2015年03月16日

一人前

 子どもが”一人前”になるとはどういうことでしょうか。さまざまな考えがあるでしょうが、全国の農漁村の暮らしを調査した民俗学者の宮本常一氏は、「社会人として調和のとれた人になること」(『庶民の発見』講談社)と端的に述べています。
 氏によれば、村里において”一人前”とは、単に身体の成長や仕事の技術向上だけを意味しない。地域の年長者らとの関わりを通じ、親孝行の心や信仰心が育まれ、人格が陶冶されていくことまでを含むそうです。だから「親は子を社会人として一人まえにするために、できるだけ子の教育を世人にまかせようとした」(同)


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