2012年06月13日

胸突き八丁

 「胸突き八丁」という言葉があります。これは富士登山で、頂上付近は急で、息がつまるほど苦しいが、登頂のためには一番大事な時である、というところから、「詰め」の大切さを言っています。
 人間国宝、桂米朝さんは「サゲ(噺の最後のこと)の前」が最も「大きな緊張」の時であり、この時に客が物を落とすなど、ハプニングが起こると、それまでのすべての苦労が「水の泡」になると語っています。
 そうした事態が起こらないように、落語家は「あらゆる技術を駆使」して、「ラストの数分間」を乗り越えに全力を挙げます。サゲの前では、「無駄な言葉は一語も許されませんし、そして必要な言うべき言葉は一語も抜けてはいけない」(『芸道百般』筑摩書房)と。
 落語家にとっては「サゲ」が「胸突き八丁」です。さて、私たちの「胸突き八丁」はどのような事でしょう。

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