだって現実だ」と主張。「泥中の蓮を描きたい」と、最後まで人間の美徳を描く姿勢を貫いた(『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』日本図書センター)
 泥と無縁の花々にも幽玄、華麗を味わうことはできる。だが監督は、強くたくましく生きる「泥中の蓮」に美しさを見いだしたのでしょう。  

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2016年11月29日

 全長1068㍍で山口県下関市と北九州市門司区を結ぶ関門橋が、今月で開通43年を迎えました。開通当時、「東洋一のつり橋」「鋼鉄の虹」と称されました。
 橋の工事は1968年に開始。当時は珍しかったケーブル工事を行い、5年半に及ぶ大工事で培われた技術は、その後、世界最長のつり橋「明石海峡大橋」等に生かされました。現在も、1日に3万6千台が往来する交通の大動脈です。
 離れた端と端を結ぶもの――それが「橋」という言葉の由来だそうです。隔てられたものがつながる時、そこから新しい物語が生まれる。橋は「始まり」を想起させ、文学の題材ともなってきました。義経と弁慶の出会いは五条大橋。藤沢周平は時代小説『橋ものがたり』に、10編の出会いと別れを描いています。  

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2016年11月28日

聞き流していた

 銀行のATMを監視する部署に配属された人の話。業務は、ATM近くにある電話からの問い合わせに対応すること。客によっては、お金の出し入れができず、怒りをぶつけてくる。繰り返し聞く痛烈な言葉に、退職さえ考え始めたそうです。
 上司に胸の内を告げると、同僚が客に対応している録音を聞いてみようと提案されました。同時に、客が〝ありがとう〟と言った回数、自分が〝この客は嫌だ〟と思った回数を数えるよう指示されました。
 約70件の録音のうち、嫌だと思ったのは5件。「ありがとう」は40回も耳に入ってきました。日頃は、〝この仕事は怒られるもの〟と思い込み、客の感謝の言葉を聞き流していたのです(『対話の達人Ⅱ』出版文化社)  

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2016年11月27日

11月にヒマワリが咲くそうです

 空気が冬に変わりゆくのを感じる毎日ですね。だが、滋賀県のある花畑では11月にヒマワリが咲くそうです。例年、この花畑では8月下旬に種をまき、紅葉シーズンに合わせて開花させるといいます。
 晩秋のヒマワリを見ても、不思議に違和感を覚えないそうです。生命を輝かせる姿は、見る者を喜びで包みます。季節感ではなく花は、咲く姿それ自体がいとおしいのです。  

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2016年11月26日

木の姿

 先日東京では11月ではめったにない雪が降りましたが、北国ではこれから、山がすっぽりと白雪に覆われ、冬のたたずまいになっていきます。
 そこで思う事。木々は極寒の氷点下でも、なぜ凍らないのか。ツバキやマツのように、季節の移ろいにも、緑の葉を茂らせる木もあります。
 だが、木の姿は変わらないように見えて、内部では絶えず変化し、外の厳しい環境と戦っているそうです。木は糖度を上げることで、凍りにくくなる。見た目では分からないが、いわば内面を鍛え、春を待っているのです。  

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2016年11月25日

研究人生の原点

 土の中から有用な微生物を発見してノーベル医学・生理学賞に輝いた大村智博士。その研究人生の原点を育んだのは、故郷の山梨・韮崎の地であり、農家を営む両親でした(馬場錬成著『大村智 2億人を病魔から守った化学者』中央公論新社)
 とりわけ、元教員の母は、養蚕に熱心に取り組み、毎日の気温や湿度、カイコの状態などを丹念に日誌に記録。それをもとに改良を重ね、品質は年ごとに向上。博士は尊敬の念を込め、「母はサイエンティスト(科学者)」だったと述懐しています。  

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2016年11月24日

一書の人を恐れよ

 〝一書の人を恐れよ〟とは、哲学者トマス・アクィナスの言葉といわれています。多読・乱読よりもかえって、一編の書を大切にし、それを人生の節目節目でひもとく中に、賢者の知恵が得られる――これは一つの真理でしょう。
 読書家にも、繰り返し参照する本を手元にそろえている人は多いですね。  

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2016年11月23日

平均93分

 毎日の暮らしに必須の天気予報。その利便性が増しています。ウェブサイトで雨雲の動きを確かめ、移動時間を決めることも多くなりました。観測技術や伝達方法の発達の恩恵です。
 気象庁の「緊急速報メール」が昨年の11月19日から、これまでの地震、津波に加え、大雨、暴風、波浪、高潮、大雪または暴風雪、噴火の特別警報に対しても行われるようになりました。これで、気象庁が特別警報に位置づける全てが「緊急速報メール」の対象となったのです。
 だが、こうした防災の環境整備の一方、重大災害は頻発しています。考えてみれば、特異な気象は、無人の地域で起これば、ただの「現象」であり、人間と関わって初めて「災害」となります。その意味では、防災対策の効果が十分に発揮されるかどうか、最後は人間自身にかかっているといえます。
 危険が迫っても〝人間はなかなか逃げられない〟ことが分かっている。避難を決心してから実行するまで、平均93分という調査結果もあるそうです(東京大学・総合防災情報研究センター「災害時に命を守る情報の伝え方」)  

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2016年11月22日

元気か

 ずいぶん古い話なのですが、先の戦争のさなか、戦場の父から家族のもとに一葉のはがきが届いた。文面は「元気か」の一言だけ。その3文字に家族はくぎ付けになったそうです。
 「留守を守り、子どもを託す妻への感謝と、子を思う父性愛のほとばしり出た一言だったのだ。厳しい検閲の中で、やっと出て来た文章ではなかったか」「それを受けた家族は、『文字は文字にして文字にあらず、言葉にして言葉ならず』の強靱な、いのちの結び付きであったのだ」
 今、単身赴任先から、この文面でハガキを出したら、どのような反応があるのでしょうか。  

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2016年11月21日

師弟

 師弟は歴史を動かす底流となります。師ソクラテスを、アテナイの愚かな民主政治が死刑に処した。弟子プラトンは「わたしが親しくしていた老ソクラテス、ほとんど何らのためらいもなく、当時の人びとのうちで最も正義にかなっていたと言いうるこの人」(内山勝利訳)と憤った。そして時を待ち、人を育て、哲人政治の理想を説いたのです。  

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2016年11月20日

スーパー老人

 史上最高齢の80歳でエベレスト登頂を果たした三浦雄一郎さんに、刺激を与え続けた人がいる。それは父の敬三さんでした。
 敬三さんは99歳でアルプス山脈、100歳の時にはロッキー山脈でスキー滑走し、101歳で他界するまで雪上に立ち続けました。三浦さんをして「スーパー老人」と言わせしめた存在でした(三浦雄一郎著『攻める健康法』双葉新書)
 どんな世界であれ、触発を与えてくれる存在は大切です。目標となり、”人生の高み”を目指す力になるのです。  

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2016年11月19日

灯がともるランプの絵

 『創価教育学体系』1巻の初版は、四六判・250ページで1円20銭。表紙には、灯がともるランプの絵が描かれています。〝この学説で社会を照らす〟と宣言するように、開館91年目の北海道立図書館に、この初版本が所蔵されています。
 同書には「戸田城外殿寄贈図書」と記されています。発刊された1930年11月18日の当時、30歳だった戸田先生は、編さん・出版で牧口初代会長を支えただけでなく、師の学説を広めるために奔走したのです。戸田先生と大学で同級生だった故・山口忠夫氏(中央大学元教授)は回想しています。「戸田城外は情の人、信念の人、恩師のためなら水火の中も辞さぬ心根をもっていた人」と(和光社刊『若き戸田城聖』の付録から)。
 学会の前身「創価教育学会」の誕生には、師の偉大さを宣揚しようとした一青年の戦いが刻まれています。その後、牧口先生の著作は海外の学術機関にも寄贈され、研究・実践の対象になる時代が訪れました。ランプの表紙を持つ一書が発刊されて86年。戸田先生の誓願を継いだ池田大作先生によって、創価の哲学は世界を照らす時代となったのです。  

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2016年11月18日

3世代

 20世紀を代表する歴史家のA・J・トインビー博士は、大きな変革には「少なくとも三世代はかかる」、そして、社会全体となれば「もっと長くかかるのがふつうである」と論じています(松本重治編訳『歴史の教訓』岩波書店)
 一世代は「親の跡を継いで子に譲るまでのほぼ30年」(広辞苑)とされるから、大きな変革には、およそ90年かかる計算となります。本年は終戦・被爆71年。戦争の教訓も、これから3世代以上にわたって継承されてこそ、「平和の文化」の揺るぎない土台となるのです。  

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2016年11月17日

いのちは上へ上へと伸びる

 肥料と農薬を使わない、おいしい果物・野菜作りを提案・実践する農学博士がいます。植物が持つ本来の力を最大限に引き出す自然農法で、持論は「いのちは上へ上へと伸びる」だそうです。
 例えば、果樹の剪定(枝を切る作業)は、新しい芽が上へ上へと伸びるように行う。植物ホルモンのバランスを整え、いのちの力を引き出す大切な作業だという。彼は国内のみならず、海外へも農業技術指導に赴き、実績を重ねているそうです。  

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2016年11月16日

褒められた方が

 人間は、褒められた方がより記憶でき、効果的に学習できることが科学的に証明されたそうです。
携わった生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授は、「教育やリハビリの現場でも、褒めることが効果的な習得につながるのでは」と話しています。
 では、具体的に何を褒めるのがいいか。米国の心理学者、C・ドゥエック博士の実証研究によれば、「能力」を褒めるか、「努力」を褒めるかで、結果は異なるそうです。何にでも挑戦し、失敗にもめげないのは、「努力」を褒められた子たちだという。才能は努力次第で伸びるという“増大的知能観”を得るからです(『「やればできる!」の研究』草思社)  

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2016年11月15日

大差はない

 人生を生きていく上で抱えなければならない苦労の総計というのは、大差はないのかもしれません。ただ、困難をどう受け止めるかは人によって違う事でしょう。
 “人生は四苦八苦”と言われるように、苦しみのない人は一人もいません。仕事や病気、子育てなどさまざま。悩みに直面して、心が折れそうになる時もある事でしょう。だが、それは永遠に続くことはないのです。否、その苦しみに負けない自分をつくるのが信心であると私は思っています。  

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2016年11月14日

人間力

 「女性が輝く社会」が官民あげて叫ばれる昨今、かつては頼もしかったかもしれない「家族を守るのは男の責任」といった発言も、古い性差別意識を引きずる〝勘違い発言〟と、白い目で見る人さえいます。
 代わって最近では、〝女子力〟の高い男性が、女性の評価を得るらしい。スイーツ好きだったり、料理を楽しんでこなしたりするだけでなく、協調性に富む、などの特徴を持った男性を指すようです。あるドラマでは〝男らしさ〟とは何かが話題になっていました。相手を押さえつけるような「力強さ」と、相手を大きく包み込む「優しさ」――いったい、どちらが男らしいのか、と。
 さらに、たまに食器洗いを「手伝ってあげる」夫と、家事を普通のこととして淡々とやる夫。どちらが男らしいか、女性の軍配の行方は明らかでしょう。
 要するに、「○○らしさ」にこだわり、人を色分けする発想よりも、人を安心させられる「人間としての魅力」を考えたほうがいいのでしょう。あの人に会うとホッとする。元気になる――そんな〝人間力〟を磨いていれば、社会のどんな変化にも対応できるのです。  

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2016年11月13日

こんなことになるとは

 今日から大相撲九州場所が始まりました。人気力士に会わせてあげる、と相撲関係者から誘われた男子中学生が、実際に連れていかれたのは行司の控室だったそうです。「行司にならないか」との勧誘に、将来の夢は警察官と決めていた少年は、きっぱりと断りました。
 ところが先方は「この子は、芯がしっかりしている。合格」と採用を決定。相撲好きの両親にも押され、少年は行司の道へ進んだそうです。後の36代木村庄之助の話です(『大相撲 行司さんのちょっといい話』双葉社)
 「こんなことになるとは」。人生は、その連続ともいえます。ただ同じ言葉でも、悲劇の結末の嘆きか、試練の壁を破った歓喜かで、意味は正反対になるのです。後者でありたいものですね。  

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