2014年10月16日

笠智衆

 この名前を知る人は少ないと思いますが、俳優の故・笠智衆氏がサインを頼まれた時の話です。快諾した氏は何の迷いもなく、「小津先生」と大きく書いた。そして、「の弟子。笠智衆」と続けたそうです。これは、サインの依頼主だった作家の久世光彦さんが自著『触れもせで』(講談社)に紹介しています。
 笠氏は、そう書くことで自分に誇りを持ち、自戒もしました。“私はカメラの前ではなく、師と仰ぐ小津安二郎監督の前で演じるのだ”と。常に師匠と一緒だ、との思いが名優の座を築き上げたのでしょう。  

Posted by mc1460 at 11:37Comments(0)TrackBack(0)つぶやき