2013年05月04日

ジョサイア・コンドル

 幕末明治期の画家、河鍋暁斎。日本ではあまり知られていませんが海外では安藤広重、葛飾北斎と並ぶほど評価が高い画家です。河鍋暁斎は庶民精神あふれる画風です。偉ぶった権威が嫌いで、明治政府を批判し、投獄されたこともあります。
 弟子が一人いました。彼に暁斎は「暁英」の号を与えました。「英」は「英吉利」の「英」。弟子は日本人でなく英国人、ジョサイア・コンドルです。
 コンドルは建築家で、上野博物館、鹿鳴館などを設計しました。野原だった丸の内をビル街へと変えたのも彼の計画です。弟子コンドルの日本画が展覧会で高い評価を受けた時、暁斎は我がことのように喜び、半年がかりで日本画を描き贈りました。その作品には自らが習得したすべての技を傾注した。日本絵画の至宝「大和美人図屏風」です。
 コンドルは、師の画法すべてを残そうと、その半年の間、制作過程の一部始終を膨大なメモに記録しました。今日、暁斎が高い評価を得ているのも、弟子が残したこの記録によるところがあります。その記録はやがて、日本画の画法を学ぶ者にとって、最重要の資料の一つとなりました。師弟の真心の交流が、師の絵と弟子の資料という二つの「人類の宝」を生み出したのです。

河鍋暁斎 http://kyosai-museum.jp/hp/top_page.htm  

Posted by mc1460 at 11:35Comments(0)TrackBack(0)つぶやき