2016年08月22日

光輝ある生き方を称賛する人が現れる

 日本の各地には「小京都」と呼ばれる風情豊かな地域があります。その一つ秋田県仙北市には「みちのくの小京都」角館があります。
 ここで旧盆の15日、400年続く鎮魂行事「ささら舞」が披露されました。「山には山のいのちあるかも 抱かれて朝夕あるに心足る」(遠藤桂風)と詠まれるように、山懐の自然に抱かれながら、角館の人々は伝統を受け継ぎ、心を磨き、文化を育んできました。
 この地から多くの文化人が世に出ています。例えば、美術家で歌人の平福百穂は、「岩波文庫」の表紙の装丁で知られます。江戸中期の画家・小田野直武は、日本初の本格的西洋書の翻訳本『解体新書』の挿絵を描きました。だが、その名は歴史に埋もれていました。小田野の没後150年に一書を著し、同郷の大先輩を宣揚したのが、平福でした。彼は『日本洋画の曙光』という書名に、小田野の画業の先駆的意義を込めました。
 英国の作家モームは「一生は一個の芸術作品」(行方昭夫訳『人間の絆』岩波文庫)と述べていますが、真剣に生き、道を切り開いた人の生涯は、優れた芸術のように光を失わない。後世、必ず、その光輝ある生き方を称賛する人が現れるのです。  

Posted by mc1460 at 11:30Comments(0)TrackBack(0)つぶやき