2018年05月26日

世界史を変えた1カ月

 ナチスが第2次大戦の勝利に最も近づいた危険な瞬間がありました。それはフランスなど4カ国に同時侵攻し、短期間で攻略した1940年の5月です。
 侵攻当日、命運を託されて英国首相に就任したチャーチル。議会では当時、戦うことを諦め、ナチスに妥協するのが得策、との意見が根強かったそうです。だが、彼が「決して降伏しない」と主張したことが、戦局の転機となったのです。
 「決意を固めて、それぞれの務めを遂行し、大英帝国と英連邦が一千年続くとしても、これこそもっとも輝かしいときだったと語り継がれるようにしようではないか」。彼が議会で演説した通り、この時期は後に“世界史を変えた1カ月”といわれました。(ポール・ジョンソン著、山岡洋一・高遠裕子訳『チャーチル』日経BP社)  

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2018年05月25日

詩集『炎える母』

 その青年は東京の信濃町駅で空襲警報を聞いたそうです。母の手を握り、火の海を走った。だが混乱の中で手が離れてしまう。次の瞬間、母は炎に包まれてしまいました。
 この日、昭和20年5月25日は、数度にわたる東京大空襲の中でも「山の手大空襲」と呼ばれています。悔恨と贖罪の念がその青年・宗左近氏を詩人に変えました。詩集『炎える母』を編んだのは空襲の22年後。詩は幾たびも「母よ」と繰り返されます。「母よ/いない/母がいない/走っている走っていた走っている/母がいない」「母よ呪ってください息子であるわたしを」
 あの戦争で親やきょうだいを救えず、自らを責めた子は無数にいただ事でしょう。愛するわが子を失い、天を仰ぎ慟哭した母も数えきれないほどいたはずです。戦争は二度と起こしてはいけません。  

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2018年05月24日

子どもの「顔」を見れば

 花粉症のピークも過ぎマスクも終わりと思いきや、近年、「だてマスク」が流行とのことです。これは表情を隠し、対人関係を避けたい心理からといわれています。この現象に、人間関係を築く力の低下を指摘する声もあるようです。
 ある講演で講師が、女の子が車にひかれ、その横を何人も通り過ぎる映像を流しました。〝私なら必ず助けると思う人は?〟と呼び掛けると、聴講者の大半が挙手したそうです。次に、アフリカでは疫病で多くの子が命を落としているのに、なぜ無関心でいられるのかと問い掛けました。
 『闘うための哲学書』(小川仁志・萱野稔人著、講談社現代新書)は、二つのケースで起こる感情の違いを考える鍵は、「顔」にあると論じています。もしアフリカの子どもの「顔」を見れば、助けたいという感情が起こるのでは、と。納得!!  

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2018年05月23日

フィトンチッド

 昔から「4月の風は光り、5月の風は薫る」といいます。確かに日の光が熱を持つにつれ、匂いもまた増していくような気がしますね。
 実際、樹木の成長が活発になる今の時期には、「フィトンチッド」と呼ばれる芳香を持った物質が、葉から多く放出されるそうです。これこそが香りの元。森や林でなくても、近所の公園など樹木の多い所なら、吹き抜ける風が運ぶ新緑の香りを楽しめるはずなのです。
 風は見えない。だがその存在を、香りや肌で感じることはできる。英国の詩人クリスティーナ・ロセッティは歌いました。「誰が風を見たでせう?/僕もあなたも見やしない、/けれど木の葉を顫はせて/風は通りぬけてゆく」(西条八十訳)
 心もまた、見えない。見えないが、言の葉のやり取りを通じて、その温かさを知りますね。  

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2018年05月22日

詩人ミルトン

 17世紀の英国の詩人ミルトンは43歳の時、両目の視力を失いました。共和派と王党派が対立する中、共和派を擁護していたミルトンは、王党派の論客から失明を嘲笑されました。さらに数カ月後、妻と1歳の長男が相次いで亡くなったのです。
 光を失っても詩人は静かに忍耐し続けました。「盲目であることは、盲目に堪えきれないほどにみじめなものではない」(宮西光雄訳『ミルトン英詩全訳集 上巻』)と。困難それ自体は不幸ではない。困難に屈し理想を捨てることが、彼にとっては不幸だったのです。
 ミルトンは生涯で多くのソネット(14行詩)を残していますが、代表的な作品は失明後、口述筆記によって生まれました。失明から15年後には大著『失楽園』が完成。苦境の中で詩人としての深みが増したといえましょう。  

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2018年05月21日

金沢城

 石川県にある金沢城は江戸初期に天守は焼失しましたが、加賀百万石を象徴する城跡です。2008年に国の史跡になりました。
 百万石と聞くと豊かな印象ですが、徳川宗家に次ぐ石高は“脅威”と映ったためか、藩主の前田家は折に触れ、幕府からの多大な賦役を負ったそうです。大工事となった江戸城の普請では、実に工事区域の6分の1を担当。この前田家で多くの苦労を重ねたのが、藩祖・利家から3代目の利常です。
 利常は家康にも警戒されたという覇気の持ち主。後に金沢城の補修や新たな家臣の採用を巡り、謀反の疑いをかけられました。誤解を解くため命を賭して江戸に出向く一方、国元の文化・芸術を振興し、農業を改革。将軍家との緊張関係の中、120万石の家領を保ち、「政治は一加賀」とたたえられたのです。
 中国・唐の太宗と臣下の問答等を記した為政書『貞観政要』に「創業は易く守成は難し」と。“創業と守成のどちらが難しいか”と太宗から問われた魏徴は、創業の辛苦を知る者がいなくなった時、守るには創業にも増した激闘が必要になる等としています。
 金沢城の窓や石垣には防御の工夫が凝らされ、「守成」の精神が光ります。事業を守り発展させるために、創業の心を継ぎつつ、それを上回る情熱で挑戦を重ねよ――そう教えているようです。
  

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2018年05月20日

人は味わいを感じる

 ある陶芸家が語っています。「完璧なものは奇麗です。でも魅力とは別」と。例えば機械で作った完璧な瀬戸物の器より、ろくろを回して焼き上げた手作りの器に、人は味わいを感じる。「作品に魂が宿ると、色や形のずれさえ魅力に変わるのです」と。納得!!  

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2018年05月19日

65歳で無一文

 10歳で農場を手伝い、ペンキ塗り、車掌、軍隊、販売員など職を転々。3度の大事故や離婚も経験した。起業した会社は相次ぎ破綻。モーテル経営は成功したが火事で全焼し、65歳で無一文になりました。
 この人は世界的な外食チェーンの創業者カーネル・サンダースです。“失敗は新たな挑戦への機会”と考えていた彼は、無一文になっても手製のフライドチキンで再びビジネスに挑んだのです。
 車で寝泊まりしながら営業をかけ、契約店を拡大。年間で地球20周分もの距離を走りました。その情熱が広がり、現在120カ国に店舗を展開したのです(中野明著『カーネル・サンダースの教え』朝日新聞出版) すごいですねー!!  

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2018年05月18日

ベルサイユのばら

 漫画『ベルサイユのばら』の作者・池田理代子さんは声楽家でもあります。かつて出演した演奏会で、ピアノを弾く10歳の少年と共演しました。公演後、池田さんに手を握られた少年は「誰?」と尋ねたそうです。少年は目が不自由だったのです。
 「さっき歌を歌ったおばちゃんよ」との返答に、少年は言ったそうです。「ああ、すごくきれいな声で、素晴らしい歌だった」。池田さんは、歌声に込めた音楽への純粋な心が、少年の心に響いた喜びを、自著『あきらめない人生』(海竜社)につづっています。
 この時の“少年”とは、今や世界で活躍する辻井伸行さんです。  

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2018年05月17日

「クレーマー」と「ブレーマー」

 非常識な苦情を振りかざす人を「クレーマー」と言います。一字違いですが、物事が思い通りにならないことを人のせいにする人は「ブレーマー」と呼ぶらしい。「非難、責め」を意味する英語「blame」に由来しています。怒りや苦痛を周囲にぶつけるため、問題は解決せず、人間関係は悪化の一途をたどります。しまいには誰もがその人から距離を置くようになってしまいます。
 悩みや苦しみから逃げずに、自分自身で受けとめることからしか、人生は開けないのです。  

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2018年05月16日

助け合いの精神

 昨日、本土復帰から46年を迎えた沖縄。インフラ整備が進み、街の風景は大きく変わったが、一方で変わらないものもあります。
 県民を対象にした地元紙などの共同調査では、6割の人が「沖縄らしさが残っている」と回答。代表的な例として「伝統文化」「精神や助け合いの心」などを挙げていました。
 沖縄固有の食文化を支えてきたものの一つが「豚」。“鳴き声以外は全て食べる”といわれるほどです。その豚が、沖縄戦の戦禍によって島から消滅寸前になったことがあります。故郷の窮状を知り、動いたのがハワイに移住していたウチナーンチュ(沖縄人)でした。「沖縄に豚を送ろう」と募金活動を始め、約5万ドルを集めた。そして7人が約1カ月の命懸けの航海を経て、500頭以上の豚を沖縄に届けた。これが数年後には、10万頭以上に増えたといわれています。
 沖縄には「ユイマール(ユイ=結、マール=回る)」という助け合いの精神があります。“子どもは、親だけでなく親戚や地域など皆で育てる”“農作物の収穫は、皆が持ち回りで協力する”などの伝統が、今も生き生きと受け継がれています。  

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2018年05月15日

手にはスコップ

 51年前の5月、創価学会の池田先生は武蔵野の面影を残す創価大学の建設地に立っていました。手にはスコップが握られていた。この日、先生は未来を託す青年たちと共に、桜や梅など1万6000本の苗木の植樹に参加したのです。
 樹木の生育には時を要します。一瞬一瞬の成長は、見た目ではほぼ分からりません。だが、木は着実に育ち、年輪を刻んで大樹となっていきます。これは広布史も同じでしょう。はるかな未来を展望しつつ、一歩また一歩と前進する中に、偉大な歴史は築かれていくのです。  

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2018年05月14日

タカラハコ

 作家の出久根達郎さんが、『母を語る』(NHKサービスセンター)で亡き母を紹介しています。決して上手とは言えない片仮名で、「タカラハコ」と書かれた箱を遺品から見つけた。中には、出久根さんが就職先の東京から送った手紙の束が入っていたそうです。
 その内容は“これだけ手紙を出したのに、なぜ返事をよこさないのか”という不満ばかり。母は読み書きがほとんどできないと知りながらの恨み節。それでも母は、わが子の手紙を宝物として、大切に保管していたのです。  

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2018年05月13日

宇宙エレベーター

 竹林を見ると、その成長の勢いに驚く事でしょう。「天まで届きそうな」との表現がぴったりです。
 実は天まで届くエレベーターの開発が国内で進んでいるそうです。その名も宇宙エレベーター。実現すれば、宇宙へ人や荷物を運ぶことができます。「『竹取物語』のかぐや姫も竹のエレベーターで地球と月の間を昇降した」。開発検討会議では、そんなユーモアを交えた発表もあったそうです。
 SFファンの間では古くから夢物語として語られていました。だが27年前、開発条件に応えられる素材が発見され、議論が加速。完成目標は2050年といわれています。
 「胸中に成竹あり」との故事があります。竹の絵を描くには、まず胸中に竹の姿を思い描くこと――「人生も同じ」だと創価学会の池田先生はつづっています。「心に、未来のどんな絵を描くか。ありありと、目前に見えるがごとく、希望に満ちた絵を描かねばならぬ」。古今の大事業もまた、たとえ誰も信じずとも「できる!」と思った最初の一人から始まったのです。  

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2018年05月12日

リンゲルマン効果

 人数が増えるほど、1人あたりの発揮する力は小さくなる。「リンゲルマン効果」として知られるこの法則から、無縁でいられる組織はありません。
 「あの人がやってくれるだろう」という依存心を排し、集団の中で、おのおのが最大の力を発揮するために、何ができるか。スポーツ選手らのメンタルトレーニングを行う大儀見浩介氏は語っています。「やらされる」のではなく、自ら進んで「やりたい」と思うように一人一人を促すことだ、と(『勝つ人のメンタル』日本経済新聞出版社)。
 自分の動機と、全体の目的が合致する――そこに強い団結の力が生まれるということでしょう。納得!!  

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2018年05月11日

Tomiokamachi

 夜空の星を見つめると、凜とした気持ちになりませんか。ましてやそこに、愛する故郷の名を冠した星があるとなれば、なおさらでしょう。
 原発事故の影響で避難生活が続く福島・富岡町の人々を励まそうと、「Tomiokamachi」と名付けられた小惑星があります。これは滋賀県の民間天文台の職員が1992年(平成4年)に発見し、命名されました。
 この小惑星の軌道は、火星と木星の間にあり、4年2カ月かけて、太陽の周りを1周するそうです。  

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2018年05月10日

図書館

 明治の作家、樋口一葉。満足に学校教育を受けられなかった彼女にとって心強い味方が「図書館」だったそうです。「よむとよむ程に、長き日もはや夕暮に成ぬるべし」(『一葉語録』岩波現代文庫)。時を忘れ、読書に没頭した様子がつづられています。
 当時、日本に図書館は数えるほどしかなかありませんでした。閲覧室は男女別とはいえ、利用者のほとんどが男性で、女性にとっては居心地のよい空間とはいえなかったにちがいありません。そうした中で、一葉は読書に励み、文学者としての素養を培っていったのです。
 文部科学省の調査によれば、全国の公立図書館の数は過去最高を記録(平成27年度)。別の調査では、500近い自治体が、図書館で地域活性化への事業に取り組んでいることが分かったそうです。内容も、子ども向けの読み聞かせから高齢者を対象にした健康講座までと実に幅広く取り組まれています。
 地域に開かれ、人々の交流の場としての役割も担う現代の図書館。その需要は、いや増して高まっているといえましょう。創価学会の池田先生は「『文化の力』は偉大である。人間の心を潤し、心を広々と開いていく」と述べています。  

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2018年05月09日

読書の鎖

 児童文学研究家の松岡享子さんが「読書の鎖」という言葉を紹介しています。名付けたのは、米イーノック・プラット公共図書館で働いていた時の館長だそうです。
 ある人が、読んだ本から大きな影響を受け、何かを成し遂げる。その記録をまた別の人が読み、新たな行動に駆り立てられる。「読書の鎖」とは、そうしたつながりを指すそうです。
 公民権運動を主導したキング博士は、インドのガンジーの著作から、自身の使命を果たす方法を見いだしました。そのガンジーは、米国の哲人ソローの『市民の反抗』に示唆を得ました。さらにソローは、インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』に影響を受けたのです。〝ここに、人を変え、歴史を変える活字の力を見ることができる〟と、館長は述べたという(『子どもと本』岩波新書)  

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2018年05月08日

普通に咲くものと

 北海道・厚田の戸田記念墓地公園の桜。多くの人が8000本の桜を楽しんでいます。
 しかし、一昨年、墓園の桜の多くが咲かなかったそうです。原因は、つぼみを食べられてしまったのです。“犯人”は全長15センチほどのウソという鳥でした。ウソは天候不順などで、山中の木の実等が少ないと、群れで里に下り、果樹の花芽や桜のつぼみを食害することがあるのです。地球温暖化の影響を指摘する専門家もいるそうです。
 どうすれば桜を守れるか――この一年、桜守の人々は懸命に考え、対策を打ってきました。研究を重ね、ウソが嫌がる音を見つけ、定期的にマイクで流しました。延べ10キロに広がる桜の一本一本を、何度も確認しました。風雪や低温、潮風等に対する例年の対策に加え、作業は増えたのはもちろんです。
 「桜は毎年、普通に咲くものと思っていました。」と、ある来園者。皆が感じる“当たり前”の喜びも、人知れぬ数々の労苦から生まれることを、あらためて知ったのです。  

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2018年05月07日

粘り強さを

 新年度がスタートして1カ月ですね。新入社員の中には、思い描いていた理想と、現実とのギャップを感じている人もいる事でしょう。すでに“向いていないのでは……”と悩む人もいるかもしれません。
 米マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏はプログラマーの採用試験に、ある課題を出しました。それはIQ(知能指数)やプログラミングの技能の高さを問うものではなく、単調なトラブルシューティング(問題解決)に何時間も取り組むという、粘り強さを試す作業でした。氏は、最後まで課題をやり遂げた受験者だけを採用したそうです。(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳『やり抜く力』ダイヤモンド社)マイクロソフトの強さを見る思いです。  

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