2012年03月23日

物語の力

 ドイツの作家エンデの代表作『モモ』は、時間に追われて人間らしさを失う現代人に警鐘を鳴らすファンタジーです。だが、エンデは「教訓話にして受け止めないでほしい」とエールを送っています。
 小説家の小川洋子さんは『モモ』について「教訓にしてしまうと、一行くらいで物語を要約することになります。そういう簡単な一行ですませてほしくないという気持だったと思います」と補い説明する(『心と響き合う読書案内』PHP新書)
 別の角度から考えて見ましょう。「友情を大切に」と一言で言われるより、太宰治の『走れメロス』を読んだほうが、子どもたちは多くの“宝”を手にすることでしょう。時代を超えて読み継がれる良書は、主人公と一緒にさまざまな出来事や出会いを“体験”することで、人生を豊かにしてくれる。それが「物語の力」です。


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