2018年01月06日

親子の絆

 ソニー創業者の一人、井深大氏は、若くして父を亡くしました。そんな氏に、祖父は折に触れ、父が技術者としていかに長じていたかを語ったのです。家族で交友があった小説家の野村胡堂ら、父のように慕える存在にも恵まれました。
 親を心に抱き、親の大きさを教えてくれた人に囲まれ育ったことが、のちに世界の電子技術をけん引する氏の人生を芽生えさせたと思えてなりません。親子の絆は、生死をはるかに超えていくのです。  

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2018年01月05日

 「初刷」は新年最初の印刷物を指します。「書き初め」という言葉には親しみがありますが、新年最初に書物を読むのは「読み初め」というそうです。
 電車などに乗れば「乗り初め」。最初の入浴は「初湯」。食事に関しては「初竈」「焚き初め」、掃除なら「掃き初め」「初箒」、化粧には「初鏡」「初化粧」という言葉もあります。
 友との親交を深める「初便」も積極的に取り組みたいものです。現代では、メールやSNSなどでの連絡も入るでしょう。友と会い、ともどもに楽しい「初笑」「笑い初め」の場も増やしたいものですね。
 今年初めて行ったことは、言葉の上ではいずれも「初」といえます。しかし重要なのは、そこに清新な決意が込められ、どこまで継続できるかが重要です。  

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2018年01月04日

駅伝の誕生は1917年

 終わってみれば青学の四連覇でした。さて、駅伝の誕生は1917年、箱根駅伝が始まる3年前の事でした。首都が東京に移されて半世紀となる慶祝行事として、京都から東京を目指す全23区の競走でした。この時の走者の一人が、後に箱根駅伝を創設する金栗四三です。
 金栗は日本が五輪に初めて代表を送ったストックホルム大会(1912年)にマラソン選手で出場。だが途中棄権という無念の結果に終わりました。彼は日記に悔しさを記しつつ、こう続けた。「しかれども失敗は成功の基にして、また他日その恥をすすぐの時あるべく、雨降って地固まるの日を待つのみ」と(読売新聞運動部『箱根駅伝』中公新書ラクレ)。
 この経験が箱根駅伝を生み出し、日本長距離界の礎を築いたのです。  

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2018年01月03日

一日の計は朝にあり

 新年が明けて早3日です。
 ことわざに「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦(元日の朝)にあり」とあります。「朝」の字は、「十」の「日」、「十」の「月」とも書けます。十をもって「数の全体、完全、すべて」(『字通』)を表すことを思い合わせれば、一年全ての起点となる“朝”に、特別な思いを込めるのは、やはり大切なことですね。  

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2018年01月02日

誇りと使命をもって

 歴史家のトインビー博士は、研究と二つの世界大戦の経験から、人類意識、宇宙の生命の一部という自覚を培う世界宗教が必要との考えに至りました。その結果、東洋の仏教に注目し、その生きている運動体として、創価学会を見いだしたのです。
 博士は小説『人間革命』第1巻の英語版に一文を寄せています。「創価学会は、既に世界的出来事である」と。私たちの一日一日の行動は、日本の平和の基盤をつくり、人類融合の未来を準備しています。その誇りと使命をもって新年を出発しようではありませんか。  

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2018年01月01日

次に進む一歩

 あけましておめでとうございます。
 時計を見て、考えました。“午後11時59分59秒の1秒後は……”。その瞬間は、一日の総決算であり、新たな一日の始まりでもあるのです。瞬間瞬間に、過去の結果が表れ、未来の因が築かれるという冷厳なる事実が凝縮されています。
 ゲーテの至言に「いつかは終局に達するというような歩き方では駄目だ。その一歩々々が終局であり、一歩が一歩としての価値を持たなくてはならない」(亀尾英四郎訳。現代表記に改めた)とあります。
 実際、右足で大地を踏みしめた時、左足のかかとは浮いています。一歩を刻んだと同時に、次に進む一歩が始まっているのです。  

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2017年12月31日

ユーモラス

 吉田松陰は、大情熱で維新の英傑たちを薫育したことで知られていますが、ユーモラスな一面もあったようです。
 例えば、松下村塾の増築工事を行った時のこと。塾生の品川弥二郎が、はしごの上から誤って壁土を落としてしまいました。それが松陰の顔に当たったのです。恐縮する弥二郎に対し、一言。「弥二よ、師の顔にあまり泥を塗るものではない」。時に議論が白熱する松下村塾にあって、しゃれや冗談をひねる松陰の人柄が、雰囲気を和ませました。(一坂太郎著『時代を拓いた師弟』)
 この一年ありがとうございました。明年もよろしく。  

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2017年12月30日

名画のようです

 ある人が、これまで招かれた結婚式の中でも、特に印象に残るものが二つあると語っています。一つは、友人が新郎の来し方を紹介する企画。冒頭、赤ちゃんの元気な泣き声が会場に流された。これは、実際に新郎が誕生した時に録音された産声で、今日まで母親が大切に保管してきたという。
 もう一つは別の式でのこと。両親への花束贈呈の際、新婦は花束に代えて、小さなぬいぐるみを実父に贈りました。司会から、「この特注のぬいぐるみは、新婦が生まれた時の体重と同じ重さで作られています」と。
 それぞれの式典で目にした感動のシーンに、共通したことがありました。それは共に、母親は深い慈しみにあふれた笑みをたたえ、父親は握り拳に歯を食いしばりながらも、ついに我慢できず、美しい涙を流していたことです。
 わが子の誕生を心から喜び、時に笑い、時に泣きながらも一緒に歩んできた日々――涙に濡れながらほほ笑み合う、それぞれの親子の姿は名画のようです。  

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2017年12月29日

冬から春へ助走を開始

 年の初めが寒い時期であることをよしとしたのは、希代のコラムニストといわれた深代惇郎でした。それは、寒さが空気を引き締め、人の身も心も凜とさせる季節こそ、新しい決意で新しい年を迎えるのに、ふさわしいと思ったからです。
 真冬に送る年賀状でも、「新春」「迎春」と書きます。これは旧暦の季節感の名残ですが、そこから人は、喜びあふれる一年に、との思いを受け取る事ができます。厳冬の中、決意を抱き、鍛錬に励む人の心の中に、希望の春は鼓動を始めるのでしょう。
 昼が最も短い「冬至」を過ぎました。立冬と立春の中間にあたり、これからは、日ごとに昼が長くなっていきます。すでに天の運行は、冬から春へ助走を開始しているのです。  

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2017年12月28日

笑顔には・・・

 誰かの顔を思い出そうとすると、笑顔や真剣な顔など、日頃から見慣れた表情が思い浮かぶものですね。ゆえに顔は「自分と社会をつなぐ接点」と、中央大学・心理学研究室の山口真美教授は指摘しています(『自分の顔が好きですか?』岩波ジュニア新書)
 とりわけ「笑顔」が大事だそうです。例えば、人は笑顔を向けられると、脳の眼窩前頭皮質と海馬が活性化され、褒められたような喜びを感じて、強く記憶に残るそうです。円滑な人間関係を築くうえで、笑顔は脳科学的にも欠かせないらしいですね。
 そう、笑顔には、安心と希望の連帯を生み出す力があるのです。  

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2017年12月27日

毎年が1年生

 日本酒造りに携わる壮年。彼は、コンピューター修理の仕事から一転、苦労を重ねて杜氏となりました。今、全国新酒鑑評会で、何度も金賞に輝く実証を示しています。
 背筋を伸ばし、自らに言い聞かせるように語った言葉は、「酒造りは毎年が1年生です」。日本酒は、米の出来ひとつ、水のおいしさひとつ、酵母の状態ひとつで味が変わる。「毎年が1年生」というひと言に、現状に甘んじることを許されない酒造りの厳しさが、にじみます。  

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2017年12月26日

懐かしい風景

 鳥取・島根は雨が多いそうです。年間日照時間を全国1位と比較すると7割程度。昔から「弁当忘れても傘忘れるな」と言われ、とかく“暗い印象”が付きまといます。
 「春の小川」「もみじ」「おぼろ月夜」……。日本人が愛する唱歌を多数作曲した岡野貞一氏。特に「兎追ひし」で始まる「故郷」は、幼少期を過ごした鳥取県の風景を表現したものです。同県では「童謡・唱歌百景」が選定されるほど、今も懐かしい風景が広がるのです。  

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2017年12月25日

挑戦の人生

 今年も残りわずかになりました。振り返りますと、さまざまな成果を感じる一方、“あれをやっていれば”“こうしておけば”等の思いがよぎる人もいるのではないでしょうか。
 後悔には「やらない後悔」と「やった後悔」の2通りがあり、人は前者の方をより強く感じる傾向があるそうです。行動すればたとえ失敗したとしても、その経験から何かを学ぶことができるからです(ダニエル・ギルバート著『明日の幸せを科学する』熊谷淳子訳、早川書房)。
 悔いのない人生とは「挑戦の人生」ともいえますね。  

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2017年12月24日

いい年したおっさんが夢見て何が悪い

 「いい年したおっさんが夢見て何が悪い。町工場が夢見て何が悪いんだ!」――職人の腕とプライドをかけ、巨大企業もなし得ないプロジェクトに挑む町工場の社長が熱かった。直木賞受賞作『下町ロケット』です。
 最先端技術の粋を集めたロケットも、小さな企業が手作業で作った一つの部品がなければ、飛ばすことはできない。資本金や従業員数などでは測れない、世界に誇る技術力や職人魂が、日本の中小企業には宿っているのです。  

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2017年12月23日

ピグマリオン効果

 日本で最初にプラネタリウムが設置されたのは80年ほど前だそうです。当時、投影できた星は地上から肉眼で見える6等星まで。数にして約9000個だったという。現在は、10億を超える星を映し出す装置もできました。
 プラネタリウム開発をリードしてきた一人が大平貴之氏です。開発者を志したきっかけが著書『プラネタリウム男』(講談社現代新書)につづられています。それは科学館に勤めるプラネタリウム解説員との出会いでした。
 当時、小学生だった氏。だが解説員は、少年を決して“子ども扱い”しなかったそうです。投影機の仕組みや機能を一つ一つ丁寧に説明。そして折あるごとに「大平君が真に世界に誇れる最先端のプラネタリウムを作り、科学館に納めてほしい」等と言葉を掛け続けたのです。
 教師が優秀だと信じた生徒は、期待されなかった生徒に比べ、明らかな成績の向上が見られたという実験があります。これは教育心理学で「ピグマリオン効果」と呼ばれるものです。成績にとどまらず、大人からの期待が、どれほど子どもの自信や生きる力になるか、計り知れないのですね。  

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2017年12月22日

負けじ魂

 東北新幹線で福島県を移動すると、川の堤防に「ありがとう ふくしまへ」と書かれた巨大なメッセージボードが車窓から見えます。これは、復興支援への感謝を伝えようと、JR福島駅と福島河川国道事務所が設置したものだという。福島県民の復興への力強い決意と負けじ魂を見る思いですね。  

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2017年12月21日

凱風快晴

 「すみだ北斎美術館」が昨年11月、東京・墨田区にオープンしました。ここには日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎に関する作品が展示され、多くの来場者でにぎわっています。
 北斎の代表作といえば“赤富士”の通称で知られる「凱風快晴」ですね。「凱風」とは南風を指します。晴れた朝、南風が吹く中で赤みを帯びて輝く富士。その一瞬を捉えた作品とされています。
 中国の古典『詩経』に「凱風南自りし、彼の棘心を吹く」とあります。「棘心」は育てにくい茨の木の芯。「凱風」はそんな茨にも隔てなく吹き、成長への滋養を与えます。自分を育ててくれた母親へ感謝を込めたとされる一節です。
 北斎が描いた、快晴に映える富士も、雲を吹き払う凱風という存在があってこそ。そう思うといっそう趣が増してきますね。  

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2017年12月20日

身近な生活の場で

 18府県、33の祭りで構成される「山・鉾・屋台行事」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。これは能楽や和食などに続くもので、日本では計21件となります。
 「文化」と聞けば、音楽や絵画などの「芸術」を思い浮かべますが、本来はもっと広い概念で、人類が自らの手で築き上げた有形・無形の成果の総称です。身近な生活の場で生まれ、育まれるものなのです。  

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2017年12月19日

人形師

 伝統芸能の「能」を題材にした博多人形を作り続けて51年――。「現代の名工」と称される人形師がいます。「人形には、作家の心が出る」が信条。「だから、うんと苦労して、心を練り、心を鍛え、心を磨き続けることが大切」と語ります。
 月々日々に人形師は、自分をいじめ抜くかのように鍛錬を重ね、多くの秀作を生み出してきました。そして昨年、3度目となる最高賞の内閣総理大臣賞を受賞したのです。
 人を感動させる魅力を「花」に例えるなら、「時分の花」と「誠の花」がある――これは「能」の第一人者として知られる世阿弥の言葉(『風姿花伝』岩波文庫)。若さゆえに美しくても、時とともに散ってしまうのが「時分の花」。それに対し、たゆまず己を磨いた人は、時とともに美しさを増す。それが「誠の花」なのでしょう。  

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2017年12月18日

人の思いがあったのです

 整然と木立が並ぶ「並木道」を行くと、心が和みますね。歩みつつ、人間と自然との調和を思いませんか。
 長野県南部・飯田市の中心街に、りんご並木があります。ここは旧・建設省の「日本の道百選」や、環境省の「かおり風景百選」に選ばれた歴史もあり、四季を通して、道行く人を楽しませています。
 1947年に発生した「飯田大火」で、同市の市街は大半が焼失しました。リンゴの木々は、町の復興を願った地元中学生によって植林されたものだそうです。大火の教訓を風化させないシンボルであり、今では防火帯の役割も果たしています。
 同県の東部にある軽井沢の別荘街。カラマツの美しい並木道が印象に残ります。しかし、明治初期までは、浅間山の降灰で荒れ果てた土地でした。自生のカラマツはなく、「ここに私たちの理想郷を」と夢を抱いた人々の手で、一本一本、植えられました。洗練された町並みの原点にも、人の思いがあったのです。  

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