2017年03月16日

手巾

 ある大学教授のもとに学生の母親が訪れた。闘病中の学生が亡くなったという報告だった。だが、教授は意外に思った。平静な口ぶりで笑みさえ見せる母親からは、息子を失った悲哀が感じられない――。芥川龍之介の短編「手巾」(岩波文庫)です。
 話の途中、うちわを落とした教授が、拾おうとかがんだ時、膝に乗せた母親の両手が見えた。手巾を引き裂かんばかりに、手は激しく震えていた。「婦人は、顔でこそ笑っていたが、実はさっきから、全身で泣いていたのである」。
 私はこの短編をまだ読んでいません。機会があったら読みたいです。

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