2012年02月25日

他者への畏敬の念

 食品をはじめ様々な偽装問題が後を絶ちません。このような現象は詰まるところ、消費者よりも自分たちの都合を優先した「自分さえよければ」との思想が見え隠れしています。
 文豪・吉川英治は、作品で「他の者の幸福の中に、自分の幸福を見出すのでなければ、完全なそして長い人生の果てまでの幸福にはならない」(『大岡越前』)と語っています。いま求められるのは、あらゆる人が、こうした視点に立てる哲学を持ち、行動することではないでしょうか。
 生命には、自分のことだけを尊ぶ独善の傾向があります。自分以外のすべてを手段として利用しようとするこの傾向性を、仏法では「他化自在天(第六天の魔王)」と喝破しています。この魔性を本源的に打ち破ることが、仏法の実践の本義でもあります。
 創価学会の池田名誉会長は『プルターク英雄伝』に登場する将軍の没落を通し、その原因を「他者を尊敬できない『傲慢』、他者を大事にできない『慢心』が一凶であった」と語っています。豊かな人生を生きるために、他者への畏敬の念が、いかに重要であるかを指摘しています。


この記事へのトラックバックURL

http://asunimukatuye.mediacat-blog.jp/t76130