2013年08月26日

平和への原点

 先の震災で大きな被害を受けた宮城県・女川町。ここにも国内外から、さまざまな支援の手が差し伸べられました。その中にカナダ・ネルソン市からの義援金・支援物資がありました。女川町とネルソン市は、以前から長い交流の歴史を持っているそうです。
 女川湾を望む小高い場所に碑があります。昭和20年8月9日。女川は、米英そしてカナダの艦載機に攻撃を受けました。攻撃は翌日まで続き、150人以上が亡くなったといわれています。この攻撃の指揮をしたロバート・ハンプトン・グレー大尉の搭乗機は、被弾し墜落しました。敷地の碑はグレー大尉を慰霊するものです。この大尉はカナダ・ネルソン市出身でした。
 大尉は、いわば、女川攻撃を指揮した「敵」でした。しかし女川の人々は、「昨日の敵は今日の友」(碑文から)と、記念碑を建立しました。敵味方なく「全員の霊を慰め」、「平和」の「徴し」となることを願って。女川町とネルソン市の交流の原点です。
 当初の出会いは”悲劇”でした。しかし、それを「平和への原点」に転じた人々がいました。「交流の第一歩」とした人々が続きました。そして今、「支援の動機」とする人々がいます。
 「悲惨な戦争」から「尊き平和」へ。「被災」から「復興」へ。強い意志を持ち、今日も一歩を歩む人々がいます。その歩みを忘れまい。

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