2016年05月16日

ワンダフル

 「ワンダフル」とは、「驚き(ワンダー)」に「満ちている(フル)」という意味の形容詞です。人生は、予想通りにいかないことの連続だけれど、一つ一つ乗り越えていくことで素晴らしいものになる、と捉えたいものですね。  

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2016年05月15日

61年前

 61年前、アメリカ公民権運動の端緒を開く「バス・ボイコット運動」が起きました。
 運動に参加した人々の高潔さを物語る逸話があります。人種差別を強要するバスの乗車を拒否し、懸命に歩き続ける高齢の女性がいました。心配した自動車の運転手が乗車を促すと、彼女は手を振って断り、決然と言ったそうです。「わたしはわたし自身のために歩いているのではありません」「子供や孫のために歩いているのです」(M・L・キング著『自由への大いなる歩み』雪山慶正訳、岩波新書)。
 一人一人が勇敢で、誇り高き使命感があった。その連帯が、時代を動かしていったのです。  

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2016年05月14日

2045年問題

 人工知能が人間の知能を超える――SF映画で繰り返し取り上げられたテーマで、「ターミネーター」「マトリックス」などがそうですね。だが昨今の技術の進歩で、このテーマは架空の世界だけの話でなくなり、人工知能と人間の関係が、真剣に議論され始めています。
 米国の未来学者レイ・カーツワイル氏は、人工知能が人類の知能を超える日が2045年に到来する、と予測しました。「2045年問題」と呼ばれ、米航空宇宙局のリサーチセンターでは、この問題に対応する研究機関を設立しています。
 人工知能の技術は、医療など多くの分野で活用が可能で、熾烈な開発競争が予想されます。だからこそ、その技術を使う人間の側の倫理が問われます。核エネルギーと人間の関係と同じですね。  

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2016年05月13日

“受ける側”の姿勢

 仕事の基本は報告・連絡・相談の“ホウレンソウ”といわれます。
 報告・連絡は、スピードと正確さが生命線。悪い報告ほど早く。そして“知ったかぶり”をせず、判断に迷うことは率直に相談することです。
 だがホウレンソウは、一方的に求めるだけでは成功しません。大事なのは“受ける側”の姿勢。どんなに忙しくても、報告・相談に来た人と相対し、誠実に受け止める。“あなたの話を聞く以上に、今、重要なことはない”と態度で示す。そうすれば、何でも報告・相談する“文化”が根付いていく事でしょう。  

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2016年05月12日

リンゲルマン効果

 人数が増えるほど、1人あたりの発揮する力は小さくなる。「リンゲルマン効果」として知られるこの法則から、無縁でいられる組織はありません。「あの人がやってくれるだろう」という依存心を排し、集団の中で、おのおのが最大の力を発揮するために、何ができるのでしょうか。
 スポーツ選手らのメンタルトレーニングを行う大儀見浩介氏は言っています。「やらされる」のではなく、自ら進んで「やりたい」と思うように一人一人を促すことだ、と(『勝つ人のメンタル』日本経済新聞出版社)。自分の動機と、全体の目的が合致する――そこに強い団結の力が生まれるということでしょう。  

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2016年05月11日

Tomiokamachi

 夜空の星を見つめると、凜とした気持ちになります。ましてやそこに、愛する故郷の名を冠した星があるとなれば、なおさらでしょう。
 原発事故の影響で避難生活が続く福島・富岡町の人々を励まそうと、「Tomiokamachi」と名付けられた小惑星があります。この小惑星は滋賀県の民間天文台の職員が1992年(平成4年)に発見し、2年前の夏、命名されました。この小惑星の軌道は、火星と木星の間にあり、4年2カ月かけて、太陽の周りを1周するそうです。  

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2016年05月10日

精神の空白

 19世紀前半のフランスには、「精神の空白」が広がっていました。大革命後、理性中心の時代が到来。聖職者や宗教が否定された結果、若者は信じるものを失い、「世紀病」と呼ばれる鬱々とした風潮に包まれていったのです。
 その中で、新たな価値観を求める思想運動が活発化しました。人間性の解放をうたった文豪ユゴーの活躍も、このころ。若きユゴーに多大な影響を及ぼした思想家ラムネは、人々を結ぶ精神的支柱として「宗教的なもの」の必要性を訴えた(宇野重規ほか編著『社会統合と宗教的なもの』白水社)
 「宗教的なもの」は「宗教」とは違う。その定義の一つは、人間の内にある宗教性=根源的な力のこと。「善きもの、価値あるものを希求しゆく人間の能動的な生き方を鼓舞し、いわば、あと押しするような力用」と、池田SGI会長は論じています。  

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2016年05月09日

読書の鎖

 児童文学研究家の松岡享子さんが「読書の鎖」という言葉を紹介しています。名付けたのは、米イーノック・プラット公共図書館で働いていた時の館長だという。
 ある人が、読んだ本から大きな影響を受け、何かを成し遂げる。その記録をまた別の人が読み、新たな行動に駆り立てられる。「読書の鎖」とは、そうしたつながりを指します。  

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2016年05月08日

うま味

 「和食文化」がユネスコの無形文化遺産になっています。健康的で、盛りつけも美しい和食への評価は世界で定着しています。
 和食の基本は「うま味」にあります。煮物や汁物に欠かせない出汁は、コンブやカツオブシのうま味を抽出したもの。古来、日本人は、食材の持ち味をそのまま生かしつつ、塩味、甘味等とともに「うま味」を上手に使った食生活を営んできました。  一方、西洋のうま味の代表といえばチーズ。こちらは、ミルクを発酵・熟成させて、うま味を濃縮します。ミルクのタンパク質が分解され、うま味成分の固まりが出来上がります。
 古代日本では、ミルクを煮つめて作った乳製品を「蘇」といい、「蘇」をさらに熟成・加工して作ったチーズ様のものを「醍醐」といっていました。  

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2016年05月07日

平凡の積み重ねが

 タクシー乗務員の教育係を、長年やっている方によると、頻繁に事故を起こしたり、営業成績が伸びない人は、だいたい入社初日で分かるそうです。何も言わずに、まず洗車させてみる。それがいい加減な人は、何をやらせても結局、いい加減だからだそうだ。これは万般に通じる教訓でしょう。
 カー(車)用品専門店を、全国規模に発展させた創業者が、徹して続けてきたことがあります。それは「掃除」。ともすると人は、平凡なことを軽くあしらいがち。難しくて特別なことをしなければ、成果が上がらないと思い込む人もいます。
 だが、その創業者は断言します。「平凡の積み重ねが非凡を招くようになっています」(鍵山秀三郎著『ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる』)  

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2016年05月06日

こいのぼり

 こいのぼり。この風習の淵源を調べると、江戸時代にさかのぼります。
 当時、武家階級では、家紋が入った旗指物やのぼりなどの武家飾りを玄関の前に立てていました。町人たちはこれに対抗して、こいのぼりを立てるようになったとされています。今日に受け継がれたのは、町人の風習でした。子どもたちの健やかな成長を願う心が、五月の青空の下で輝いています。
 鯉は中国の竜門伝説によって、立身出世の象徴とされてきました。黄河にある「竜門の滝」を、鳥や漁師たちが狙うなか、ついに登り切った魚は、竜になるという物語です。  

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2016年05月05日

白紙の本

 子どもの魂は「何でも書き込める白紙の本のようなもの」と、イギリスの絵本画家のブライアン・ワイルドスミス氏は語ります。「その白紙の本に私たちが書き込むものが、子どもの魂に触れ、その子どもが何になるかを決定づける」。子どもの成長と幸福のために「何を書き込むのか」。先行きが見えない時代だからこそ、私たちは「希望」を書き込み続けたい。輝く未来を〝共に〟つくるために。  

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2016年05月04日

自由の鐘(リバティベル)

 アメリカの自由の象徴といえばニューヨークの「自由の女神」ですが、フィラデルフィアにも「自由の鐘(リバティベル)」があります。
 その鐘が、歴史の大舞台に登場したのは1776年7月の事でした。13州の代表がフィラデルフィアで一堂に会し、独立宣言を採択。この宣言を知らせるために、打ち鳴らされたのが「リバティベル」だったのです。
 その後、女性参政権運動や公民権運動の際にも、運動を後押しする役割を果たしました。  

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2016年05月03日

人生の鉄則

 260余年続いた江戸幕府を支えた存在の一つに、柳生家が挙げられます。柳生新陰流の兵法は、将軍家の思想の支柱でもあったのです。
 歴史小説家の山岡荘八氏は、兵法について登場人物に語らせています。「母の嘆きのわからぬような兵法に、何の値打ちがあるものか」(『柳生宗矩』山岡荘八歴史文庫)。社会と人生の万般において、「母が喜ぶかどうか」は、根本の基準といえるかもしれない。
 桜か梅か桃か李か、人生の花の開き方は、人によりさまざまです。しかし、母の恩を受けずに生まれ、成長した人はいません。「報恩」――なかんずく「母の恩に報いる」生き方は、全ての人に共通する人生の鉄則でしょう。  

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2016年05月02日

きっと長い

 「僕が母のことを 考えている時間よりも 母が僕のことを 考えている時間の方が きっと長いと思う。」これは、20年以上前の、ある広告のコピーです(メガミックス編『傑作!広告コピー516』文春文庫)
 「お母さんは、いつも子供のことを考えていると思うと、毎日が母の日でもいいのかもしれない」(同)。全くその通りだと思う。「親思ふ こころにまさる 親ごころ」と吉田松陰は詠んだが、子を思う母の心の深さは計り知れないのです。  

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2016年05月01日

価値観の異なる・・

 量子力学の世界的権威だったデヴィッド・ボーム氏は、「対話」についても優れた論考を残しています。対話は、言葉を通じて人々の間に新たな「意味の流れ」を生み出すものであり、「議論」と違って、そこに敗者はいない。「誰もが勝者なのである」と(『ダイアローグ』金井真弓訳、英治出版)
 価値観の異なる他者と出会うと、時に意見がぶつかり合い、激しい火花が散る。対話とは、そこで終わらず、共有できる価値を粘り強く見つけ出す作業です。だからこそ、何より必要なのは、相手から学ぼうとする姿勢でしょう。  

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2016年04月30日

大道を真っすぐ進め

 『大漢和辞典』は、総計1万5000ページに及ぶ〝世界最大の漢和辞典〟として名高いです。
 著者の諸橋轍次氏は基本に厳しい人でした。辞書の命は正確さ。掲載する語句は、全て原典にあたりました。他の本に引用された文をそのまま使うことは、決して許さなかったのです。氏の座右の銘は「行くに径に由らず」(論語)。〝小道すなわち、近道や脇道ではなく、大道を真っすぐ進め〟との意味です。この姿勢を貫き、〝世紀の大辞典〟を完成させました(『誠は天の道』麗澤大学出版会)  

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2016年04月29日

人間は特定の役割を演じて生きていく・・・・・・

 「演技がかっている」と言えば、一般には偽りなどを連想させ、あまり良い印象を受けません。だが、劇作家の福田恆存氏は“人間は特定の役割を演じて生きていく演劇的な動物”と訴えています。
 人間は本来、“自分は意味のある存在である”との実感を求めます。この実感は、自分が置かれた環境下で、自らの役割を演じきる中で感じるもの。自分の役割を捨てて、他に自由を求めても、決して生きがいを感じることはできない(『福田恆存評論集4』)
 現実は思い通りにならないことが多い。“今の自分は本当の自分ではない”“なぜこんな目に”と境遇を嘆くばかりでは、人生の舞台を降りるのと同じです。  

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2016年04月28日

徳川家康の肖像画

 「顰像(しかみぞう)」といわれる徳川家康の肖像画があります。これは、三方ケ原の戦い(1572年)で、武田信玄の軍略にはまり、戦いに城を出て大敗を喫したとき、家康が描かせました。家康は、その苦虫をかみつぶしたような自身の姿を見て、終生、戒めにしたといわれています。  

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2016年04月27日

一枚の地図

 世界の被災地で復興状況を調べている米国の研究者の“一枚の地図”をしっていますか。地図には巨大ハリケーンで受けた被害の大きさが、その度合いで色分けされるとともに、集落の復興の状態が5段階で示されています。
 「傾向が分かりますか」と、研究者。被害が大きいから復興が遅いわけでも、被害が小さいから復興が速いわけでもない。自身もハリケーンの被災者という研究者は力説しています。「復興のスピードの違いは、お金や行政の力などではありません。『人と人のつながり』の違いなのです」と。  

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