2015年02月07日

金閣寺放火事件

 金閣寺放火事件が起きたのは1950年(昭和25年)7月のこと、犯人は若い寺僧でした。
 三島由紀夫の『金閣寺』は、同事件に材を取った小説です。一方、犯人と同郷だった作家・水上勉にも『金閣炎上』と題する一冊があります。こちらは綿密に取材を重ねて著したノンフィクションです。
 『金閣炎上』を開くと、当時の仏教界の実態がよくわかります。寺は多額の拝観料に潤い、住職は酒に溺れ、花街に遊ぶ日々。欲望にまみれた寺の内情を見て、犯人は僧として生きることが嫌になってしまったのではないか、と水上は推測しています。
 敗戦下、国民の生活は苦しかった。ところが坊主は、のうのうと暮らしている。民主化へと向かう時代にあって、庶民を食い物にする既成宗教界への反発は、必至であった事でしょう。  

Posted by mc1460 at 11:31Comments(0)TrackBack(0)つぶやき