2016年07月15日

尊厳を引き出す指導者とは

 米ハーバード大学のダナ・ヒックス博士が、尊厳を引き出す指導者について語っています。曰く、「組織であれ企業であれ、そこに生活する人々に、指導者が平等と尊厳の心で接するならば、人々は自発的な献身に目覚めて立つものです。その時、社会や組織は真の繁栄へと向かうのです」と。納得!  

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2016年07月14日

いいものに触れさせる

 昔、名のある呉服商は、若い弟子には、一流の反物しか触らせなかったという。〝一流〟を見続けて育った弟子は、二流をすぐに見分ける力が付く。だが、それを怠ると〝本物〟が分からなくなるからです。
 いい人材に育てるには、いいものに触れさせることである。これは時代を問わず、どんな分野にも通じる心得ですね。  

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2016年07月13日

「対話」に挑む夏に

 民音が招聘した「ロシア民族アンサンブル」公演で、出演したロシア女性の話です。最初に覚えた日本語は「愛」「夢」「赤ちゃん」だったと。
 その理由を、彼女は、はじけるような笑顔で語りました。「音楽と同様、世界共通の大切な〝言葉〟ですから」。音楽に生きる彼女は、言葉や文化に共通性が見いだせなくとも、人間は何かで必ず分かり合えることを、体験を通して知っていたのです。
 「対話」は単なる「会話」とは異なります。相手と語り合うことによって、前とは違う自分に変わってこそ、意味がある。真摯な気持ちで、価値創造の「対話」に挑む夏としたいものですね。  

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2016年07月12日

ネット依存

 青少年の「ネット依存」が社会問題になっています。インターネットを使ったゲームや仲間同士の交流に毎日長時間を費やし、睡眠不足など、生活に悪影響を及ぼす事例が増加。2013年発表のある調査では、全国で推計約52万人もの中高生がネット依存の傾向とされると発表されています。
 この問題に長年、取り組んでいる遠藤美季氏によると、ネット依存に陥らない人にはいくつかの共通項があると指摘しています。①自己肯定感・自己有用感が高い②自分の将来に明るい希望を抱いている③家族関係が良好、などを挙げています。納得!  

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2016年07月11日

グローリーロード

 秋田市の、雄物川が日本海に注ぐ河口付近に“グローリーロード(栄光の道)”と呼ばれる坂道があります。沿道には、400メートルにわたって深紅のベゴニアとだいだい色のマリーゴールドが咲き、道行く人を和ませています。
 その花の列に、2年前の夏から鮮やかな黄色の帯が加わりました。東日本大震災の被災地・宮城県石巻市の有志から届けられた“ど根性ひまわり”です。6世の種が発芽して育ち、今、つぼみを開き始めているそうです。  

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2016年07月10日

「杉」の成長力

 山間地域の奈良・吉野郡には、万葉集にも詠まれた美しい景色が多く見られます。その風景を彩る一つに吉野杉があります。ここは、日本三大人工美林の一つにも数えられています。
 江戸時代の儒学者・新井白石と国学者・本居宣長は、「杉」の語源に言及しています。白石は『東雅』で「杉はスグなる木也とみえたり。其木の直なるをいひし也」と、真っすぐに伸びることに由来すると考察。一方で、宣長は『古事記伝』で「須岐は進木なり(中略)ただに上へすすみ上る木」と。上へ進む「進木」と述べています。
 2人の論考はいずれも、「杉」の成長力への視点で共通しています。上へ上へと、真っすぐに進んで伸びていく――その姿は、何ものにもひるまず、理想に向かって生きよと、人間の生き方を教えているかに思えます。  

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2016年07月09日

「美しさ」へのこだわり

 あと一ヶ月弱で、リオ五輪ですね。ロス五輪(1984年)で金メダルを獲得した体操の具志堅幸司さんが、中学時代に所属した部の顧問は、”美術”の先生でした。その先生の指導はただ一言、「体操は、美しくなければならない」と。
 その後、多くの指導者に恵まれたが、具志堅さんは、体操人生の原点はこの言葉だったと述懐しています(『突破! 突破! 限界への挑戦』講談社)。
 体操の技は難化し、今では「I難度」までありますが、この「美しさ」へのこだわりは、日本体操の強さの源にもなっています。  

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2016年07月08日

勇気のコツ

 ポジティブ心理学の第一人者ロバート・ビスワス=ディーナー博士が、勇気のコツを指南しています。自分のためではなく、誰かのために動く。すると利己的な考えを乗り越えられ、〝勇気指数〟が高まる、と(児島修訳『「勇気」の科学』大和書房 へー、勇気は自分のためでなく、誰かのために起こすものなのか!! 「誰か」が問題だよね。  

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2016年07月07日

ヒマワリ

 成長するヒマワリは、少年少女が、立派な青年へと伸びゆく姿に重なりますね。全身に浴びる陽光は、周囲からの「励まし」のようであり、根から吸収する養分は、学びや生活の中で得た「知識」や「知恵」のようです。
 101年前の1915年(大正4年)7月7日、当時15歳だった創価学会の戸田城聖第2代会長は、札幌の商店に年季奉公に入りました。だが、戸田少年は、とにかく学びたかった。仕事前の早朝と働き終えた深夜が、貴重な勉強時間だったそうです。
 71年前、出獄した戸田会長が真っ先に始めたのは、中学生への通信教育事業でした。終戦のわずか5日後です。どんな時代でも、思う存分、学ばせてあげたい、との心が感じられますね。
 東日本大震災後、岩手県のある新聞社の編集局長は、〝被災した子どもたちの教育の機会が奪われてはならない〟との方針を強く訴え、その報道姿勢を貫きましたいた。いつの時代も、子らの成長こそ未来の希望です。ヒマワリのようにぐんぐん伸びる「挑戦の夏」を、全力で応援しよう。  

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2016年07月06日

舞台の上では・・・・

 歌舞伎に「馬の脚」という役があのます。首と胴体のついた馬の模型に、2人の役者が入り、馬の脚となります。脚光を浴びることはありません。だが、この“陰の役”がうまく演じられてこそ、主役の演技も引き立つのです。
 歌舞伎の「馬の脚」を通して、評論家の草柳大蔵氏は、舞台の上では「主役」「脇役」「端役」に序列などない、と述べています(『ふだん着の幸福論』清流出版)。  

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2016年07月05日

親子の対話

 「学校、大丈夫?」「勉強、大丈夫?」――親は、つい子どもに聞いてしまいます。何げない一言ですが、教育評論家の尾木直樹氏の指摘は手厳しいです。「『大丈夫?』という言葉はコミュニケーションでも何でもない。きっと大丈夫に違いないという、大人の自己満足に過ぎない」(『尾木ママの「凹まない」生き方論』主婦と生活社)
 良い親子関係を築くためには、〝子どもの目や表情を見ながら、具体的に質問することが大事〟と同氏。そうやって初めて、子どもの心の中にあるものを引き出せると。
 親子といっても、人格は別々です。あうんの呼吸で、意思が通じていると思わないほうがよい。意識して、〝良質の対話〟を心掛ける必要がありましょう。  

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2016年07月04日

「人生論」で述べています

 友情を重んじた作家の武者小路実篤は自身の著、「人生論」で述べています。「自分より偉い奴がいる。自分より真剣な奴がいる」と、身近な友を思うことは「実にいい鼓舞をうける」(『現代人生論全集2』雪華社所収)
 同書ではまた、文学の巨人をわが身に引き寄せることを勧めています。「元気に何ものも恐れずに生きる」ためにはホイットマンを。落ち込んだ時には「もっと苦しい谷をさまよった」ドストエフスキーを。「良心のするどさ」に触れたいならトルストイを。「まちがいない道を悠然と歩く」にはゲーテを、と。納得!  

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2016年07月03日

マグナ・カルタ

 戦後71年の今年は、「マグナ・カルタ」制定801年でもあります。英国王の王権を制限した内容は、「法の支配」の原型となり、人権思想の展開に大きな影響を与えました。
 法学者の家正治氏は「人権」について、人間の権利は「与えられる」ものではなく、民衆の不断の努力によって実現すると強調しています。
 考えてみればヒットラーが率いたナチスは、当時の世界で最も先進的だったワイマール憲法を残したまま、有名無実化し、最終的にはユダヤ人の大虐殺まで行いました。その歴史を直視すれば、人権を守り抜くために、民衆の「不断の努力」が不可欠なことは理解されましょう。日本国憲法の第12条にも、自由と権利は「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とあります。
 「EU離脱か否か」のの国民投票に対して、国民の判断は、民衆の智慧でしたのでしょうか。  

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2016年07月02日

わが子に抱く期待や理想

 親には誰しも、わが子に抱く期待や理想があるものです。さらに〝こうあってほしい〟と、自分の物差しを当ててしまいがちです。
 だが、横浜国立大学の平出彦仁名誉教授が、語っています。「子どもの成長は千差万別」であり、集団生活や親の期待から〝脱線〟しながら成長するものです、と。
 子どもが、親の描く理想の姿に戻ることだけが、必ずしも問題の解決ではありません。子との関係をとことん考え、自分も変わろうと挑戦する時、その親の真剣な姿を見て、子も前を向くのではないでしょうか。家庭の中で「自他共の成長」という喜びが味わえれば、これほど素晴らしい体験はないのです。  

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2016年07月01日

三代の会長の「選択」

 若者にとって戦後71年は、遠い過去かもしれません。だが、想像してみてください。自分に近しい先人が、人生の岐路に立った時、別の選択をしていたら、自分の人生も、全く別のものになっていたに違いなかったか。そう考えると、「戦後71年」の捉え方も変わってくる事でしょう。
 今月3日は、創価学会の戸田城聖第2代会長が出獄して71年を刻みます。もしもあの時、学会が時の流れに従い、権力に屈服していたら。もしも戸田会長が事業に窮した四面楚歌の時、若き池田SGI会長の、命を削って守る戦いがなかったとしたら……。今の創価学会はなく、私たち学会員が信心の功徳を受けることもなかったのです。
 あえて困難な道を進んだ三代の会長の「選択」によって、世界広布新時代の今があります。その感謝と、報恩の誓いを新たにする7月なのです。  

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2016年06月30日

3週間あまりで一気に書き上げた

 76年前の6月、戦時下に一冊の本が出版されました。本の名前は『学生に与う』でした。この本は、非合理・反知性の軍国主義に染まりゆく世相の中で、学生に支持され、瞬く間に十数版を重ねました。戦後もロングセラーを続け、学生、青年の必読書の一つとなりました。
 著者の河合栄治郎は、軍国主義に抗して論陣を張り、軍部に立ち向かいました。そのことで、最終的に東大教授の職を追われたのです。こうした弾圧の中、3週間あまりで一気に書き上げたのが『学生に与う』でした。
 同書で河合は学問、教育の目的を「人格の陶冶」と位置づけ、「人格」を成長させる学生生活の在り方の一つとして「師弟」を説いています。「弟子はあくまで誠実をもち続け、最後まで師の跡を追う愛着と執拗さがなければならない」と。納得!!  

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2016年06月29日

ロック

 「僕には才能がありませんから」「力はございませんが……」。これは、謙遜を美徳とする日本人が、言いがちなせりふです。
 思想家で、武道家でもある内田樹氏は、自分も若いころにはよくそう言ったそうですが、教える立場になった時、それは禁句であることが分かったと語っています。氏の同門に昔、いくら勧められても初段の審査を受けない人がいました。自分にはまだ黒帯の実力がない、と。そのうち後輩にもどんどん抜かれ、不思議なことに、10年以上稽古しても、さっぱり彼の技能は進歩しなかった。「何か」が能力の開花に「ロック」をかけていたのです。(『街場の戦争論』ミシマ社)  

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2016年06月28日

ロベルト・クレメンテ賞

 男子小学生が将来なりたい職業の1位は、昔も今も変わらず「スポーツ選手」だそうです。海外で活躍する一流選手らの姿に触発を受け、汗を流す子どもたちも少なありません。
 現役選手には必ずといっていいほど、幼いころに憧れた選手がいます。その姿を見て、いつの間にか自分も頑張るようになった――と。憧れの選手は、何にも勝る成長の目標となるのです。
 米大リーグのシアトル・マリナーズが行っている地域貢献活動「DREAM」には①薬物防止②自他共への尊敬③高い教育④態度・振る舞い⑤やる気――を触発する意味が込められています。単に夢を語るのではなく、人生で大切なことを、自らの存在を通して子どもたちに伝えていくのです。
 特筆されるのは、この取り組みが、年間162試合という過密スケジュールのシーズン中に行われている点です。また大リーグには、毎年、社会貢献に尽くした選手に贈られ、高い権威を持つ「ロベルト・クレメンテ賞」があります。一流の選手は、社会に尽くす〝一流の人格者〟でもあるべきだ、という考えが根付いているのです。  

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2016年06月27日

科挙(かきょ)

 宋の時代の中国に『文章軌範』という、作文の技法を教える書があります。これは難関の「科挙 ※」試験のための参考書で、そこには「初めは胆の大なるを要し、終りは心の小なるを要す」とあります。初めは思い切って、大胆に書き、その後に、細かいところに心を配ればよいという。外山滋比古さんが紹介しています(『文章力 かくチカラ』展望社)

 ※ 科挙(かきょ) 科挙という語は「(試験)科目による選挙」を意味します。選挙とは郷挙里選や九品官人法などもそう呼ばれたように、伝統的に官僚へ登用するための手続きをそう呼んでいます。「科目」とは現代の国語や数学などといった教科ではなく、後述する「進士科」や「明経科」などと呼ばれる受験に必要とされる学識の課程です。北宋朝からはこれらの科目は進士科一本に絞られたが、試験自体はその後も“科挙”と呼ばれ続けました。  

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2016年06月26日

千年希望の丘

 震災で発生したがれきを活用して丘を造る。そこに土地本来の木を植え、避難場所や震災の教訓を次代へ引き継ぐ場所にする――これが、宮城県岩沼市の「千年希望の丘」です。
 植樹を指導した宮脇昭・横浜国立大学名誉教授は著書『森の力』(講談社現代新書)に、「木を植えることで、大人も子供もその生長を見守り育てたいという意識が芽生えてくる」と。木を植えることは、人の〝心の大地〟に植樹することでもあるのです。  

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