2014年01月30日

ローカリスト

東日本大震災の直後、「6枚の壁新聞」を発行し、世界に勇気を与えた「石巻日日新聞」、近江弘一社長の話です。
輪転機が水没し、99年の歴史を刻む新聞発行の継続が危ぶまれた。町は、がれきで動くこともままならない。何度も押し寄せる津波。「危ない」「逃げろ」。あちこちから叫び声があがる。夜が訪れた。真っ暗な闇のなか、心の中に進むべき「道」が見えた。「明けない夜はない。私はジャーナリストではなく、ローカリストだ」。「ローカリスト」とは、自分の住む地域を愛し、地域に貢献する人のことである。記者たちも同じ決意だった。「石巻のために出来ることをしよう」と。
一部水没を免れた輪転機から、新聞用紙を引きずり出し、手書きで壁新聞を作る。手分けをして避難所に張り出した。「地域(ローカル)」への思いが、「世界(グローバル)」へ広がる力となり、共感の輪は地球規模で広がった。近江社長は語る。「私たち石巻日日新聞の『使命』は、自分が住むこの地域の人たちと共に生き、歩むこと」と。

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