2012年04月12日

母の豊かな感性と父の正義

 1910年、10歳の少女は夜空を翔る彗星を見ました。夜空のかなたには76年に1度だけ地球に近づくハレー彗星の閃光が。その神秘的な美しさは、少女の心に焼き付いきました。後年、彼女が母親となってからも、その色あせることのない感動を、わが子に語って聞かせました。
 その子は宇宙に魅せられ、天文学を志しました。そして後年、ブラジルを代表する大天文学者へと成長しました。発見した小惑星にその名を冠された、初めてのブラジル人となりました。彼は、天文学博物館も設立したロナウド・モウラン博士です。
 モウラン博士の父は「偏見は、必ず変えられるものだ」と、繰り返し息子に言い聞かせたそうです。少年の心には「負けじ魂」と「楽観主義」の精神が培われました。幼い息子に、ハレー彗星の神秘的な美しさを語った母の豊かな感性。と父の正義。モウラン少年は、大きな心で包み込まれるように育てられました。大学者として名声を博する今も、その心には、父母に育まれた情熱が燃えています。


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