2013年06月19日

「心の底の希望」

 末期患者への医療に取り組む施設の話です。「余命」何カ月と宣告された人にとって、残りの人生は「余り」ではありません。一日一日、大切にしたいとの思いで、 皆、生きています。
 この施設では、患者の「心の底の希望」に耳を澄ます事を重要視しています。"特に、普段の茶飲み話が大切だ"と。「医師」「看護師」対「患者」でなく、友人同士としての 会話です。
 ある時、男性患者がポツリとささやきました。「事情があって結婚式はやってない。妻に悪くて、心残りだ」。「かなわぬ夢と、心の奥にしまっていた」と。
 「心の底の希望」を叶えようと、家族・医師・ 職員が総出で、結婚式を行うことになりました。花嫁衣装の着付けは、ボランティアがしてくれました。他の患者も設営を手伝ったそうです。本人には当日まで「仮装大会」と、秘密にしていました。 そして、本当の結婚式と知った時の喜びは、どれほどだったでしょう。
 「子どものころ、ドジョウ捕りが楽しくて」―― 別の患者の〝ポツリ〟に応え、皆でドジョウを追ったこともあるそうです。  

Posted by mc1460 at 11:42Comments(0)TrackBack(0)つぶやき