2015年07月11日

世界文化遺産

 世界文化遺産登録されて以来、観光ブームに沸く群馬の富岡製糸場。同製糸場は、明治政府が殖産興業の一環として1872年に建設しました。繭から糸を引き出す繰糸場は当時、世界最大規模を誇り、良質な生糸の大量生産を実現しました。経営母体は変わっても1987年まで一貫して、製糸工場であり続けました。
 操業停止から27年がたちますが、開業当初の建造物が良好に保たれているのには、理由があります。採算を度外視して、毎年、多額を費やし、保存に努めてきた企業の信念が、各紙で報じられました。
 87年の閉所式で、当時の社長は明言しました。“工場が物心両面で若々しく活気をもって生き永らえていくよう、今後も管理・運営を図る。単なる遺物や見世物にするつもりはない”と。 
 人々の心に、何かを生み出し続けてこそ、「遺物」でなく「遺産」といえます。だが、新たな使命を得て、生き続けるには、それを継承するための努力あってこそです。  

Posted by mc1460 at 11:45Comments(2)TrackBack(0)つぶやき